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Wedding~消えた花嫁~
第19話
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目的の塔は別の建物ではないが、屋上の端から少し離れていた。
今いる屋上より少し高く、塔までの距離は約3メートルといったところだろうか。
端に立ち、下を覗くと屋上から2階分くらい下の所に屋根が見える。
そこで建物が繋がっているのかもしれない。
しかし、怪我はしないかもしれないが、その後のことを考えると落ちる訳にはいかないだろう。
「飛び移るぞ」
じっと塔の屋根を見つめながらライアンが話す。
「待ってライアン。やっぱりやめよう。もし上手く飛び移れなかったら落ちてしまうよ。そうまでして隠れる必要はないんじゃないかな」
ライアンの横に並んだジェイクは心配そうにライアンの横顔をじっと見る。
「まぁ、お前は無理かもな。犬だし。俺は今虎だぞ? これくらい大したことはない」
ふふんと勝ち誇ったようにライアンはちらりとジェイクを見た。
「ちょっとライアンっ。そんなことでジェイクと競わないでよ。他で勝てないからって」
なぜかアリスがむっとした顔で文句を言う。
どうもライアンはジェイクにライバル意識を持っているんじゃないかと疑っている。
「うるせぇよ。つか、別に俺はジェイクに負けたことなんかねぇし。……とにかく、俺はあそこに行く」
じろりとアリスを睨み付けた後、ライアンは再び塔を見つめる。
万が一上手く飛び移れなかったとしても、下の屋根までの距離はそこまで高くはない。
なんとかなるだろうという気持ちと、なぜだか『あそこ』へ行かなくてはならないといった気持ちに駆られていた。
「ライアン……」
困った顔でジェイクがじっとライアンを見つめる。
しかし、ライアンの目を見て説得しても無駄だということが分かり、深く溜め息を付く。
「どうしても行くんだね?」
「え? ちょっとジェイク? まさか……」
じっと真剣な顔でライアンを見つめるジェイクの言葉にアリスが驚く。
まさかジェイクも行くのでは? と目をパチパチと瞬きさせた。
「心配しないでアリス。俺は行かないよ」
「あぁ、それが正解だ」
ジェイクがアリスを振り返って答えた瞬間、ライアンはそう言うと、ぐっと前足に力を入れ、高く跳んだ――。
「ライアンっ!」
驚いたアリスが声を上げた。
「ちっ……静かにしろよ」
塔の屋根に飛び移ったライアンはなんとか爪を屋根の隙間に入れて落ちずに済んではいるが、そこからどうやって窓へ行こうというのか。
「ライアン、気を付けて……」
おろおろと心配したジェイクが小声で声を掛ける。
「これくらいなんてことねぇよ」
さすがは虎である。傾斜の大きい屋根の上をなんなく歩いている。
とはいえ、大きな虎の体ではいつ滑り落ちてもおかしくない状況には変わりなかった。
ゆっくりと慎重に横に移動して開いている窓へと向かう。
そして窓枠に手を掛けたその時――。
がくんとライアンの後ろ脚が滑った。
「ライアンっ!!」
アリスが思わず二本足で立ち上がって大声で叫んだ。
「ライアンっ!」
その声に反応するように、ライアンを呼ぶ声と、開いた窓からぎゅっとライアンの前足を掴む手があった。
「っ!」
ぐっと前足に力を入れていたライアンは、滑り落ちることなくなんとか持ちこたえていたのだが、自分の前足を掴んだ人物に思わず息を呑んだ。
なんと、ライアンの前足を必死に掴んでいたのは、真っ白なウエディングドレスを着たキティだったのだ。
「キティっ!」
「っ!」
ライアンの無事を確認した後、窓のそばにいた人物に気が付いたアリスが大声でその名を呼ぶ。
ジェイクもまた、声もなく驚いていた。
まさか、こんな所にいたとは……。
「キティ……」
驚きと安堵でライアンは力が抜けそうになってしまったが、再び後ろ足が滑りそうになり、前足に力を入れるとそのまま体を窓の中へと押し上げた。
「ライアンっ!」
部屋の中に入ったライアンの体をキティがぎゅっと抱き締める。
大きな虎の為、キティの腕では途中までしか届いてはいなかったが、必死に抱きついていた。
「キティ……」
再び名前を呼ぶと、ライアンはするりとキティの顔に頬擦りした。
「良かった……無事で……」
ジェイクの背中の上で再びお座りの姿勢を取ると、アリスがうるうると目を潤ませていた。
「うん……さすがライアンだね」
あそこまで意固地になっていたのは、もしかしたら何か本能で感じ取っていたのかもしれないと、ジェイクは何度も頷いていた。
「みーつけたっ!」
4人が感動に浸っていると、ジェイクとアリスの後ろから子供のような声が聞こえてきた。
「っ!」
驚いて振り返ると、そこには1匹の妖精がにこにこと笑いながら飛んでいたのだった。
「あーあ、見つかっちゃったね、アリス。折角ふたりでイチャイチャしようと思ったのに、残念だね」
今、ライアンとキティは塔の屋根裏部屋の中である。妖精が気が付いているかどうかは分からない為、ジェイクはわざと自分とアリスだけのように振る舞った。
そのことに気が付いたアリスもジェイクに合わせる。
「屋上なら見つからないと思ったのにねー。……ねぇ、妖精さん。他の人たちはもう見つかったの? 僕たちが最初?」
大きく溜め息を付いた後、きょとんとした顔で首を傾げてみせる。
「見つけたのは君たちで4人目だよ。じゃあ、猫くんは犬くんの背中から下りてね」
ふふっと笑うと妖精がそう説明した。
4人目と言っているが、残りの2人は誰なのか。
ジェイクはひやりとしながらも、再び素知らぬ顔で妖精に尋ねた。
「俺たちの前に見つけたのは誰なんだい?」
「僕が見つけた訳じゃないけど、梟と鷹だよ」
その答えにジェイクとアリスは顔を見合わせた。
どうやらライアンのことはバレていないようだと安心する。
「なーんだ。セバスチャンとイーサン、だっさー」
妖精の指示通り、ジェイクの背中からぴょんと下りると、くすくすとアリスが笑う。
本当にそう思っていそうではあるが、ほっとした安心感からかもしれない。
「じゃあ、僕と一緒に戻るよ。でも、その前に……」
妖精はくるくるっと指を回し始めた。
すると何かキラキラとした粉のような物がジェイクとアリスの周りに降りかかってきた。
そしてそれは突然眩しいくらいの光となってふたりを包んだ。
「まぶしっ……」
アリスとジェイクは思わず目を瞑る。
次第に今まで感じていた手と足の感覚が変わる。
「え……?」
何が起こったのかとアリスは首を傾げながらそっと目を開ける。
光はいつの間にか消えていた。
そして目に見える風景が先程と少し違うことに気が付く。
きょろきょろと周りを見回すと、再び驚いて声を上げた。
「えっ!」
見えたのは、先程まで隣にいた白い大きな犬の姿のジェイクではなく、いつも見慣れた金髪碧眼の青年の姿だった。
「ジェイクっ!」
思わずジェイクに飛びついた。
「アリスっ」
そしてジェイクもまた、目の前のアリスが黒猫ではなく、可愛らしい少年に戻っていることに気が付き、飛びついてきたアリスをぎゅっと抱き締めた。
「戻ったぁぁ」
アリスはジェイクの首にぎゅっとしがみつきながら泣き出していた。
あのまま戻らないとは思っていなかったが、やはり不安だったのだろう。
「アリス」
ジェイクはアリスの頭をそっと撫でながら頬にキスをした。
ぱっと顔を上げたアリスは目を大きく開く。
大きな目にいっぱい涙が溜まっている。
見つめ合った後、ふたりは自然とお互いの唇を重ねていた。
「ねぇちょっとー。いつまでイチャイチャしてるのぉー? 戻るよー」
ふたりの唇が重なった瞬間、妖精が割って入ってきた。
「もうっ。邪魔しないでよ。やっとイチャイチャできると思ったのにー」
「ちょっとアリス、ダメだよっ」
むっとしてアリスが妖精を睨み付けると、ジェイクが慌ててアリスを止める。
妖精の機嫌を損ねてまた動物にされたら堪ったものではない。
「何か文句ある?」
じっと見つめる妖精を見てふたりは思わずぎょっとする。
「なんにもないですっ。戻ろっ」
慌ててアリスはジェイクから離れると目の前をふわふわと飛んでいる妖精を見上げた。
「うん。じゃあ戻ろっ」
根に持つタイプではなかったようで、妖精は気にすることなくふわふわと屋上の入口の方へと飛んでいく。
「…………」
アリスとジェイクは顔を見合わせると、同時にちらりと隣の塔を振り返った。
いつの間にか屋根裏部屋の窓は閉まっていた。恐らくキティが閉じたのだろう。
再び顔を見合わせると、手を繋ぎ合い、ふたりは走って妖精の後を追い掛けたのだった。
今いる屋上より少し高く、塔までの距離は約3メートルといったところだろうか。
端に立ち、下を覗くと屋上から2階分くらい下の所に屋根が見える。
そこで建物が繋がっているのかもしれない。
しかし、怪我はしないかもしれないが、その後のことを考えると落ちる訳にはいかないだろう。
「飛び移るぞ」
じっと塔の屋根を見つめながらライアンが話す。
「待ってライアン。やっぱりやめよう。もし上手く飛び移れなかったら落ちてしまうよ。そうまでして隠れる必要はないんじゃないかな」
ライアンの横に並んだジェイクは心配そうにライアンの横顔をじっと見る。
「まぁ、お前は無理かもな。犬だし。俺は今虎だぞ? これくらい大したことはない」
ふふんと勝ち誇ったようにライアンはちらりとジェイクを見た。
「ちょっとライアンっ。そんなことでジェイクと競わないでよ。他で勝てないからって」
なぜかアリスがむっとした顔で文句を言う。
どうもライアンはジェイクにライバル意識を持っているんじゃないかと疑っている。
「うるせぇよ。つか、別に俺はジェイクに負けたことなんかねぇし。……とにかく、俺はあそこに行く」
じろりとアリスを睨み付けた後、ライアンは再び塔を見つめる。
万が一上手く飛び移れなかったとしても、下の屋根までの距離はそこまで高くはない。
なんとかなるだろうという気持ちと、なぜだか『あそこ』へ行かなくてはならないといった気持ちに駆られていた。
「ライアン……」
困った顔でジェイクがじっとライアンを見つめる。
しかし、ライアンの目を見て説得しても無駄だということが分かり、深く溜め息を付く。
「どうしても行くんだね?」
「え? ちょっとジェイク? まさか……」
じっと真剣な顔でライアンを見つめるジェイクの言葉にアリスが驚く。
まさかジェイクも行くのでは? と目をパチパチと瞬きさせた。
「心配しないでアリス。俺は行かないよ」
「あぁ、それが正解だ」
ジェイクがアリスを振り返って答えた瞬間、ライアンはそう言うと、ぐっと前足に力を入れ、高く跳んだ――。
「ライアンっ!」
驚いたアリスが声を上げた。
「ちっ……静かにしろよ」
塔の屋根に飛び移ったライアンはなんとか爪を屋根の隙間に入れて落ちずに済んではいるが、そこからどうやって窓へ行こうというのか。
「ライアン、気を付けて……」
おろおろと心配したジェイクが小声で声を掛ける。
「これくらいなんてことねぇよ」
さすがは虎である。傾斜の大きい屋根の上をなんなく歩いている。
とはいえ、大きな虎の体ではいつ滑り落ちてもおかしくない状況には変わりなかった。
ゆっくりと慎重に横に移動して開いている窓へと向かう。
そして窓枠に手を掛けたその時――。
がくんとライアンの後ろ脚が滑った。
「ライアンっ!!」
アリスが思わず二本足で立ち上がって大声で叫んだ。
「ライアンっ!」
その声に反応するように、ライアンを呼ぶ声と、開いた窓からぎゅっとライアンの前足を掴む手があった。
「っ!」
ぐっと前足に力を入れていたライアンは、滑り落ちることなくなんとか持ちこたえていたのだが、自分の前足を掴んだ人物に思わず息を呑んだ。
なんと、ライアンの前足を必死に掴んでいたのは、真っ白なウエディングドレスを着たキティだったのだ。
「キティっ!」
「っ!」
ライアンの無事を確認した後、窓のそばにいた人物に気が付いたアリスが大声でその名を呼ぶ。
ジェイクもまた、声もなく驚いていた。
まさか、こんな所にいたとは……。
「キティ……」
驚きと安堵でライアンは力が抜けそうになってしまったが、再び後ろ足が滑りそうになり、前足に力を入れるとそのまま体を窓の中へと押し上げた。
「ライアンっ!」
部屋の中に入ったライアンの体をキティがぎゅっと抱き締める。
大きな虎の為、キティの腕では途中までしか届いてはいなかったが、必死に抱きついていた。
「キティ……」
再び名前を呼ぶと、ライアンはするりとキティの顔に頬擦りした。
「良かった……無事で……」
ジェイクの背中の上で再びお座りの姿勢を取ると、アリスがうるうると目を潤ませていた。
「うん……さすがライアンだね」
あそこまで意固地になっていたのは、もしかしたら何か本能で感じ取っていたのかもしれないと、ジェイクは何度も頷いていた。
「みーつけたっ!」
4人が感動に浸っていると、ジェイクとアリスの後ろから子供のような声が聞こえてきた。
「っ!」
驚いて振り返ると、そこには1匹の妖精がにこにこと笑いながら飛んでいたのだった。
「あーあ、見つかっちゃったね、アリス。折角ふたりでイチャイチャしようと思ったのに、残念だね」
今、ライアンとキティは塔の屋根裏部屋の中である。妖精が気が付いているかどうかは分からない為、ジェイクはわざと自分とアリスだけのように振る舞った。
そのことに気が付いたアリスもジェイクに合わせる。
「屋上なら見つからないと思ったのにねー。……ねぇ、妖精さん。他の人たちはもう見つかったの? 僕たちが最初?」
大きく溜め息を付いた後、きょとんとした顔で首を傾げてみせる。
「見つけたのは君たちで4人目だよ。じゃあ、猫くんは犬くんの背中から下りてね」
ふふっと笑うと妖精がそう説明した。
4人目と言っているが、残りの2人は誰なのか。
ジェイクはひやりとしながらも、再び素知らぬ顔で妖精に尋ねた。
「俺たちの前に見つけたのは誰なんだい?」
「僕が見つけた訳じゃないけど、梟と鷹だよ」
その答えにジェイクとアリスは顔を見合わせた。
どうやらライアンのことはバレていないようだと安心する。
「なーんだ。セバスチャンとイーサン、だっさー」
妖精の指示通り、ジェイクの背中からぴょんと下りると、くすくすとアリスが笑う。
本当にそう思っていそうではあるが、ほっとした安心感からかもしれない。
「じゃあ、僕と一緒に戻るよ。でも、その前に……」
妖精はくるくるっと指を回し始めた。
すると何かキラキラとした粉のような物がジェイクとアリスの周りに降りかかってきた。
そしてそれは突然眩しいくらいの光となってふたりを包んだ。
「まぶしっ……」
アリスとジェイクは思わず目を瞑る。
次第に今まで感じていた手と足の感覚が変わる。
「え……?」
何が起こったのかとアリスは首を傾げながらそっと目を開ける。
光はいつの間にか消えていた。
そして目に見える風景が先程と少し違うことに気が付く。
きょろきょろと周りを見回すと、再び驚いて声を上げた。
「えっ!」
見えたのは、先程まで隣にいた白い大きな犬の姿のジェイクではなく、いつも見慣れた金髪碧眼の青年の姿だった。
「ジェイクっ!」
思わずジェイクに飛びついた。
「アリスっ」
そしてジェイクもまた、目の前のアリスが黒猫ではなく、可愛らしい少年に戻っていることに気が付き、飛びついてきたアリスをぎゅっと抱き締めた。
「戻ったぁぁ」
アリスはジェイクの首にぎゅっとしがみつきながら泣き出していた。
あのまま戻らないとは思っていなかったが、やはり不安だったのだろう。
「アリス」
ジェイクはアリスの頭をそっと撫でながら頬にキスをした。
ぱっと顔を上げたアリスは目を大きく開く。
大きな目にいっぱい涙が溜まっている。
見つめ合った後、ふたりは自然とお互いの唇を重ねていた。
「ねぇちょっとー。いつまでイチャイチャしてるのぉー? 戻るよー」
ふたりの唇が重なった瞬間、妖精が割って入ってきた。
「もうっ。邪魔しないでよ。やっとイチャイチャできると思ったのにー」
「ちょっとアリス、ダメだよっ」
むっとしてアリスが妖精を睨み付けると、ジェイクが慌ててアリスを止める。
妖精の機嫌を損ねてまた動物にされたら堪ったものではない。
「何か文句ある?」
じっと見つめる妖精を見てふたりは思わずぎょっとする。
「なんにもないですっ。戻ろっ」
慌ててアリスはジェイクから離れると目の前をふわふわと飛んでいる妖精を見上げた。
「うん。じゃあ戻ろっ」
根に持つタイプではなかったようで、妖精は気にすることなくふわふわと屋上の入口の方へと飛んでいく。
「…………」
アリスとジェイクは顔を見合わせると、同時にちらりと隣の塔を振り返った。
いつの間にか屋根裏部屋の窓は閉まっていた。恐らくキティが閉じたのだろう。
再び顔を見合わせると、手を繋ぎ合い、ふたりは走って妖精の後を追い掛けたのだった。
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