NEVER☆AGAIN~それは運命の出会いから始まった~

ハルカ

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第11章『新たな仲間』

2話

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「なぁ、腹減らない?」
 朝、宿屋を出発し、歩き続けること3時間が経っていた。
 太陽も高い位置にあり、もうすぐ正午になる時間なのだろう。
 歩きながらタクヤは腹を押さえ、元気のない声でイズミをちらりと窺った。
「俺は減ってない。その辺の草でも食ってろ」
 しかし、イズミはタクヤを見ることなく冷たく言い返していた。
「ちょっとっ! そんな言い方ないじゃんっ! 自分が腹減ってないからってっ」
 腹を空かせて元気をなくしていたタクヤであったが、イズミの言葉にカッと顔を赤くしながら怒鳴っていた。
「元気じゃねぇか」
 漸くちらりとタクヤを見ると、イズミはふっと馬鹿にしたように口の端を上げる。
「あのなぁっ!……もうっ」
 更に顔を赤くさせ何かを言い掛けたのだが、タクヤはムスッと口を尖らせると横を向いてしまった。
 そんなタクヤを呆れた顔をしながらイズミは眺めていた。
「あっ!」
 すると突然タクヤが大声で叫んだ。
「なんだよ、うるせぇな」
 タクヤの声で一瞬びくりとしたイズミだったが、すぐに鬱陶しそうな顔で睨み付ける。
「なぁ、あれってもしかして町じゃね?」
 今までの怒りはどこかへ行ってしまったのか、タクヤは嬉しそうな顔で遠くを指差している。
 しかし、普通の人では何かあるのすら分からない大きさであった。
「はぁ? どれが? お前みたいに野生児でも動物でもねぇから見えねぇよ」
「動物っ!?」
「今度こそまともな町だろうな」
 タクヤがムッとしながら声を上げるのを全く無視して、イズミはタクヤが指差した方向をじっと目を細めながら見つめる。
 うっすらと何かあるような気もするが、やはり全く分からなかった。
「まともなってなんだよ? っていうか別に俺のせいじゃないし」
 不機嫌そうに口を尖らせるとタクヤはちらりとイズミを睨み付ける。
「これだから自覚のないバカは。いつも厄介なことに巻き込まれてんじゃねぇか。しかも寄るとこ寄るとこ変なヤツにばっか会うし」
 大きく溜め息を付くと、イズミは呆れた顔でタクヤを眺める。
「ちょっとっ! 誰がバカだよっ! ていうか、どれも俺のせいじゃないじゃんかっ!」
 再び顔を真っ赤にさせると、タクヤは大声で文句を言う。
「だから自覚がないって言ってんだよ。普通にしていれば何も起こんねぇもんを、すぐに首突っ込んで厄介なことにしてんのは誰だよ? 今度また何かしても俺は知らないからな」
 するとイズミはタクヤから目を逸らし、町があると思われる方向へと早足に歩き出してしまった。
「え? ちょっと待てよっ」
 タクヤも慌ててイズミを追う。
 怒っていたとはいえ、結局イズミに嫌われたくはないのだった。



 ☆☆☆



 辿り着いた町は思った以上に大きな町であった。
 今まで見たことのない広さにふたりは期待をしつつ、しかし僅かながらの不安も抱いていた。

 町に一歩足を踏み入れた瞬間、ふとイズミは周りを見回し、なんとなく嫌な気分になり、立ち止まってしまった。
「嫌な予感がするな……」
「何か言った?」
 先を歩いていたタクヤはイズミが立ち止まったことに気が付き、自分も足を止めると振り返りながら話し掛ける。
「いや……」
 しかしイズミはそう言って再び歩き始めた。

 大きな町にしては、あまり魔物の影響がないのか、壊れた所はあまりないようだった。
 道も舗装されていて、建物は白いものが多い。
 屋根は濃い茶色いものが多く、全体に同じような建物が続いている。
 入り口には店の名前と思われる文字が書かれた看板が立てかけており、店の前には若い女の子やその店の店主のような風貌の男が道を歩く人々に声を掛けている。
 道の真ん中には子供たちが何やら線を引き、回りながら遊んでいる姿も見える。
 そして、街の通りから少し外れた道沿いには沢山の住宅が見え、ベランダに布団や洗濯物が干されている。
 つい先日見た町に少し似ているような雰囲気があった。
「へぇー、結構良さそうじゃん。なぁ、腹減ったよ」
 大通りを歩きながら、タクヤは周りを見回し嬉しそうに話す。そしてイズミをじっと見つめると、腹を押さえながら再び訴えたのだった。
「ったく……中華は嫌だぞ。お前、いっつも中華ばっかだからな」
 溜め息を付きながらイズミはちらりとタクヤを見る。
「じゃあ、なんだったらいいんだよ。精進料理みたいなのは嫌だからなっ。腹の足しになんないっ」
 口を尖らすと、タクヤは睨むようにイズミを見た。
「精進料理ってなんだよ……別に脂っこくないものならなんでもいい」
「精進料理っていうのは――」
「阿呆。そんなことは知ってる」
 真面目に答えようとしているタクヤにイズミは呆れながら突っ込みを入れる。
「じゃあさ、なんでもありそうな店にすればいいじゃん。俺とイズミじゃ好みが違うし、どうせどっちかが我慢しなきゃなんないんだし」
「お前にしては珍しくまともな意見だな」
「ど・お・い・う意味だ?」
 意外そうな顔で見つめているイズミをタクヤはじろりと睨み付けた。
「何怒ってんだよ……褒めてんのに」
「絶対バカにしてるくせに」
 口を尖らせながらも怒っている場合ではないと、タクヤは昼食をとる店を探し始めたのだった。
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