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しおりを挟むマックスの言葉にムズイルが返そうとしたとき、陛下の到着を知らせる声が届いたため、その場の全員が腰を落とした。
「今日はわざわざご苦労だった。みな、頭を上げてくれ。
早速だが、今日集まってもらったのはほかでもない。王太子の婚約者についてだ。
知っての通り21歳になったジョシュアだが未だ婚約者すら決めかねておる。
そこで先日から茶会を重ね、令嬢とジョシュアとの相性などを鑑み、この場にいる3名の令嬢を婚約者候補として上げさせてもらった。
本来なら本人たちの気持ちを第一優先にと言いたいところだが、王太子の婚約者、未来の国母を決める事の為、そうもいっていられない。
そこでここからは令嬢たちの資質も確認させてもらいたい。
来月より1月ごとに各令嬢たちに茶会を開催してもらう。王太子の婚約者になればどうしても茶会の開催などは必要となる。その為の確認だとでも思ってほしい。
苦労をかけるが、よろしく頼む」
扉が開けられ、陛下と王妃陛下、王太子殿下が入場され、腰をかけられたところで話された陛下の言葉。
殿下の婚約者候補として名を挙げられている3人とのこと。
しかもこれから資質を試すためにお茶会の開催をする。
ナティシアにとってはこの内容は驚きの一言だった。
だが周りの人たちの反応は違った。リターシャとイザエルに関しては目を輝かせ、公爵と伯爵に関してはまるでわかっていたことだとばかりに返事をした。
マックスはと言えば、平静な様子だが、どこか嫌そうな雰囲気がわかる。いや、これはきっと娘だからわかるのだろう。
だがきっとマックスも婚約者候補になっていることは知っていたのだ。この場で知らなかったのはきっとナティシアだけ。
もちろん茶会の招待客として残っていたのはしっていたが正式な候補とはまた話が別だった。
だが、そんなナティシアの気持ちなどよそにその後は茶会開催の順番などを決め、当主たちによってその他確認事項が行われた。
その間ナティシアと令嬢たちは口を開くことはなかった。
茶会の順番は最初にリターシャ、次にナティシア、最後にイザエルの順番となった。
リターシャは公爵令嬢として茶会の主催の経験が豊富なため、1月の準備期間しかない最初でも問題はないとされたのだ。
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