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第1章
婚約者ができた(ロディ視点)
しおりを挟む僕は昔からあまり人と話すのが好きじゃない。特に目を見て話す奴なんて大嫌いだ!僕の動きをじろじろ見ている気がしていやなんだ。
それなのに12歳の時、急に父に『お前に婚約者ができた。顔合わせをするからいつも通り挨拶をしろ』と言われた。そこで会ったのがサリーだった。
僕より少しだけ小さく、ピンクの髪の毛に大きな目を僕に向け、その茶色の瞳で見定めるように下からまっすぐに見てくる子だった。
サリーは僕が話し始めるととにかくずっとこっちを見て話を聞くんだ。どうしてこんなに見るのか。今までこんなに僕の事を見る奴なんていなかった。その様子がまるで僕のことを評価しているみたいだったんだ。僕が動くたびに僕のことを観察し、なにか話せば一言でも聞き逃さないように聞いている。
やめろ!そんな風に僕の事を見るな!
彼女は自信に溢れているようなタイプだと思う。その動きを見ていればわかる。きっとなにをするのも楽しいのだろう。でも僕は違う。僕はそんな風にはできないし、理解もできない。
それなのに彼女は会うたびに色々と話しかけてきた。
「ロディ様はどんな事をなさるのがお好きですか?」
「ロディ様は本は読まれますか?」
「ドルマン侯爵領の特産品はどのようなものですか?」
うるさい!!どうして僕にそんな事を聞くんだ!
僕は本なんか好きじゃない!
領地のことなんてわからない。父に領地の事は卒業して、しばらくしたら教えるから今はまだ知らなくていいと言われているんだから、知るわけがないじゃないか!
好きなものなんて………特にない!!勉強だって特にできたわけでもない。いつも平均より少し下くらいだった。剣だってできない。馬だって乗りこなせない。それでも関係ないだろ!
品定めでもするように僕に質問するな!
僕は由緒正しきドルマン侯爵の一人息子なんだ!!
父にどうして伯爵家と婚約するのか一度聞いたら「財しか持たない伯爵家が由緒正しき侯爵家と縁続きになれば多少なりその爵位にも箔がつくと思ったんだろう。しかし、財を持っていることは悪いことではなく、今や議会でもその存在は注目されている。我が侯爵家としてもナシェルカ伯爵領を利用できることはある。そう思ってお前との婚約を了承したのだ。いくら爵位が下だと言っても、表立って態度に表せばこちらの品格も問われる。侯爵家としてふさわしい振る舞いをするんだ!わかったな!」と言っていた。
いくら侯爵家と縁続きになろうと伯爵家は伯爵家。それなのにこんな婚約を押し通そうとするなんて、なんてあさましいんだ!
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