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Lovers~晴れのち曇り、時々雨~【スピンオフ】
第26話
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体が柔らかい布団に沈んだのが分かった。ベッドに押し倒されたのだ。
両肩を押さえ付けられたまま、眉間に皺を寄せながらセバスチャンはイーサンを睨み付ける。
しかし、イーサンは口の端をくいっと上げて嬉しそうな顔で見下ろしているだけであった。
「おいっ! この状況はなんだっ! 俺は明日仕事だと言っただろうっ!」
笑みを浮かべているイーサンに向かって思い切り睨みながら怒鳴り付ける。
やはり、この男を部屋に入れるのではなかったと後悔する。一緒に過ごすだけで済むはずがないのだ。
「俺は明日も休みだ」
「だから、そういうことじゃないっ!」
しれっとして答えるイーサンに更に頭にきた。
「じゃあ、どういうことだ?」
今度は不思議そうな顔になると、イーサンはこてんと首を傾げる。
「だからっ、お前よりも俺のが大変なんだってことだよっ」
かぁっと顔を赤く染めながらセバスチャンが怒鳴り付ける。
「……あぁ、そういうことか。だったら大丈夫だ」
少し考えた後、漸く理解したのかイーサンは真面目な顔でそう答えた。
「はぁっ? 何が大丈夫なんだよっ!」
全く分かっていないと、顔を赤くしたままセバスチャンは更に声を荒げる。
「ん? だから、それくらいなら俺でもなんとかできるってことだ」
「なんとかってなんだっ! お前いつも俺が動けなくなってるの知ってるだろうっ!」
しれっとした顔をしているイーサンにこれでもかと怒鳴り付ける。
自分がどれだけ大変な思いをしているかなど、いつも平然としているこいつに分かるはずがないと思いつつも、言わずにはいられなかった。
「あぁ。いつもはわざとセバスチャンが動けないようにしてんだよ。そうしないとセバスチャン、俺を置いてひとりで朝飯食いに行っちまうだろう?」
じっと顔を見つめながらイーサンが言い訳をする。
「はぁっ?」
何を言っているんだと思い切り睨み付けた。
「だから、今日はちゃんとするって言ってるんだ。体の痛みとかだるさとかも、それくらいなら俺でも治せるし、できるだけ負担にならないようにする」
しかし、セバスチャンの睨みも全く効いておらず、イーサンはふわっとセバスチャンの髪を撫でた。
「お前に何が分かるんだっ!」
先程よりも顔を真っ赤にさせながら、セバスチャンは怒鳴ってイーサンの手を叩く。
「痛っ……ったく、怒るなよ。大丈夫だって」
そう言って今度は手を頬に移動させると、イーサンはセバスチャンの唇にそっと口付けをする。
「んっ……」
ぐいぐいとイーサンの胸を押してどかそうとするが全く動かない。
いつもそうだ。力で敵うはずもないとは分かっているのだが、無駄な抵抗をしてしまう。
「セバスチャン」
唇を離すと今度は耳たぶを甘噛みするイーサン。
「っ!?」
ぞくりと体が震える。耳が弱いことを知っていてこういうことをするのだ、この男は。
「やめっ……」
そのままぺろりと耳を舐められ更にぞくっとする。
「ほんと耳弱いよな、セバスチャンって」
耳元でくすっと笑い声と低い声が聞こえてきた。
「う、うるさいっ!」
そのまま頬と首筋にキスをしているイーサンに向かって怒鳴り付けるが、やはり全く聞き入れてはもらえない。
時々さわさわとイーサンの前髪が顔や首に当たってくすぐったくなる。
その度にぞくぞくと体が震えてしまう。
「ん……」
びくっと体を震わせ声が漏れる。
「……そんな、エロい声出すなよ。我慢できなくなるだろ?」
再び耳元でイーサンが低い声で呟いた。
「なっ……」
恥ずかしさで顔が真っ赤になり体温が上昇していく。
そんなセバスチャンの様子に気が付いたかどうかは分からないが、ガバッと体を起こしたかと思うと、イーサンが上着を脱ぎ始める。
「ちょっ……ちょっと待てっ! さっきも言ったが、俺は明日仕事なんだっ!」
赤い顔のまま焦ったように声を上げる。
「…………」
すると、イーサンは意外そうな顔でちらりと黙ってセバスチャンを見下ろした。
「だ、だからっ」
「ふぅん? その反応は期待してるってことでいいんだよな?」
続けて話そうとしたセバスチャンの言葉を遮るように、イーサンは口の端を上げながらじっと見下ろしてきた。
「なっ!?……何を言ってるんだ! ち、違うっ!」
あまりの恥ずかしさで体中から湯気でも出そうな程に熱くなっていく。
「どう違うんだ? なんだかんだ言ってセバスチャンも期待してるってことだろ?」
にやりとした顔のままじっとセバスチャンを見下ろし、イーサンはネクタイをぐいっと緩めて外すとそのまま床に放った。
「ち、違うっ! き、期待なんかするかっ! 勝手なことを言うなっ!」
恥ずかしさから涙ぐみ、それでも目を見開きながら大声で反発する。
「ふむ……まぁいいさ。セバスチャンが素直じゃないのなんていつものことだからな」
シャツのボタンも全て外したイーサンは、シャツも脱いでバサッと床へと放り投げた。
イーサンの強靭な上半身が露となった。
見慣れているはずなのに、なぜだか無性に恥ずかしくて顔を背けるが、いつの間にかイーサンはセバスチャンの上着のボタンを外し始めていた。
「だ、だから待てと言っているだろっ!」
ハッと気が付き慌ててイーサンの手を掴み、睨み上げる。
「俺は犬じゃない。それに、2週間も放っておかれてこのまま帰るわけないだろう。なぁ? セバスチャン」
淡々と話しているが、どこか意地悪そうな声色に聞こえてくる。
必死に掴んだ手もむなしく、イーサンはセバスチャンの上着のボタンを全て外してしまった。
そして今度はセバスチャンのタイを外し、シャツのボタンを1つずつ外し始める。
「べ、別にっ、俺が放っていたわけじゃないだろっ! お前が勝手にっ――」
「そうだな。俺が勝手に拗ねてただけだ。でも、会いに来なかったじゃないか、セバスチャンも」
怒って言い返すセバスチャンの言葉に被せながら、今度はどこか責めるような口調でイーサンが話す。
「だ、だからってっ!」
「もう限界なんだよ」
睨み付けるセバスチャンを無視するように、イーサンは低い声でそう言うと、そのまま覆いかぶさるようにセバスチャンの体の上に自分の体を合わせ、強引に唇を重ねたのだった。
両肩を押さえ付けられたまま、眉間に皺を寄せながらセバスチャンはイーサンを睨み付ける。
しかし、イーサンは口の端をくいっと上げて嬉しそうな顔で見下ろしているだけであった。
「おいっ! この状況はなんだっ! 俺は明日仕事だと言っただろうっ!」
笑みを浮かべているイーサンに向かって思い切り睨みながら怒鳴り付ける。
やはり、この男を部屋に入れるのではなかったと後悔する。一緒に過ごすだけで済むはずがないのだ。
「俺は明日も休みだ」
「だから、そういうことじゃないっ!」
しれっとして答えるイーサンに更に頭にきた。
「じゃあ、どういうことだ?」
今度は不思議そうな顔になると、イーサンはこてんと首を傾げる。
「だからっ、お前よりも俺のが大変なんだってことだよっ」
かぁっと顔を赤く染めながらセバスチャンが怒鳴り付ける。
「……あぁ、そういうことか。だったら大丈夫だ」
少し考えた後、漸く理解したのかイーサンは真面目な顔でそう答えた。
「はぁっ? 何が大丈夫なんだよっ!」
全く分かっていないと、顔を赤くしたままセバスチャンは更に声を荒げる。
「ん? だから、それくらいなら俺でもなんとかできるってことだ」
「なんとかってなんだっ! お前いつも俺が動けなくなってるの知ってるだろうっ!」
しれっとした顔をしているイーサンにこれでもかと怒鳴り付ける。
自分がどれだけ大変な思いをしているかなど、いつも平然としているこいつに分かるはずがないと思いつつも、言わずにはいられなかった。
「あぁ。いつもはわざとセバスチャンが動けないようにしてんだよ。そうしないとセバスチャン、俺を置いてひとりで朝飯食いに行っちまうだろう?」
じっと顔を見つめながらイーサンが言い訳をする。
「はぁっ?」
何を言っているんだと思い切り睨み付けた。
「だから、今日はちゃんとするって言ってるんだ。体の痛みとかだるさとかも、それくらいなら俺でも治せるし、できるだけ負担にならないようにする」
しかし、セバスチャンの睨みも全く効いておらず、イーサンはふわっとセバスチャンの髪を撫でた。
「お前に何が分かるんだっ!」
先程よりも顔を真っ赤にさせながら、セバスチャンは怒鳴ってイーサンの手を叩く。
「痛っ……ったく、怒るなよ。大丈夫だって」
そう言って今度は手を頬に移動させると、イーサンはセバスチャンの唇にそっと口付けをする。
「んっ……」
ぐいぐいとイーサンの胸を押してどかそうとするが全く動かない。
いつもそうだ。力で敵うはずもないとは分かっているのだが、無駄な抵抗をしてしまう。
「セバスチャン」
唇を離すと今度は耳たぶを甘噛みするイーサン。
「っ!?」
ぞくりと体が震える。耳が弱いことを知っていてこういうことをするのだ、この男は。
「やめっ……」
そのままぺろりと耳を舐められ更にぞくっとする。
「ほんと耳弱いよな、セバスチャンって」
耳元でくすっと笑い声と低い声が聞こえてきた。
「う、うるさいっ!」
そのまま頬と首筋にキスをしているイーサンに向かって怒鳴り付けるが、やはり全く聞き入れてはもらえない。
時々さわさわとイーサンの前髪が顔や首に当たってくすぐったくなる。
その度にぞくぞくと体が震えてしまう。
「ん……」
びくっと体を震わせ声が漏れる。
「……そんな、エロい声出すなよ。我慢できなくなるだろ?」
再び耳元でイーサンが低い声で呟いた。
「なっ……」
恥ずかしさで顔が真っ赤になり体温が上昇していく。
そんなセバスチャンの様子に気が付いたかどうかは分からないが、ガバッと体を起こしたかと思うと、イーサンが上着を脱ぎ始める。
「ちょっ……ちょっと待てっ! さっきも言ったが、俺は明日仕事なんだっ!」
赤い顔のまま焦ったように声を上げる。
「…………」
すると、イーサンは意外そうな顔でちらりと黙ってセバスチャンを見下ろした。
「だ、だからっ」
「ふぅん? その反応は期待してるってことでいいんだよな?」
続けて話そうとしたセバスチャンの言葉を遮るように、イーサンは口の端を上げながらじっと見下ろしてきた。
「なっ!?……何を言ってるんだ! ち、違うっ!」
あまりの恥ずかしさで体中から湯気でも出そうな程に熱くなっていく。
「どう違うんだ? なんだかんだ言ってセバスチャンも期待してるってことだろ?」
にやりとした顔のままじっとセバスチャンを見下ろし、イーサンはネクタイをぐいっと緩めて外すとそのまま床に放った。
「ち、違うっ! き、期待なんかするかっ! 勝手なことを言うなっ!」
恥ずかしさから涙ぐみ、それでも目を見開きながら大声で反発する。
「ふむ……まぁいいさ。セバスチャンが素直じゃないのなんていつものことだからな」
シャツのボタンも全て外したイーサンは、シャツも脱いでバサッと床へと放り投げた。
イーサンの強靭な上半身が露となった。
見慣れているはずなのに、なぜだか無性に恥ずかしくて顔を背けるが、いつの間にかイーサンはセバスチャンの上着のボタンを外し始めていた。
「だ、だから待てと言っているだろっ!」
ハッと気が付き慌ててイーサンの手を掴み、睨み上げる。
「俺は犬じゃない。それに、2週間も放っておかれてこのまま帰るわけないだろう。なぁ? セバスチャン」
淡々と話しているが、どこか意地悪そうな声色に聞こえてくる。
必死に掴んだ手もむなしく、イーサンはセバスチャンの上着のボタンを全て外してしまった。
そして今度はセバスチャンのタイを外し、シャツのボタンを1つずつ外し始める。
「べ、別にっ、俺が放っていたわけじゃないだろっ! お前が勝手にっ――」
「そうだな。俺が勝手に拗ねてただけだ。でも、会いに来なかったじゃないか、セバスチャンも」
怒って言い返すセバスチャンの言葉に被せながら、今度はどこか責めるような口調でイーサンが話す。
「だ、だからってっ!」
「もう限界なんだよ」
睨み付けるセバスチャンを無視するように、イーサンは低い声でそう言うと、そのまま覆いかぶさるようにセバスチャンの体の上に自分の体を合わせ、強引に唇を重ねたのだった。
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