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第2章

金色の髪の毛の女の子

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初めて見る光景にどうしたらいいのかもわからなかったが、私はとっさに表現できない不安に駆られキュミーがのっていないフレッドの手をぎゅっと握った。でもフレッドに触れても何もなく、その光はフレッドを優しく包み、しばらくしたら消えていった。

その光が止むのと同時にキュミーはフレッドの手を下りた。

「ふふっ、サリー心配しないでも大丈夫よ。悪いことは起こらないミュ。
精霊から祝福を与えられた人間は幸や富、名声を得ると言われているミュ。それから健康な体ね。アンにも誰かが祝福を与えてるミュよ。だから私の声もすんなり聴こえたミュ。
それにしてもサリーはフレッドが大好きなのね」

さらっとキュミーはそんなことを言った。
幸や富、名声、健康な体を得るって。でもそれってすごいことなんじゃ…
でもそれよりも最後の言葉に一気に顔に熱が集まり、恥ずかしくなる。
だって、なぜだかわからないけど、ふいにフレッドを覆う光に不安が胸をよぎったら、フレッドの手を握ってしまっていたんだもの。

「サリー、ありがとう。心配してくれたんだね。でも大丈夫、なんともないよ。サリー愛してるよ。
ねぇ、あの光の後からキュミーが手に乗っていないのに声が聴こえるようになった。これはその祝福のおかげなのかな」

フレッドの言葉にさらに顔が熱くなるのを必死に無視して、またすぐにキュミーに視線を戻す。
だって答えを知っているのはキュミーしかいないもの。

「ふふっ、サリーったら顔が真っ赤!とても幸せそうで嬉しいミュ。
そうだミュ。私が祝福を与えたから私たちの声が聴こえるの。本当はさっきあげようと思ってたんだけどなんだかバタバタしていたから遅くなっちゃったミュ。
でも私がこの姿のままでここにいるとまた騒がれそうね。それならこんなこんなのどうかミュ?」

そう言うのと同時に椅子に飛び降りたキュミー。次の瞬間キュミーが飛び降りたその椅子にはまだ幼い金色の髪の毛を持つ女の子が座っていた。

「どうミュ?おかしくない?」

--------!!

「キュミー?」

「そう!すごい??!魔力が高い精霊は姿を変えることができるミュ。でもあまり大きいものになると、魔力の消費が大きくなるからちょっとでも小さいものになるミュ。
こうしていればサリーたちと話しをしていても不審には思われないミュ?」
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