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第14章『新たな敵』
4話
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翌朝、町の中を探してみたがアキラを見つけることはできなかった。
他の宿屋へ移動したのか、それとも既にこの町にはいないのか。
彼のことで気になることは多々あるが、このまま諦めるしかないのだろう。
タクヤとイズミは疑問を残しながらもカイとリョウと共に宿屋を後にした。
「に……にわとりっ。次は『り』ねっ」
歩きながら特に話すこともなく、なんとなく『しりとり』をしていた。
リョウは嬉しそうに答えるとニヤっと笑いながらタクヤを見る。
「り……りぃ? りんご……は、さっき言ったし。り……り……り……」
腕を組み『うーん』と悩むが全く出てこない。
これほど自分のボキャブラリーの無さを痛感したこともなかっただろう。
「理解不能は?」
後ろからくすっと笑い声が聞こえた後に、カイがタクヤに助け船を出した。
「へ? あ……じゃあ『理解不能』!……っておいっ! それはお前だろっ!」
勢いよく答えたものの、馬鹿にされたと分かり、振り返って大声でカイに向かって怒鳴り付ける。
その反応にカイとリョウは楽しそうに笑う。
「アホか……」
3人のやり取りを横目に見ながら、タクヤの横でイズミは大きく溜め息を付いた。
昨日とは打って変わり、雲ひとつ無い晴天である。
少し汗ばむくらいに気温も高いようだ。
時折袖で汗を拭いながらも、昨日のような雨よりは幾分マシであった。
まるで何もなかったかのように一向は和やかに歩を進める。
リョウがふざけ、タクヤが笑い、カイも楽しそうにふたりを見つめる。
呆れた顔で3人を眺めながらもイズミも心が穏やかになっていた。
このまま時間が過ぎていく……。
そう思った刹那――。
「楽しそうだねぇ。僕も入れてよ」
すぐ後ろから聞こえた少年のような声に、一行は立ち止まり一斉に振り返った。
「お前っ!」
「っ!?」
今までの和やかな空気が一瞬で変わる。
驚きと怒り。突然現れた『彼』に、負の感情が渦巻いた。
「久し振りだねぇ。元気だった? いつの間にか仲間が増えたんだね」
くすりと口元に笑みを浮かべ、こちらを見ているのは、アスカそっくりの容姿をしたアオイであった。
なぜ再び現れたのか……。
敵意を露にしながらタクヤとイズミはアオイを睨み付ける。
「ふふっ。そんな顔しないでよ。心配しなくても今日は君たちを殺したりしないから。……今日はね」
不敵な笑みを浮かべ、アオイはじっとふたりを見つめる。
そしてふと他のふたりに視線を移した瞬間、驚いた顔をする。
「へぇ? こんな所でキミと会うなんて思わなかったよ。ねぇ?」
すぐににやりと口元に笑みを浮かべ、声を掛ける。
アオイの視線の先にはカイが立っている。
笑顔はなく、感情のない顔でカイはじっとアオイを見つめ返している。
「え?」
一体何が起こっているのか。
なぜアオイはカイを知っているのか……。
カイのことをじっと見つめるが、その表情からは何も分からない。
ただ、こんなに冷たい表情は初めて見た。
タクヤの隣でもイズミが疑うような目付きでカイを見つめていた。
「ほんっと、相変わらず面白みもなぁんにもないよね、キミは。なぁに? もしかしてあの子のおつかい?」
ふっと鼻で笑うと、アオイは反応のないカイに向かって馬鹿にするように話し続ける。
何を言われても気にしていないのか、カイは相変わらず黙って聞いているだけであった。
カイ以外の3人は、驚愕な表情でじっとふたりを見つめていた。
「ねぇ? なんで黙ってるの? そうなんでしょ? じゃなきゃ、キミがあの子から離れる訳ないし。なんの役にも立たないキミでもおつかいくらいはできるって? ねぇ、なんて言われてきたの? 『イズミを連れてきて』とでも言われた?」
くすくすと笑いながらアオイはカイに問い掛けると、ちらりとイズミを見る。
その言葉にイズミはハッとした表情をする。
あの子? 誰の事を言っている?
なぜかぞわっと背筋に冷たい物が這ったような、そんな感覚にイズミは思わず両手でぎゅっと自分の体を掴んだ。
ふと、イズミの様子に気が付いたタクヤは心配そうにじっと見つめる。
そして、アオイが現れてから何がなんだか分からないといったリョウは、不安げに表情の変わらないカイを見上げる。
昨日聞いてしまった会話を思い出す。
目の前のイズミそっくりなこの人は誰? どういう関係?
昨日話していた『マスター』とは関係があるの?
再びリョウの中で嫌な気持ちがぐるぐると渦巻いていた。
目元が熱くなり、思わずぎゅっとカイの袖を掴んだ。
「へぇー、その子も可愛いね。苛めちゃいたいな。ねぇ?」
怯えるようにカイの隣にいるリョウを見つめ、アオイは楽しそうに再びカイに問い掛ける。
「っ!」
一瞬でカイの表情が変わる。
今まで見たことのない、怒りを露にしたような表情でアオイを睨み付けている。
「ふーん……そんな顔もできるんだ? 大事な子なんだねぇ。でも……僕、キミのこと大嫌いなんだ。ほんと死んじゃえばいいのに」
「なっ!」
笑顔が消え、無表情に淡々と話すアオイの言葉に、タクヤは愕然とした表情でアオイを見る。
一体ふたりの関係はなんなのか。
「ふふっ。大丈夫だよ。さっきも言ったけど、今日は殺したりしないから。まだ時期じゃないし……。どうせなら、あの子の前で殺そうかなぁ。……友達とか仲間とか愛とか……ほんっとくだらないよね。くだらなさすぎる。ねぇ、イズミ? キミもそう思うでしょ?」
再びにこりと笑って4人を見つめた後、冷たい笑みを浮かべながらアオイはじっとイズミを見つめた。
「…………」
それに答えることなく、イズミは黙ってアオイを睨み付ける。
「あーあ。ほんと早くみんな殺しちゃいたいのに……でも、ゲームはこれからだよ。ね? 言ったよね? だから、まだ勝手に死んだりしないでね。君たちを殺すのはこの僕なんだから。楽しみは最後まで取っておかなくちゃ。それじゃあね」
残念そうな顔で話し始めたが、アオイは再び楽しそうにくすっと笑うと、ひらひらと手を振り4人の前から姿を消した。
静かに時間だけが流れていった……。
他の宿屋へ移動したのか、それとも既にこの町にはいないのか。
彼のことで気になることは多々あるが、このまま諦めるしかないのだろう。
タクヤとイズミは疑問を残しながらもカイとリョウと共に宿屋を後にした。
「に……にわとりっ。次は『り』ねっ」
歩きながら特に話すこともなく、なんとなく『しりとり』をしていた。
リョウは嬉しそうに答えるとニヤっと笑いながらタクヤを見る。
「り……りぃ? りんご……は、さっき言ったし。り……り……り……」
腕を組み『うーん』と悩むが全く出てこない。
これほど自分のボキャブラリーの無さを痛感したこともなかっただろう。
「理解不能は?」
後ろからくすっと笑い声が聞こえた後に、カイがタクヤに助け船を出した。
「へ? あ……じゃあ『理解不能』!……っておいっ! それはお前だろっ!」
勢いよく答えたものの、馬鹿にされたと分かり、振り返って大声でカイに向かって怒鳴り付ける。
その反応にカイとリョウは楽しそうに笑う。
「アホか……」
3人のやり取りを横目に見ながら、タクヤの横でイズミは大きく溜め息を付いた。
昨日とは打って変わり、雲ひとつ無い晴天である。
少し汗ばむくらいに気温も高いようだ。
時折袖で汗を拭いながらも、昨日のような雨よりは幾分マシであった。
まるで何もなかったかのように一向は和やかに歩を進める。
リョウがふざけ、タクヤが笑い、カイも楽しそうにふたりを見つめる。
呆れた顔で3人を眺めながらもイズミも心が穏やかになっていた。
このまま時間が過ぎていく……。
そう思った刹那――。
「楽しそうだねぇ。僕も入れてよ」
すぐ後ろから聞こえた少年のような声に、一行は立ち止まり一斉に振り返った。
「お前っ!」
「っ!?」
今までの和やかな空気が一瞬で変わる。
驚きと怒り。突然現れた『彼』に、負の感情が渦巻いた。
「久し振りだねぇ。元気だった? いつの間にか仲間が増えたんだね」
くすりと口元に笑みを浮かべ、こちらを見ているのは、アスカそっくりの容姿をしたアオイであった。
なぜ再び現れたのか……。
敵意を露にしながらタクヤとイズミはアオイを睨み付ける。
「ふふっ。そんな顔しないでよ。心配しなくても今日は君たちを殺したりしないから。……今日はね」
不敵な笑みを浮かべ、アオイはじっとふたりを見つめる。
そしてふと他のふたりに視線を移した瞬間、驚いた顔をする。
「へぇ? こんな所でキミと会うなんて思わなかったよ。ねぇ?」
すぐににやりと口元に笑みを浮かべ、声を掛ける。
アオイの視線の先にはカイが立っている。
笑顔はなく、感情のない顔でカイはじっとアオイを見つめ返している。
「え?」
一体何が起こっているのか。
なぜアオイはカイを知っているのか……。
カイのことをじっと見つめるが、その表情からは何も分からない。
ただ、こんなに冷たい表情は初めて見た。
タクヤの隣でもイズミが疑うような目付きでカイを見つめていた。
「ほんっと、相変わらず面白みもなぁんにもないよね、キミは。なぁに? もしかしてあの子のおつかい?」
ふっと鼻で笑うと、アオイは反応のないカイに向かって馬鹿にするように話し続ける。
何を言われても気にしていないのか、カイは相変わらず黙って聞いているだけであった。
カイ以外の3人は、驚愕な表情でじっとふたりを見つめていた。
「ねぇ? なんで黙ってるの? そうなんでしょ? じゃなきゃ、キミがあの子から離れる訳ないし。なんの役にも立たないキミでもおつかいくらいはできるって? ねぇ、なんて言われてきたの? 『イズミを連れてきて』とでも言われた?」
くすくすと笑いながらアオイはカイに問い掛けると、ちらりとイズミを見る。
その言葉にイズミはハッとした表情をする。
あの子? 誰の事を言っている?
なぜかぞわっと背筋に冷たい物が這ったような、そんな感覚にイズミは思わず両手でぎゅっと自分の体を掴んだ。
ふと、イズミの様子に気が付いたタクヤは心配そうにじっと見つめる。
そして、アオイが現れてから何がなんだか分からないといったリョウは、不安げに表情の変わらないカイを見上げる。
昨日聞いてしまった会話を思い出す。
目の前のイズミそっくりなこの人は誰? どういう関係?
昨日話していた『マスター』とは関係があるの?
再びリョウの中で嫌な気持ちがぐるぐると渦巻いていた。
目元が熱くなり、思わずぎゅっとカイの袖を掴んだ。
「へぇー、その子も可愛いね。苛めちゃいたいな。ねぇ?」
怯えるようにカイの隣にいるリョウを見つめ、アオイは楽しそうに再びカイに問い掛ける。
「っ!」
一瞬でカイの表情が変わる。
今まで見たことのない、怒りを露にしたような表情でアオイを睨み付けている。
「ふーん……そんな顔もできるんだ? 大事な子なんだねぇ。でも……僕、キミのこと大嫌いなんだ。ほんと死んじゃえばいいのに」
「なっ!」
笑顔が消え、無表情に淡々と話すアオイの言葉に、タクヤは愕然とした表情でアオイを見る。
一体ふたりの関係はなんなのか。
「ふふっ。大丈夫だよ。さっきも言ったけど、今日は殺したりしないから。まだ時期じゃないし……。どうせなら、あの子の前で殺そうかなぁ。……友達とか仲間とか愛とか……ほんっとくだらないよね。くだらなさすぎる。ねぇ、イズミ? キミもそう思うでしょ?」
再びにこりと笑って4人を見つめた後、冷たい笑みを浮かべながらアオイはじっとイズミを見つめた。
「…………」
それに答えることなく、イズミは黙ってアオイを睨み付ける。
「あーあ。ほんと早くみんな殺しちゃいたいのに……でも、ゲームはこれからだよ。ね? 言ったよね? だから、まだ勝手に死んだりしないでね。君たちを殺すのはこの僕なんだから。楽しみは最後まで取っておかなくちゃ。それじゃあね」
残念そうな顔で話し始めたが、アオイは再び楽しそうにくすっと笑うと、ひらひらと手を振り4人の前から姿を消した。
静かに時間だけが流れていった……。
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