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Black & White~そして運命の扉が開かれる~
Prologue
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音も気配も無く忍び寄る恐怖。
それは静かに、そして確実に広がっていた。
広い大地いっぱいに咲き誇る真っ白な花畑。
じわり、と、何かが通ったかのように白い花は黒く姿を変える。
太陽に向かって花を広げていたその小さな白かった花たちは、しゅんと地面へと頭を下げてしまう。
そして、さらさらと砕けるかのように散っていく。
満開になっていたその花畑はまるで伝染したかのように端からじわじわと姿を変えていく。
真っ白に輝いていた花の絨毯はあっという間に黒く変わり、そして風に吹かれて無くなっていった。
「ここもダメだ……」
そこへ1人の黒髪の少年が現れた。
少年はぼそりと呟くとその場にしゃがみ込み、そっと1本の花に触れた。
触れられた瞬間に黒くなっていた花はさらさらと砕けていく。
少年は悲しそうに俯き、前髪より少し長めの横髪がそっと顔を隠す。
髪がさらさらと風に靡いている。
「ルイ……ワンダーランドが壊れちゃうよ……」
少年は顔を上げると、空を見上げ、金色の大きな瞳を潤ませながらぼそりと呟いた。
☆☆☆
暗く深い森の奥に、黒く聳える城があった。
城の天辺にはまるで空を突き抜けるかのような鋭く尖った装飾がある。
何の為に作られたのか、付けられたのか……。
まるで槍の様なその姿は空から降ってくる『何か』を突き刺すかのようであった。
そして、今にも落ちてきそうなどんよりとした真っ黒な雲の間から一筋の稲妻が落ちる。
そのすぐ後にけたたましい雷鳴と共に鋭い女の叫び声が城中に響き渡った。
「鏡が壊されたってぇっ!!!!」
城中の窓が砕け散ってしまうかのような叫び声。
その場にいた兵士と思われる者たちは一斉に体を強張らせた。
「アイツは何をしてたんだっ! 番人を呼べっ! 鏡を壊したヤツを必ずとっ掴まえるんだよっ! 引き摺ってでもここへ連れてくるんだっ! 生け捕りにするんだよ。この私が、その『罪』を思い知らせてくれるわっ!!」
ビシッと人差し指を向けた途端、赤く長い爪の先が割れ、そのままどこかへと飛んでいく。
「きぃぃぃぃぃっ! 忌々しいっ! 見ておれ、ルイめ。もっとぐちゃぐちゃに酷い目に遭わせてやるっ。私にひれ伏すがいいっ。お前の仲間達も全員だっ! 許さないっ! 精々私を怒らせたことを後悔するがいいっ!」
城中に女の高笑いが響き渡った――。
それは静かに、そして確実に広がっていた。
広い大地いっぱいに咲き誇る真っ白な花畑。
じわり、と、何かが通ったかのように白い花は黒く姿を変える。
太陽に向かって花を広げていたその小さな白かった花たちは、しゅんと地面へと頭を下げてしまう。
そして、さらさらと砕けるかのように散っていく。
満開になっていたその花畑はまるで伝染したかのように端からじわじわと姿を変えていく。
真っ白に輝いていた花の絨毯はあっという間に黒く変わり、そして風に吹かれて無くなっていった。
「ここもダメだ……」
そこへ1人の黒髪の少年が現れた。
少年はぼそりと呟くとその場にしゃがみ込み、そっと1本の花に触れた。
触れられた瞬間に黒くなっていた花はさらさらと砕けていく。
少年は悲しそうに俯き、前髪より少し長めの横髪がそっと顔を隠す。
髪がさらさらと風に靡いている。
「ルイ……ワンダーランドが壊れちゃうよ……」
少年は顔を上げると、空を見上げ、金色の大きな瞳を潤ませながらぼそりと呟いた。
☆☆☆
暗く深い森の奥に、黒く聳える城があった。
城の天辺にはまるで空を突き抜けるかのような鋭く尖った装飾がある。
何の為に作られたのか、付けられたのか……。
まるで槍の様なその姿は空から降ってくる『何か』を突き刺すかのようであった。
そして、今にも落ちてきそうなどんよりとした真っ黒な雲の間から一筋の稲妻が落ちる。
そのすぐ後にけたたましい雷鳴と共に鋭い女の叫び声が城中に響き渡った。
「鏡が壊されたってぇっ!!!!」
城中の窓が砕け散ってしまうかのような叫び声。
その場にいた兵士と思われる者たちは一斉に体を強張らせた。
「アイツは何をしてたんだっ! 番人を呼べっ! 鏡を壊したヤツを必ずとっ掴まえるんだよっ! 引き摺ってでもここへ連れてくるんだっ! 生け捕りにするんだよ。この私が、その『罪』を思い知らせてくれるわっ!!」
ビシッと人差し指を向けた途端、赤く長い爪の先が割れ、そのままどこかへと飛んでいく。
「きぃぃぃぃぃっ! 忌々しいっ! 見ておれ、ルイめ。もっとぐちゃぐちゃに酷い目に遭わせてやるっ。私にひれ伏すがいいっ。お前の仲間達も全員だっ! 許さないっ! 精々私を怒らせたことを後悔するがいいっ!」
城中に女の高笑いが響き渡った――。
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