White cat in Wonderland~その白い猫はイケメンに溺愛される~

ハルカ

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Night of the Day~それぞれの想い~【特別編】

海斗編※R18

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 俺は真っ黒だ――。
 ずっと大事に思ってきた俺の天使を、優希を、真っ白に輝く光を黒く染めてしまうかもしれない。漸く見つけた光なのに、自分の願望で、汚い欲望で染めてしまったら、優希が変わってしまったら……ずっとそんな風に考えていた。だけど……。
 優希は、俺の不安を払拭するみたいに、あの日、あの鏡の世界の俺に似た男に触れられても、今も変わらず白いままだ。正直、悔しさよりも安堵を感じてしまっている自分がどうしょうもないな、とさえ思う。自分ではない何かなのに、同じ顔同じ姿でも自分じゃないのに、優希に初めて触れるのは自分でありたいと願っていたはずなのに。それでも、怖くて近付けなかった自分の背中を押したのは、間違いなくあの世界の自分に似た、あの『何か』なのだ。

「優希……やっぱり今夜、泊まっていかないか?」
 もう気持ちが抑えられなくなっている。でも、きっと大丈夫だ、優希は俺に染まったりしない。そう信じて優希に話した。そして、優希は頷いてくれた。
 俺はもう迷わない、逃げない。優希に、触れたい……。

「優希」
 自分の部屋に着いて、ドアを閉めてすぐに優希に声を掛ける。ハッとしたような顔で優希が俺を見た。愛しくてたまらない。
「んんっ……」
 頭と腰を自分に引き寄せて唇を重ねる。手でそっと口を開けさせて中に舌を這わせる。何度かしたくちづけも今日はなぜだか凄く熱く感じる。
「んぅっ……ふっ……」
 優希の何とも言えない声が漏れている。そして俺の背中をぎゅっと掴んでいる。もっと触れたい……。
 俺は口を離すと、そのまま優希の背中と足へと手を移動させて抱き上げる。相変わらず軽い。犬でも抱いているみたいだな。
「ちょっ、海斗っ!」
 優希が慌てたように声を上げているがそのままベッドへと歩いていく。じたばたと暴れているが構わない。優希に触れたい、俺のものにしたい……。
 迷わないと決めた俺は自分でも焦っていたと思う。それでもどうしても今夜、優希に触れたかった。
「海斗っ」
 ベッドの上に仰向けに寝かせると、真っ赤な顔で困ったような顔をして俺を見ている。その表情はなんだ、まさかまた迷っているのか? 
「優希……触りたい」
 自分もベッドの上に乗り、優希を跨ぐようにして膝をつく。
 優希の頬にそっと触れる。体温が更に上がったのが分かった。
「ま、待って……まだ風呂入ってないし、その……」
 慌てたように赤い顔のまま優希は顔を逸らしている。『あの時』だって風呂なんて入ってなかったんじゃないのか?
「構わない」
 着ていたジャケットを床に放り投げる。
 優希のショルダーと上着を脱がせ、床に置く。そしてパーカーの裾に手をかける。
「待ってってばっ」
 優希が慌てて俺の手を掴んだ。
 そっとその手を掴んで手の甲にキスをする。その瞬間更に優希の顔が赤く染まった。
「大丈夫だから」
 優希の手を掴んだままじっと見つめると、真っ赤な顔のまま硬直しているのが分かった。俺はそのまま優希のパーカーを脱がす。そして頬、首、鎖骨に順番にキスをしていく。優希は時折体をびくつかせながらも抵抗はしていない。ちらりと優希の顔を見てみると、俺を見ることなく赤い顔のまま背けている。嫌がっているわけではない。
 そう思ったら止まらなくなった。優希の乳首にそっと唇を当て、キスをする。
「ひっ」
 突然驚いたように優希が声を上げる。しかし、そのままそっと舌を出して舐め上げる。
「んあっ、んっ……」
 両手で口を押えている。声を出したくないのか、聞かれたくないのか……。
「優希、声、聞かせて……俺しかいない」
「やっ……は、恥ずかしいから」
 今度は顔全体を両手で覆っている。なるほど、恥ずかしいのか。そんな優希も可愛くてたまらない。
 俺は優希の乳首を軽く吸う。頭上で素っ頓狂な声が聞こえたが、構わず続ける。そして舐めて……舌を更に腹の方へと移動させる。
 上体を起こして、優希のジーンズのベルトに手をかけた瞬間――。
「ま、待ってっ! や、やっぱシャワーに……」
「構わないと言っただだろ?」
 この期に及んで抵抗する優希を無視してベルトを外し、ジーンズを下着ごと脱がして床に放り投げた。
「ちょっ……」
 慌てて前を隠す優希の両手を掴んで無理矢理どかす。
「怖がらなくていい」
 そう言ってじっと顔を見つめる。そして優希の中心をそっと掴んで上下に動かした。優希の体がびくんと跳ねる。
「優希……」
 どんな顔をしているのかと見てみると、相変わらず恥ずかしさなのか両手で顔を覆っている。なぜ顔を隠すんだ。
「……優希、顔隠すな」
 俺は体を前に動かし優希の両手を顔から離す。手が離れた瞬間、真っ赤な顔で目を潤ませながら俺を見上げた。たまらなくなってそのままキスをする。
 深く、そして舌を絡めて、貪るようにキスをする。優希のを再び掴みさっきよりも早く動かすと、先端から蜜が溢れてきた。ぬるりと俺の左手が濡れる。それを広げる様に今度はゆっくり探るように動かしていく。そして右手で優希の頬に触れ、更に深くキスをする。どんどん熱くなってきているのが分かる。もっとキスしたい、触りたい……。
 とろりと潤んだ先端を指先で抉るようにして触れる。甘い声を出しながら感じているのが分かる。
 そして俺は優希の後ろに手を移動させ、小さな尻の溝に沿ってゆっくり指で触り、更に小さいその穴の中にそっと中指を入れた。
「んっ」
 びくりと優希の体が仰け反った。
「悪い、痛いか?」
「ん……だい、じょうぶ……」
 心配になり優希に声を掛けるが優希は顔を背けぼそりと呟くだけだった。さっきよりも顔が赤い。首や耳も真っ赤になっている。
「はぁ……」
 思わず息が漏れた。優希が可愛すぎて自分でも制御ができないかもしれない。
 再び上体を起こして、上の服を脱いで床へと放り投げる。そして優希の両足を掴んで持ち上げた。
「ちょっ、何っ?」
 優希の慌てる声を無視して、優希の後ろの穴にそっと口づける。
「なっ、何やってんのっ!? そんなとこっ、汚いってばっ!」
「優希に汚いところなんてない」
 声を荒げて必死に抵抗しようとしているが、俺はそのままそこを舐め始める。が――。
「やめろってばっ! 嫌だってっ! バカっ!」
 じたばたと暴れ始めて、優希の足が俺の頭を直撃した。
「いてっ! はぁ……分かったって、なんでそんなに嫌がるんだか」
 溜め息をついて、持ち上げていた優希の足を一旦下ろす。もっと訳が分からないくらいまでしないと無理か。本当に恥ずかしがり屋なんだからな、困ったものだ。
 真っ赤な顔で頬を膨らませている優希を見て再び溜め息をつき、俺はサイドテーブルの引き出しからローションを取り出す。蓋を開け、自分の右手にたらりと出す。
「え……何……」
 俺の様子を見ていた優希がじっと怯えたような顔をしてぼそりと呟いた。
「濡らさないと。痛いのは嫌だろ?」
 そう言って俺は右手にたっぷりと出したローションを優希の前と後ろにとろりと付ける。
「ひゃっ」
 優希は再びびくんと体を震わせた。もしかして冷たかっただろうか?
 そう思いながらもそのまま優希の中に再び中指を入れていく。
「んっ……」
 ちらりと顔を見ると優希は目を瞑っていた。痛みなのか恥ずかしさなのか。
 今度は訊くことなく、俺はゆっくりと動かしていった。指に優希の中がぎゅっと締め付けてくる。ローションで濡れたそこは俺の指をすっかり飲み込んでしまっている。痛くないようにゆっくり、そして優希の気持ちのいいところを探るように……。
 ある場所に指の腹が当たった時に、驚いたような声と一緒に優希の体が大きく跳ねる。
「やっ、ダメっ……そこ、やめ……て?」
 顔を見ると涙目で俺に訴えかけるかのように見つめている。そんな顔されて止められる訳がないだろう? ぐりっと先程反応したところを撫でてやると再び優希の腰が動く。
「んんっ……やっ、あぁっ……」
 嫌だと言われても止める気はないが……あまり攻めすぎても良くないのだろう。再びゆっくりほぐすように出し入れする。優希は声を抑えようと両手で口を押さえている。声を出しても構わないんだが、言っても聞かないんだろうな……。
 ローションを少し増やしてもう1本指を増やす。優希の声が更に大きく漏れたが痛そうな声ではない。ゆっくりと動かしながら、時折指を広げながらほぐしていく。ローションの音がいやらしい音をさせている。優希も段々快感が恥ずかしさを上回ってきたのか、腰を揺らしながら、しかし声を抑えながら感じているのが分かる。
「んんっ、かい……と」
 色っぽい優希の声で限界を感じた……。ベルトを外し、ファスナーを下ろす。ぐいっと下着を下げて昂った自分のものを掴む。そして先程ローションと一緒に出しておいたゴムを掴み、袋を口で嚙み切る。
 その様子を優希がじっと顔を赤くしながら見ていることに気が付き、俺はにやりと口角を上げる。
「なんだ優希、早く俺が欲しいのか?」
「ち、ちがっ……ん、んんっ!」
 優希が恥ずかしがり屋でツンデレなのは承知の上だ。可愛くてつい虐めたくなるが、俺自身もう余裕がない。優希のいつもの恥ずかしそうな声には反応せずに、俺は優希の両足を掴み、優希の小さな可愛らしい穴へと自分のものをねじ込んだ。まだ先しか入っていないというのに優希は苦しそうに声を上げている。
「優希、力抜いて……」
 持ち上げた優希の両足を更に上へと折り曲げるように動かす。そして俺は上体を優希に寄せ、そっと口づける。優希は口づけを受け入れながら、ぎゅっと両手と両足を俺の首と背中に回してしがみついてきた。キスをしながらゆっくりと優希の中へ更に押し込むように入れていく。少し緩んだのかさっきまでとは違いスムーズに入っていく。そのまま奥まで入った……。
「優希、好きだよ」
 唇を離し、優希を見下ろす。じっと潤んだ目で俺を見上げて「俺も」とぼそりと呟いたと思ったら、まさか優希からキスをしてきた。こんな幸せなことがあるんだろうか?

 自分がこんなに欲望に忠実になるとは思っていなかった。
 優希を見つけてから俺はただ見ているだけで、そばにいられるだけでいい、そんな風に考えていた。
 触れたいと思ったことも何度もあったが、ずっと自分を律してきた。優希に触れたら俺の黒い部分を見られてしまう、染めてしまうと、本当はずっと怖かった。
 あの日、優希を助けに入った鏡の世界。欲望を叶える鏡と言っていたが――優希だけじゃなく、あの鏡は俺の欲望も叶えたんだろうな、きっと。

 愛する人と体を重ねることがこんなに幸せだなんて知らなかった。
 着ていたもの全部脱いで、全身で優希を感じる。熱い。お互いの熱が重なる……。
「海斗」
 優希が俺の名前を呼んだ。愛おしそうに潤んだ目を向けている。俺はそっと優希にキスをした。それに応えるように優希が俺にしがみついてきた。深くもっと深くキスを交わす。全身に熱を感じる。愛おしくてたまらない――。
「優希、愛してる」
 俺達は必死にお互いを求め合って、口づけをして体を重ねた。
 
「んんっ、かいっと……ダ、メ……イキそ……」
 全身が赤く染まり、彷彿とした表情で俺を見つめる優希の中にぐっと強く押し込む。その瞬間、中がきゅうっと締め付けられ、漏れる声と共に、優希が果てた――。
 そっと髪を撫でながらゆっくりと腰を動かす。
「んっ……あっ……」
 気だるそうにしながらも優希も俺に合わせて腰を動かしている。そして再び中できゅっと締め付けられる。
「くっ……」
 自分の中心に血液が集まるような感覚になりながら優希に再びキスをする。甘く深く唇を重ねる。そして俺も――。

「ふぅ……」
 ゆっくりと優希から唇を離し、自分の処理をする。そして優希を見下ろすと……。
「嘘だろ?」
 見下ろした先の優希は……すやすやと寝息を立てて眠っていた。
「マジか……はぁ……」
 大きく溜息をつく。確かに今日1日ずっと遊んで歩き回って疲れたんだろう。
 それにしても酷くないか? もう少し余韻くらいあっても……。
 ただ、これでこそ優希だな、とも思う。本当は風呂に入れてやりたいところだが、ひとまずタオルで拭いてやるか。
 下着を穿くと、俺は自分の部屋に備え付けてあるシャワー室へと入り、タオルをお湯で濡らす。
 ベッドに戻り腰かけると、優希の体を拭きながら、まぁこんなのも幸せかもしれないと思ったんだ。そして眠る優希の唇にそっとキスをした。唇を離し、優希の髪を撫でる。
「おやすみ、優希」
 日付が変わる。ゆっくりと夜が更けていく。今日はホワイトデーだ。
 目が覚めたら優希にとびきり甘いお菓子をあげよう。大好きな、俺の天使に。
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