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第8章『正体』
5話
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しばらく歩くと町が見えてきた。ユキノ達がいた村からはさほど距離は離れていない。そして、町に近付いてきたところでふとタクヤが口を開いた。
「なんかさぁ」
「なんだよ」
歩きながら前を向いたままイズミが無表情に答える。
「嫌な予感がするんだけど」
同じようにタクヤも前を向いたまま話す。
「嫌な予感?」
イズミはチラッとタクヤを横目で見る。タクヤが嫌な予感がするとは珍しい。野生の勘というやつだろうか?
しかし、タクヤはイズミの方を見ると不安そうな顔で訊いてきたのだった。
「……あのさ、レナって今どこにいるかとか何か聞いた?」
「いや」
なんだそんなことか、と前を向くとイズミは興味なさげに答えるのだが、タクヤは首を傾げながらも話を続ける。
「中華の店って、ユキノさんが教えてくれたんだけど。あそこからそんなに距離はないと思うけど、わざわざ食べに来るかな?」
「さぁな」
「昔、ご両親がいた頃にしたって、こんな世の中なんだし、村を離れて外食するとは思えないんだよな」
「そうだな」
「今だったらもっと無理じゃん?」
「そうだな」
「お金ないって言ってるのに外食なんてしないじゃん? しかもわざわざ隣の町まで」
「そうだな」
「イズミ、俺のこと好き?」
「そ――っ!? アホかお前っ!」
言いかけて、ハッとして気が付くと思い切りタクヤを睨んで立ち止まる。まったく何を考えているのだこの男は、と今度は呆れ返っていた。大きく溜め息をつく。
イズミが立ち止まったことに気が付き、数歩先からタクヤは振り返ると口を尖らせながらその場で話し掛ける。
「だってイズミすっげぇ適当なんだもん。俺の話、ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるって」
溜め息を付き、再び歩き出すとイズミは無表情に答えた。
「ほんとかなぁ……まぁいいや。じゃあさ、やっぱ中華やめにしない?」
タクヤは『もうっ』と頬を膨らませながらも、仕方なさそうに軽く息を吐くと、イズミの横を再び一緒に歩き出す。そしてイズミに尋ねた。
「そうだな」
町まで辿り着き、その中華の店の前まで来たのだが、珍しくふたりの意見が一致しそのまま通り過ぎた。すると――。
「ちょっとぉーっ。なんで行っちゃうのよぉーっ」
店を通り過ぎた瞬間、突然後ろから女の子の声がした。
しかし、ふたりはそれが誰なのか見ずとも分かり、振り返ることなく足早に歩き続ける。
「もうっ! 待ってってばっ! せっかく待ってたのにっ」
店から顔を出したレナは、慌ててふたりを追いかけてきた。
それに気が付いたふたりはぎょっとして振り返ると、今度は走って逃げ出した。
「ちょっとっ! 待ってってばっ!」
レナも負けじと走り出し、ふたりが真剣に逃げていたにもかかわらず追い付くと、イズミの上着の裾を掴んだ。
「引っ張るなっ!」
イズミはハッとして立ち止まると、レナに向かって怒鳴り付け、そして上着を掴むレナの手を払う。イズミの声で気が付いたタクヤも少し先で立ち止まり、仕方なさそうに溜め息を付きながら戻ってきたのだった。
「もうっ! なんで逃げるのよっ」
レナは腰に手を当て頬を膨らませながらふたりを睨み、文句を言う。
「なんとなく」
ふたりは声を揃えて答えると、そっとレナから目を逸らした。『なんとなく』ではなく、明確な理由があるにはあるのだが……。
「どぉいう意味かしら?」
むっとした顔をすると、レナはふたりを交互にじっと覗き込む。
「気にするな」
「そうそう」
無表情に答えるイズミの横で、タクヤは苦笑いしながら頷く。
「もうっ、せっかくふたりに御土産用意して待ってたっていうのに」
相変わらずレナは頬を膨らませながら腰に手を当てている。
いつもニコニコとしているイメージのレナであったが、意外と怒ったりもするんだな、とタクヤはぼんやり思いながらも、ふとレナの言葉に引っかかり問い返した。
「御土産って?」
「どうせお昼まだでしょ? そう思ってふたりに、レナさん特製中華弁当を作ったのよ」
今度はにっこりと微笑みながら答えるレナ。
「嘘ぉーっ」
思わず驚いて声を上げる。ここを通るかどうかも分からないし、他の店に行く可能性だってあったはずなのに、なぜわざわざ自分達にお弁当を? と目をぱちぱちと瞬きさせる。
すると、横からイズミが冷めた目でレナを見て問い掛けたのだった。驚いている様子はない。
「で、今度はなんでこんな所にいるんだ?」
「えっ? 今度はねぇ……えっと……」
珍しくレナが言い淀んでいる。答えようとしながらも上を見ながら何やら考え出した。
どういうことだろう? と不思議そうに首を傾げるタクヤとは反対に、今度は睨み付けるようにイズミがレナを見る。
「なんで考えるんだよ。やっぱ付いてきてるんじゃねぇのか?」
「違うわよぉー。……実はね、前のお店、クビになっちゃって」
ぱっとイズミを見ると、レナはエヘヘと舌を出していた。
「ええっ!? そうなのっ?」
まさかそんな理由だとは思わなかったタクヤは驚いて目を丸くする。
「あ、そ。どうせへまやったんだろ? じゃあ、前にいた叔母さんの所とかいうのはどうしたんだ? そこもクビか?」
しかし、イズミは驚くどころかますます疑う目付きでレナを見ている。
「あそこはたまたま人が足りないっていうから手伝いに行ってただけよ。今は従業員も入っちゃって私は必要ないのよ。クビになったからって叔母さんに甘えることはできないわ」
再び腰に手を当てると、レナは動じることなく平然とした顔で答える。
「ふ~ん。じゃあ、なんで俺たちより先に来てるんだ? 先回りしたとしか思えないけどな?」
「それはイズミ君達がユキノさんの所でゆっくりしてたからでしょ? そんな先回りなんてしないわよ、私だって」
じっと睨み付けるように見ているイズミに、レナは余裕顔で人差し指を立てながら言い返す。
「まぁそうかもな。でもわざわざこんな所まで転職しに来なくても良かったんじゃないのか? それともどこも雇ってもらえなかったのか?」
「それはひ・み・つ」
イズミとレナの言い合いが続いていたが、レナが嬉しそうにウインクしたことで、イズミの闘争心が失せてしまった為、そこで終了となった。
タクヤとの喧嘩とは違い、やはりレナの方が上手である。そして冷静に言い返しているところがタクヤとは違って子供の喧嘩のようにはならないのだろう。
しかし――。
(さすがイズミ君ね。いつまで持つかしら……)
イズミが寒気を感じながら溜め息をついているのを眺めながら、レナは内心焦りを感じていたのだった。レナにはふたりが知らない何か事情があるようであった。もちろんそのことにふたりはまだ気がついてはいない。
「それじゃ、ちょっと待ってて。持ってくるから。なんなら店の中で食べてく?」
すぐににっこりと微笑むと、レナはふたりを見ながら問い掛ける。
「えっ……」
タクヤはどうしようかとイズミをじっと窺う。
「テイクアウトでいい。お前が作ったものを、こんな昼時に店の中で食えるわけがないだろう。それに、ただでさえうるさいってのに、あんたがいたら2倍どころか10倍くらいうるさいしな。俺は飯は静かに食いたいんだ」
目を逸らすとイズミは無表情に淡々と答える。
「イズミ……それは言い過ぎ……」
自分のことも含まれていることには気が付かず、タクヤはレナを気にしながらイズミを見る。
「そう? 皆で楽しくおしゃべりしながら食べるのって美味しいのに」
レナは腰に手を当て不満げに話す。
「そうだよね」
うんうんと頷きながらレナに同意すると、横から物凄い勢いでイズミに睨み付けられタクヤはびくっと体を震わせる。そして、
「あ……いや、えっと……」
自分もレナと同じように考えているものの、イズミに睨まれどう答えたらいいのかと困っていた。
「とにかく、持ち帰りでいいから」
しかしイズミはタクヤを無視して、はっきりと言い切ったのだった。
「昨日は静かすぎて嫌とか言ってたのにねー」
「あぁ? 何か言ったか?」
レナが目を逸らしてぼそりと呟くのを聞き逃さず、イズミは鋭くレナを睨みつける。
「なんでもないですよー。あ~あ、せっかくまた色々話せると思ったのになぁ」
レナは知らん顔で答えると、今度は残念そうに口を尖らせた。
「阿呆。仕事しろ、仕事」
溜め息を付き、イズミは呆れながらレナを眺める。その横では再び言い合いが始まってしまうかとタクヤがおろおろとしていた。
「じゃあ、ちょっと待っててね。今持ってくるから」
しかし、レナはまたにっこりと微笑むと、楽しそうに店の方へと走っていった。
やはりレナはなんだかんだで大人なのだろう。タクヤとは違って。
じっと店の方を見ながら突然タクヤがぼそりと呟いた。
「……なんかさぁ、レナってイズミが好きなのかなぁ」
「はぁ? 何言ってんだ?」
どうしたらそうなるんだと、イズミは嫌そうな顔をしながらも呆れたように聞き返す。
「だってさぁ、いっつもイズミに突っ掛かってくるっていうかさぁ。イズミと話してる時、なんか楽しそうだし」
ふとイズミの方を見ると、タクヤはむすっとして口を尖らせる。昨日のこと、そして今朝のことも思い出しながら再びもやもやとしてきたのだった。
「お前、頭ん中おかしいっていうか、もうやばいんじゃねぇ?」
はぁっと溜め息を付き、イズミは顔を顰めながらタクヤを見る。
「そんなことないよ。だって見てると分かるもん。俺だってイズミのこと好きだからっ」
「バーカ。あれは面白がってるだけだ。そんなことも分かんねぇの? あの女にそんな感情なんてねぇよ」
真剣な表情で口を尖らせたまま話すタクヤを呆れながら眺める。
「そうかなぁ……ってあれ? イズミ怒んないの?」
まだ不満そうにしていたのだが、ふと気付いたことがあり、じっとイズミを覗き込んだ。
「何が?」
鬱陶しそうにちらりとタクヤを横目で見る。
「えっ、だから……あ、そっか」
「勝手にひとりで納得してんな」
言い掛けて急にぽんっと手を打ち納得しているタクヤを睨み付ける。
「ごめん。なんでもないやっ。えっと、でもさ、レナってなんでここまでしてくれんのかな?」
エヘへと笑いながら誤魔化そうと話題を変える。
『イズミのことが好き』というワードはふたりきりの時は大丈夫なんだということに気が付いてタクヤは思わず顔が綻んでいたのだが、そのことにはイズミは気が付いていないようであった。
「……さぁな。お詫びってやつじゃねぇの?」
誤魔化したタクヤにムッとしたのだが、イズミは鬱陶しそうな顔をしながらも適当に答えるのだった。
「なんで?」
タクヤはイズミが突っ込んでこなかったことにホッとしたのだが、今度はイズミの言葉の意味が分からず、不思議そうに首を傾げる。
「酔っ払ってないのに絡んだからだろ」
「えっ? でもだったら俺たちじゃなくて、ユキノさん達にするべきじゃない? お世話になったんだし」
イズミの答えにタクヤは不満そうな顔をする。
「それはあいつのことだから、これからあの女の所へも何かしに行くんじゃねぇの?」
「そっか。でも、俺たちにまでしてくんなくてもいいのにね」
納得はしたが、今度はレナに対して申し訳ないといった気持ちになっていた。
「……お前バカ? あいつ、まだ金いらねーとか言ってないんだぞ? 何勝手にタダで貰おうとか思ってるんだ?」
大きく溜め息をつくと、イズミはタクヤを呆れた顔で眺める。
「えっ? 嘘っ、金取んの?」
イズミに指摘され、思わずぎょっとする。そんなまさか、と思いながらも絶対にないとは言えないのである。
「さぁな。どうせ喜ぶなら、タダで貰ってからにしろよ。頼んでねぇのに金取られたら、かなり迷惑だぞ?」
「……そうだね」
嫌そうに答えるイズミを見ながらタクヤも苦笑いしていた。
「お待たせーっ!」
ふたりがそんな話をしていると、レナが嬉しそうに戻ってきた。
そして手には何か袋のような物を抱えるように持っていた。
「はい。これにふたり分入ってるから仲良く食べてね。中身は開けてからのお・た・の・し・みっ!」
レナはタクヤに手提げ袋を手渡すと、楽しそうに人差し指を立てながらウインクする。
ふたりはそんなレナを見てぞっと寒気を感じていた。
「なぁ、やっぱやめとく? 中、何が入ってるのか怖くなってきちゃった」
思わずタクヤはこそっとイズミに耳打ちする。
「別に。でも断るんなら自分で言えよ」
ちらりと横目で見ると、イズミは無表情に答える。
「うっ……それはもっと怖い。じゃあ、とりあえず貰って、後で中身見てやばそうだったら食うのやめるとか……」
「お前が見ろよ」
「ええっ!!」
「ちょっと、何をふたりでこそこそと話してるのぉー?」
タクヤが声を上げるのと同時に、レナが膨れながら口を挟んだ。
「えっ? いや、なんでもないよ。えっと、これ、ありがとね。貰っちゃっていいのか?」
タクヤはビクッと体をびくつかせると、何とか平静を装いながらレナにお礼を言いつつ念の為確認する。
「ええ。私の奢りよ。じゃんじゃん食べてね。じゃあ私、お店に戻らないといけないから、そろそろ行くわね。それじゃあふたり共、元気でねっ」
しかしレナはふたりに軽くウインクすると、手を振りながら店へと戻っていったのだった。
あっさり戻ってしまったレナの後ろ姿をふたりはぼんやりと眺めていた。
「…………」
そして今度はレナから貰った手提げ袋を片手に、タクヤは訴えるようにじっとイズミを見つめる。お代は不要なことが分かりほっとしたのも束の間、やはりレナに貰ったお弁当の中身が気になる。本当に大丈夫だろうか。
「なんだよ」
見られていることに気が付き、イズミは鬱陶しそうにタクヤを見る。
「なぁ、やっぱ俺が毒味?」
じーっと見つめたまま情けない顔でタクヤが問い返す。
「当たり前だろ。まぁ心配するな。いくらあの女でも死ぬような物は入れんだろ」
イズミは無表情に淡々と答える。
「……イズミ、余計怖くなるようなこと言うなよ……。もうっ、いいやっ。じゃあ出すよ」
えーっとした顔をしながらタクヤはイズミに文句を言いながらも、覚悟を決めると、手提げ袋を左腕にかけ、右手で勢いよく袋の中の物を取り出した。
「あれ? お茶だ……」
「阿呆。それはいいから弁当だろ。問題は」
タクヤが手にしたお茶の缶をきょとんと眺めているのを、イズミは呆れながら突っ込む。
入っていたお茶二缶をイズミに手渡すと、恐る恐る中に入っている箱を取り出す。それは捨てられるような箱で出来ており、1人分ずつ分けられるように2箱入っていた。しかし、まだ中身は見えない。
「開けるよ」
タクヤはごくりと唾を飲み込むと、そっと蓋を開けてみる。
「あれ?」
意外に中身は普通であった。タクヤは拍子抜けしたように弁当をじっと眺める。
「普通だね」
「そうだな」
タクヤがぼそりと呟くと、一緒に覗き込んでいたイズミも無表情に答えた。
「味がおかしいとか」
「じゃあ、お前食ってみろよ」
「ええっ!?……もう、いいやっ」
イズミにさらりと返され、タクヤは顔を顰めながら声を上げるが、再び覚悟を決め、弁当の中の春巻を1つ掴み、口の中に入れた。
「ん?……美味しいよ?」
決死の覚悟のように目を瞑りながら口をもぐもぐとさせていたが、口の中のものがなくなると、意外そうな顔でイズミを見た。
弁当の中身は、春巻の他に、肉まん、餃子、焼売、唐揚、そしてレタス、キュウリ、トマトの生野菜が別にして入っていた。
これらは全て、店の厨房からレナがこっそりと入れた物であったのだが、ふたりはそのことを知らずにいた。
「お前の味覚がおかしいんじゃないだろうな?」
イズミは疑う目付きでタクヤを見る。
「なんだよそれっ。じゃあイズミも食べてみればいいじゃんかっ」
タクヤはムッとして言い返す。
舌打ちしながらも、お茶の缶を一缶タクヤに渡すとイズミも仕方なさそうに焼売を口の中に入れてみる。
「…………」
イズミは黙って口を動かしている。複雑そうな顔はしていない。
「旨いだろ?」
窺うようにタクヤはじっとイズミを覗き込む。
「普通だろ」
焼売を食べ終わると、イズミは無表情に答えるのだが、袋から自分の分の弁当と箸を取り出し、どこか座れる場所を探し始めた。
「えっ……イズミっ」
歩き出してしまったイズミをぎょっとして見ると、タクヤも慌てて後を追った。
そしてイズミはすぐ近くに公園のような所を見つけ、その中へと入っていった。
「なんだよ。ほんとは旨かったんじゃねぇの?」
ベンチに座り、弁当を食べ始めたイズミの横に座ると、タクヤはにやつきながらイズミを覗き込む。
「別に」
イズミは一言だけ言うと、そのまま黙って食べていた。
そしてタクヤもそんなイズミを嬉しそうにじっと見つめた後、自分もレナから貰った弁当を食べ始めた。
「なんかさぁ」
「なんだよ」
歩きながら前を向いたままイズミが無表情に答える。
「嫌な予感がするんだけど」
同じようにタクヤも前を向いたまま話す。
「嫌な予感?」
イズミはチラッとタクヤを横目で見る。タクヤが嫌な予感がするとは珍しい。野生の勘というやつだろうか?
しかし、タクヤはイズミの方を見ると不安そうな顔で訊いてきたのだった。
「……あのさ、レナって今どこにいるかとか何か聞いた?」
「いや」
なんだそんなことか、と前を向くとイズミは興味なさげに答えるのだが、タクヤは首を傾げながらも話を続ける。
「中華の店って、ユキノさんが教えてくれたんだけど。あそこからそんなに距離はないと思うけど、わざわざ食べに来るかな?」
「さぁな」
「昔、ご両親がいた頃にしたって、こんな世の中なんだし、村を離れて外食するとは思えないんだよな」
「そうだな」
「今だったらもっと無理じゃん?」
「そうだな」
「お金ないって言ってるのに外食なんてしないじゃん? しかもわざわざ隣の町まで」
「そうだな」
「イズミ、俺のこと好き?」
「そ――っ!? アホかお前っ!」
言いかけて、ハッとして気が付くと思い切りタクヤを睨んで立ち止まる。まったく何を考えているのだこの男は、と今度は呆れ返っていた。大きく溜め息をつく。
イズミが立ち止まったことに気が付き、数歩先からタクヤは振り返ると口を尖らせながらその場で話し掛ける。
「だってイズミすっげぇ適当なんだもん。俺の話、ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるって」
溜め息を付き、再び歩き出すとイズミは無表情に答えた。
「ほんとかなぁ……まぁいいや。じゃあさ、やっぱ中華やめにしない?」
タクヤは『もうっ』と頬を膨らませながらも、仕方なさそうに軽く息を吐くと、イズミの横を再び一緒に歩き出す。そしてイズミに尋ねた。
「そうだな」
町まで辿り着き、その中華の店の前まで来たのだが、珍しくふたりの意見が一致しそのまま通り過ぎた。すると――。
「ちょっとぉーっ。なんで行っちゃうのよぉーっ」
店を通り過ぎた瞬間、突然後ろから女の子の声がした。
しかし、ふたりはそれが誰なのか見ずとも分かり、振り返ることなく足早に歩き続ける。
「もうっ! 待ってってばっ! せっかく待ってたのにっ」
店から顔を出したレナは、慌ててふたりを追いかけてきた。
それに気が付いたふたりはぎょっとして振り返ると、今度は走って逃げ出した。
「ちょっとっ! 待ってってばっ!」
レナも負けじと走り出し、ふたりが真剣に逃げていたにもかかわらず追い付くと、イズミの上着の裾を掴んだ。
「引っ張るなっ!」
イズミはハッとして立ち止まると、レナに向かって怒鳴り付け、そして上着を掴むレナの手を払う。イズミの声で気が付いたタクヤも少し先で立ち止まり、仕方なさそうに溜め息を付きながら戻ってきたのだった。
「もうっ! なんで逃げるのよっ」
レナは腰に手を当て頬を膨らませながらふたりを睨み、文句を言う。
「なんとなく」
ふたりは声を揃えて答えると、そっとレナから目を逸らした。『なんとなく』ではなく、明確な理由があるにはあるのだが……。
「どぉいう意味かしら?」
むっとした顔をすると、レナはふたりを交互にじっと覗き込む。
「気にするな」
「そうそう」
無表情に答えるイズミの横で、タクヤは苦笑いしながら頷く。
「もうっ、せっかくふたりに御土産用意して待ってたっていうのに」
相変わらずレナは頬を膨らませながら腰に手を当てている。
いつもニコニコとしているイメージのレナであったが、意外と怒ったりもするんだな、とタクヤはぼんやり思いながらも、ふとレナの言葉に引っかかり問い返した。
「御土産って?」
「どうせお昼まだでしょ? そう思ってふたりに、レナさん特製中華弁当を作ったのよ」
今度はにっこりと微笑みながら答えるレナ。
「嘘ぉーっ」
思わず驚いて声を上げる。ここを通るかどうかも分からないし、他の店に行く可能性だってあったはずなのに、なぜわざわざ自分達にお弁当を? と目をぱちぱちと瞬きさせる。
すると、横からイズミが冷めた目でレナを見て問い掛けたのだった。驚いている様子はない。
「で、今度はなんでこんな所にいるんだ?」
「えっ? 今度はねぇ……えっと……」
珍しくレナが言い淀んでいる。答えようとしながらも上を見ながら何やら考え出した。
どういうことだろう? と不思議そうに首を傾げるタクヤとは反対に、今度は睨み付けるようにイズミがレナを見る。
「なんで考えるんだよ。やっぱ付いてきてるんじゃねぇのか?」
「違うわよぉー。……実はね、前のお店、クビになっちゃって」
ぱっとイズミを見ると、レナはエヘヘと舌を出していた。
「ええっ!? そうなのっ?」
まさかそんな理由だとは思わなかったタクヤは驚いて目を丸くする。
「あ、そ。どうせへまやったんだろ? じゃあ、前にいた叔母さんの所とかいうのはどうしたんだ? そこもクビか?」
しかし、イズミは驚くどころかますます疑う目付きでレナを見ている。
「あそこはたまたま人が足りないっていうから手伝いに行ってただけよ。今は従業員も入っちゃって私は必要ないのよ。クビになったからって叔母さんに甘えることはできないわ」
再び腰に手を当てると、レナは動じることなく平然とした顔で答える。
「ふ~ん。じゃあ、なんで俺たちより先に来てるんだ? 先回りしたとしか思えないけどな?」
「それはイズミ君達がユキノさんの所でゆっくりしてたからでしょ? そんな先回りなんてしないわよ、私だって」
じっと睨み付けるように見ているイズミに、レナは余裕顔で人差し指を立てながら言い返す。
「まぁそうかもな。でもわざわざこんな所まで転職しに来なくても良かったんじゃないのか? それともどこも雇ってもらえなかったのか?」
「それはひ・み・つ」
イズミとレナの言い合いが続いていたが、レナが嬉しそうにウインクしたことで、イズミの闘争心が失せてしまった為、そこで終了となった。
タクヤとの喧嘩とは違い、やはりレナの方が上手である。そして冷静に言い返しているところがタクヤとは違って子供の喧嘩のようにはならないのだろう。
しかし――。
(さすがイズミ君ね。いつまで持つかしら……)
イズミが寒気を感じながら溜め息をついているのを眺めながら、レナは内心焦りを感じていたのだった。レナにはふたりが知らない何か事情があるようであった。もちろんそのことにふたりはまだ気がついてはいない。
「それじゃ、ちょっと待ってて。持ってくるから。なんなら店の中で食べてく?」
すぐににっこりと微笑むと、レナはふたりを見ながら問い掛ける。
「えっ……」
タクヤはどうしようかとイズミをじっと窺う。
「テイクアウトでいい。お前が作ったものを、こんな昼時に店の中で食えるわけがないだろう。それに、ただでさえうるさいってのに、あんたがいたら2倍どころか10倍くらいうるさいしな。俺は飯は静かに食いたいんだ」
目を逸らすとイズミは無表情に淡々と答える。
「イズミ……それは言い過ぎ……」
自分のことも含まれていることには気が付かず、タクヤはレナを気にしながらイズミを見る。
「そう? 皆で楽しくおしゃべりしながら食べるのって美味しいのに」
レナは腰に手を当て不満げに話す。
「そうだよね」
うんうんと頷きながらレナに同意すると、横から物凄い勢いでイズミに睨み付けられタクヤはびくっと体を震わせる。そして、
「あ……いや、えっと……」
自分もレナと同じように考えているものの、イズミに睨まれどう答えたらいいのかと困っていた。
「とにかく、持ち帰りでいいから」
しかしイズミはタクヤを無視して、はっきりと言い切ったのだった。
「昨日は静かすぎて嫌とか言ってたのにねー」
「あぁ? 何か言ったか?」
レナが目を逸らしてぼそりと呟くのを聞き逃さず、イズミは鋭くレナを睨みつける。
「なんでもないですよー。あ~あ、せっかくまた色々話せると思ったのになぁ」
レナは知らん顔で答えると、今度は残念そうに口を尖らせた。
「阿呆。仕事しろ、仕事」
溜め息を付き、イズミは呆れながらレナを眺める。その横では再び言い合いが始まってしまうかとタクヤがおろおろとしていた。
「じゃあ、ちょっと待っててね。今持ってくるから」
しかし、レナはまたにっこりと微笑むと、楽しそうに店の方へと走っていった。
やはりレナはなんだかんだで大人なのだろう。タクヤとは違って。
じっと店の方を見ながら突然タクヤがぼそりと呟いた。
「……なんかさぁ、レナってイズミが好きなのかなぁ」
「はぁ? 何言ってんだ?」
どうしたらそうなるんだと、イズミは嫌そうな顔をしながらも呆れたように聞き返す。
「だってさぁ、いっつもイズミに突っ掛かってくるっていうかさぁ。イズミと話してる時、なんか楽しそうだし」
ふとイズミの方を見ると、タクヤはむすっとして口を尖らせる。昨日のこと、そして今朝のことも思い出しながら再びもやもやとしてきたのだった。
「お前、頭ん中おかしいっていうか、もうやばいんじゃねぇ?」
はぁっと溜め息を付き、イズミは顔を顰めながらタクヤを見る。
「そんなことないよ。だって見てると分かるもん。俺だってイズミのこと好きだからっ」
「バーカ。あれは面白がってるだけだ。そんなことも分かんねぇの? あの女にそんな感情なんてねぇよ」
真剣な表情で口を尖らせたまま話すタクヤを呆れながら眺める。
「そうかなぁ……ってあれ? イズミ怒んないの?」
まだ不満そうにしていたのだが、ふと気付いたことがあり、じっとイズミを覗き込んだ。
「何が?」
鬱陶しそうにちらりとタクヤを横目で見る。
「えっ、だから……あ、そっか」
「勝手にひとりで納得してんな」
言い掛けて急にぽんっと手を打ち納得しているタクヤを睨み付ける。
「ごめん。なんでもないやっ。えっと、でもさ、レナってなんでここまでしてくれんのかな?」
エヘへと笑いながら誤魔化そうと話題を変える。
『イズミのことが好き』というワードはふたりきりの時は大丈夫なんだということに気が付いてタクヤは思わず顔が綻んでいたのだが、そのことにはイズミは気が付いていないようであった。
「……さぁな。お詫びってやつじゃねぇの?」
誤魔化したタクヤにムッとしたのだが、イズミは鬱陶しそうな顔をしながらも適当に答えるのだった。
「なんで?」
タクヤはイズミが突っ込んでこなかったことにホッとしたのだが、今度はイズミの言葉の意味が分からず、不思議そうに首を傾げる。
「酔っ払ってないのに絡んだからだろ」
「えっ? でもだったら俺たちじゃなくて、ユキノさん達にするべきじゃない? お世話になったんだし」
イズミの答えにタクヤは不満そうな顔をする。
「それはあいつのことだから、これからあの女の所へも何かしに行くんじゃねぇの?」
「そっか。でも、俺たちにまでしてくんなくてもいいのにね」
納得はしたが、今度はレナに対して申し訳ないといった気持ちになっていた。
「……お前バカ? あいつ、まだ金いらねーとか言ってないんだぞ? 何勝手にタダで貰おうとか思ってるんだ?」
大きく溜め息をつくと、イズミはタクヤを呆れた顔で眺める。
「えっ? 嘘っ、金取んの?」
イズミに指摘され、思わずぎょっとする。そんなまさか、と思いながらも絶対にないとは言えないのである。
「さぁな。どうせ喜ぶなら、タダで貰ってからにしろよ。頼んでねぇのに金取られたら、かなり迷惑だぞ?」
「……そうだね」
嫌そうに答えるイズミを見ながらタクヤも苦笑いしていた。
「お待たせーっ!」
ふたりがそんな話をしていると、レナが嬉しそうに戻ってきた。
そして手には何か袋のような物を抱えるように持っていた。
「はい。これにふたり分入ってるから仲良く食べてね。中身は開けてからのお・た・の・し・みっ!」
レナはタクヤに手提げ袋を手渡すと、楽しそうに人差し指を立てながらウインクする。
ふたりはそんなレナを見てぞっと寒気を感じていた。
「なぁ、やっぱやめとく? 中、何が入ってるのか怖くなってきちゃった」
思わずタクヤはこそっとイズミに耳打ちする。
「別に。でも断るんなら自分で言えよ」
ちらりと横目で見ると、イズミは無表情に答える。
「うっ……それはもっと怖い。じゃあ、とりあえず貰って、後で中身見てやばそうだったら食うのやめるとか……」
「お前が見ろよ」
「ええっ!!」
「ちょっと、何をふたりでこそこそと話してるのぉー?」
タクヤが声を上げるのと同時に、レナが膨れながら口を挟んだ。
「えっ? いや、なんでもないよ。えっと、これ、ありがとね。貰っちゃっていいのか?」
タクヤはビクッと体をびくつかせると、何とか平静を装いながらレナにお礼を言いつつ念の為確認する。
「ええ。私の奢りよ。じゃんじゃん食べてね。じゃあ私、お店に戻らないといけないから、そろそろ行くわね。それじゃあふたり共、元気でねっ」
しかしレナはふたりに軽くウインクすると、手を振りながら店へと戻っていったのだった。
あっさり戻ってしまったレナの後ろ姿をふたりはぼんやりと眺めていた。
「…………」
そして今度はレナから貰った手提げ袋を片手に、タクヤは訴えるようにじっとイズミを見つめる。お代は不要なことが分かりほっとしたのも束の間、やはりレナに貰ったお弁当の中身が気になる。本当に大丈夫だろうか。
「なんだよ」
見られていることに気が付き、イズミは鬱陶しそうにタクヤを見る。
「なぁ、やっぱ俺が毒味?」
じーっと見つめたまま情けない顔でタクヤが問い返す。
「当たり前だろ。まぁ心配するな。いくらあの女でも死ぬような物は入れんだろ」
イズミは無表情に淡々と答える。
「……イズミ、余計怖くなるようなこと言うなよ……。もうっ、いいやっ。じゃあ出すよ」
えーっとした顔をしながらタクヤはイズミに文句を言いながらも、覚悟を決めると、手提げ袋を左腕にかけ、右手で勢いよく袋の中の物を取り出した。
「あれ? お茶だ……」
「阿呆。それはいいから弁当だろ。問題は」
タクヤが手にしたお茶の缶をきょとんと眺めているのを、イズミは呆れながら突っ込む。
入っていたお茶二缶をイズミに手渡すと、恐る恐る中に入っている箱を取り出す。それは捨てられるような箱で出来ており、1人分ずつ分けられるように2箱入っていた。しかし、まだ中身は見えない。
「開けるよ」
タクヤはごくりと唾を飲み込むと、そっと蓋を開けてみる。
「あれ?」
意外に中身は普通であった。タクヤは拍子抜けしたように弁当をじっと眺める。
「普通だね」
「そうだな」
タクヤがぼそりと呟くと、一緒に覗き込んでいたイズミも無表情に答えた。
「味がおかしいとか」
「じゃあ、お前食ってみろよ」
「ええっ!?……もう、いいやっ」
イズミにさらりと返され、タクヤは顔を顰めながら声を上げるが、再び覚悟を決め、弁当の中の春巻を1つ掴み、口の中に入れた。
「ん?……美味しいよ?」
決死の覚悟のように目を瞑りながら口をもぐもぐとさせていたが、口の中のものがなくなると、意外そうな顔でイズミを見た。
弁当の中身は、春巻の他に、肉まん、餃子、焼売、唐揚、そしてレタス、キュウリ、トマトの生野菜が別にして入っていた。
これらは全て、店の厨房からレナがこっそりと入れた物であったのだが、ふたりはそのことを知らずにいた。
「お前の味覚がおかしいんじゃないだろうな?」
イズミは疑う目付きでタクヤを見る。
「なんだよそれっ。じゃあイズミも食べてみればいいじゃんかっ」
タクヤはムッとして言い返す。
舌打ちしながらも、お茶の缶を一缶タクヤに渡すとイズミも仕方なさそうに焼売を口の中に入れてみる。
「…………」
イズミは黙って口を動かしている。複雑そうな顔はしていない。
「旨いだろ?」
窺うようにタクヤはじっとイズミを覗き込む。
「普通だろ」
焼売を食べ終わると、イズミは無表情に答えるのだが、袋から自分の分の弁当と箸を取り出し、どこか座れる場所を探し始めた。
「えっ……イズミっ」
歩き出してしまったイズミをぎょっとして見ると、タクヤも慌てて後を追った。
そしてイズミはすぐ近くに公園のような所を見つけ、その中へと入っていった。
「なんだよ。ほんとは旨かったんじゃねぇの?」
ベンチに座り、弁当を食べ始めたイズミの横に座ると、タクヤはにやつきながらイズミを覗き込む。
「別に」
イズミは一言だけ言うと、そのまま黙って食べていた。
そしてタクヤもそんなイズミを嬉しそうにじっと見つめた後、自分もレナから貰った弁当を食べ始めた。
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