(仮)母を亡くした令嬢が幸せになるまで

暖夢 由

文字の大きさ
上 下
15 / 43

15

しおりを挟む

マックスの言葉にムズイルが返そうとしたとき、陛下の到着を知らせる声が届いたため、その場の全員が腰を落とした。

「今日はわざわざご苦労だった。みな、頭を上げてくれ。

早速だが、今日集まってもらったのはほかでもない。王太子の婚約者についてだ。

知っての通り21歳になったジョシュアだが未だ婚約者すら決めかねておる。

そこで先日から茶会を重ね、令嬢とジョシュアとの相性などを鑑み、この場にいる3名の令嬢を婚約者候補として上げさせてもらった。

本来なら本人たちの気持ちを第一優先にと言いたいところだが、王太子の婚約者、未来の国母を決める事の為、そうもいっていられない。

そこでここからは令嬢たちの資質も確認させてもらいたい。

来月より1月ごとに各令嬢たちに茶会を開催してもらう。王太子の婚約者になればどうしても茶会の開催などは必要となる。その為の確認だとでも思ってほしい。

苦労をかけるが、よろしく頼む」

扉が開けられ、陛下と王妃陛下、王太子殿下が入場され、腰をかけられたところで話された陛下の言葉。
殿下の婚約者候補として名を挙げられている3人とのこと。
しかもこれから資質を試すためにお茶会の開催をする。

ナティシアにとってはこの内容は驚きの一言だった。

だが周りの人たちの反応は違った。リターシャとイザエルに関しては目を輝かせ、公爵と伯爵に関してはまるでわかっていたことだとばかりに返事をした。

マックスはと言えば、平静な様子だが、どこか嫌そうな雰囲気がわかる。いや、これはきっと娘だからわかるのだろう。

だがきっとマックスも婚約者候補になっていることは知っていたのだ。この場で知らなかったのはきっとナティシアだけ。
もちろん茶会の招待客として残っていたのはしっていたが正式な候補とはまた話が別だった。

だが、そんなナティシアの気持ちなどよそにその後は茶会開催の順番などを決め、当主たちによってその他確認事項が行われた。

その間ナティシアと令嬢たちは口を開くことはなかった。

茶会の順番は最初にリターシャ、次にナティシア、最後にイザエルの順番となった。

リターシャは公爵令嬢として茶会の主催の経験が豊富なため、1月の準備期間しかない最初でも問題はないとされたのだ。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

彼が愛した王女はもういない

黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。 どちらも叶わない恋をした――はずだった。 ※関連作がありますが、これのみで読めます。 ※全11話です。

夫の母親に会いたくない私と子供。夫は母親を大切にして何が悪いと反論する。

window
恋愛
エマ夫人はため息をつき目を閉じて思い詰めた表情をしていた。誰もが羨む魅力的な男性の幼馴染アイザックと付き合い恋愛結婚したがとんでもない落とし穴が待っていたのです。 原因となっているのは夫のアイザックとその母親のマリアンヌ。何かと理由をつけて母親に会いに行きたがる夫にほとほと困り果てている。 夫の母親が人間的に思いやりがあり優しい性格なら問題ないのだが正反対で無神経で非常識な性格で聞くに堪えない暴言を平気で浴びせてくるのです。 それはエマだけでなく子供達も標的でした。ただマリアンヌは自分の息子アイザックとエマの長男レオだけは何をしてもいいほどの異常な溺愛ぶりで可愛がって、逆にエマ夫人と長女ミアと次女ルナには雑な対応をとって限りなく冷酷な視線を向けてくる。

処理中です...