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ホッと息を吐いたナティシア
「ナティシア…君がやったの??」
殿下の小さなその問いに答えることなく、殿下の腕を引っ張り、深刻な顔をしながら、早足で会場のほうに向かっていく。
「ナティシア?
ちょっと、ナティシア?」
殿下の問いかけに返答はなく、ただ足を進めるだけのナティシア。
そうして、招待客がいる会場に戻ってくるとナティシアは殿下の腕を離し、もう一人の婚約者候補であるイザエル・スティートゥ伯爵令嬢の前でようやく立ち止まった。
と思えば、次の瞬間
パーーーン
破裂音が会場に響いた。
ナティシアがイザエルの頬に手の平をぶつけたのだ。
それまで話に花を咲かせていた令嬢たちでさえ音に気付き振り返るほどにその音は響いた。
それに合わせて、目撃した令嬢なのか「キャー」という叫び声も聞こえ、会場は騒然となった。
注目の先にいる2人の女性。
一人は頬を手で覆いながら俯き、表情はよく読めず、一人は肩を上下させて息をしながら、涙を流しながら相手を見つめていた。
周囲は2人を状況を観察するように静観していた。
するとリターシャがイザエルの隣に進み出て、イザエルの肩を抱きながらナティシアに対峙した。
「ナティシア様
なぜイザエル様に手を上げたのですか
もしかしてライバルである彼女が気に障ることでもしてしまったか、もしくは牽制のおつもりですか。
いくら公爵家の令嬢であり、殿下の婚約者候補だからといってこのような理不尽な暴力が許されていいわけがありません。
私は彼女の友人として謝罪を求めます」
頬を覆いながら俯くイザエルに寄り添い、そのように声をあげる様はまさに令嬢の手本となるべき姿に見えた。
確かに婚約者候補となったからといって、なにか権限を持ったわけでもなく、特別待遇となったわけでもない。それが理由でライバルである令嬢を叩いたということならばこれは許されることではない。
困惑する中でリターシャに対し「さすが婚約者候補筆頭」「やはり殿下の婚約者にはリターシャ様しかいない」というような囁きが広まっていった。
「ナティシア…君がやったの??」
殿下の小さなその問いに答えることなく、殿下の腕を引っ張り、深刻な顔をしながら、早足で会場のほうに向かっていく。
「ナティシア?
ちょっと、ナティシア?」
殿下の問いかけに返答はなく、ただ足を進めるだけのナティシア。
そうして、招待客がいる会場に戻ってくるとナティシアは殿下の腕を離し、もう一人の婚約者候補であるイザエル・スティートゥ伯爵令嬢の前でようやく立ち止まった。
と思えば、次の瞬間
パーーーン
破裂音が会場に響いた。
ナティシアがイザエルの頬に手の平をぶつけたのだ。
それまで話に花を咲かせていた令嬢たちでさえ音に気付き振り返るほどにその音は響いた。
それに合わせて、目撃した令嬢なのか「キャー」という叫び声も聞こえ、会場は騒然となった。
注目の先にいる2人の女性。
一人は頬を手で覆いながら俯き、表情はよく読めず、一人は肩を上下させて息をしながら、涙を流しながら相手を見つめていた。
周囲は2人を状況を観察するように静観していた。
するとリターシャがイザエルの隣に進み出て、イザエルの肩を抱きながらナティシアに対峙した。
「ナティシア様
なぜイザエル様に手を上げたのですか
もしかしてライバルである彼女が気に障ることでもしてしまったか、もしくは牽制のおつもりですか。
いくら公爵家の令嬢であり、殿下の婚約者候補だからといってこのような理不尽な暴力が許されていいわけがありません。
私は彼女の友人として謝罪を求めます」
頬を覆いながら俯くイザエルに寄り添い、そのように声をあげる様はまさに令嬢の手本となるべき姿に見えた。
確かに婚約者候補となったからといって、なにか権限を持ったわけでもなく、特別待遇となったわけでもない。それが理由でライバルである令嬢を叩いたということならばこれは許されることではない。
困惑する中でリターシャに対し「さすが婚約者候補筆頭」「やはり殿下の婚約者にはリターシャ様しかいない」というような囁きが広まっていった。
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