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しおりを挟むそしてお茶会当日、アクアンティ家の紋章がついた馬車から降りてきたのは、お茶会には似つかわしくないほど着飾った2人の女性だ。
招待状を門番に渡した2人。だがなぜか門番と揉めていてお茶会会場に入ることができない。
「ちょっと!!招待状を渡しているんだから早く中に入れなさいよ。
王太子殿下のお茶会なのよ!遅刻したらどうしてくれるのよ!早く入れなさいっ!!」
そんなことを喚きながら門番にくってかかる女性に対して、門番は冷静に対処する。
「確かに招待状は持っていらっしゃいますが、招待客ご本人がいらっしゃいません。
本日のお茶会に出席できるのは招待客ご本人とその母親のみでございます」
「だから何度も言わせないでちょうだい。
本人は体調不良で出て来れないから、代わりに妹の私が王太子殿下に謝罪に来たって言っているでしょう。
大体この招待状の宛名が間違いなんだから!!
本来は私宛なんだから本人が来てるの。問題はないのよ!!!」
門番はこの女性が何を言っているのか理解ができなかった。
招待状の宛名が間違っており、本来は自分宛の招待状であるため本人であるなど、そんな戯言が通じるはずがないのだ。それをまるで正しい事かのように主張している様はおかしいのではないかとすら疑ってしまう。
「招待状の宛名は招待する方になっております。それは間違いではなくその方なのです。
もし間違いがある場合は招待主より連絡がいっているはずです。それがないということはその招待状は間違いでないということです。特に今回は王家からの招待状です。間違いなどないように確認をしているはずです。
そのためご本人でなければお通しすることはできません。もしご本人が体調不良の場合はここで謝罪なさらずに、お手紙にて謝罪されてはいかがでしょうか」
「っ!
門番風情が!うるさいのよ!私が間違いだと言っているでしょう!
ナティシアはあのパーティでは誰とも話していないし、まして口も聞けない女なんて招待されるはずないじゃない!!私と間違えたに決まってるのよ!!」
「そうよ!あなた、たかが門番のくせに公爵令嬢に口答えするつもり!?
今すぐ謝罪なさい。そして私たちをすぐに会場に案内なさい!」
門番はその言葉に唖然としていた。
人生の中でこんなにも言葉が通じない人がいるのかと驚いたのだ。
招待客が口が聞けない人であることはわかったが、それを上回る魅力があったから招待されたのだろう。しかしそれを認められない目の前の女性にとってはそれは間違いでしかないのだ。
しかもそれを母親が擁護している。この親にしてこの娘ありということなのだろう。
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