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☆Greed in the mirror☆~物語はここから始まる~
第17話
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ドスンと腰を打ちつけた。
「いってぇ……」
顔を顰めて腰を摩る。
上体を起こした状態で周りを見回した。
自分の下にはたくさんの枯葉。
頭上、そして周りにはたくさんの木が見える。
一瞬林か森かと思われたが、少し離れた所から聞こえる犬の声にふと横を見る。
よく見ると、まばらに植えられている木の間から開けた場所が見える。
ゆっくりと立ち上がってもう一度周りをよく見ると、そこは学校近くにある公園だった。
――桜ヶ丘公園。
春になると公園の周りに植えられている桜が満開になり、中央の芝生広場にはたくさんの花見客でいっぱいになる。
あー……春になったら花見にでも来たいな。
ふと考えた時に思い出す。
そうだ、相澤っ!
俺は体のあちこちに付いている枯葉を手で払い落とすと、まずは学校へと向かった。
アイツがどこにいるのかが分からない。時間がない……。
☆☆☆
『もう一度説明しますね。あなたに与えられる時間は2時間です。その間に彼を探し出して連れ戻してください。ただ、彼がこちらに戻りたいと願わなければ連れ戻すことはできません。それともう1つ。彼が鏡の世界のどこにいるかは私にも分かりません。あなたが探し出してください。……ただ、彼はあなたと関わっています。あなたがここに来たのですから』
俺は学校への道を走りながら、あの青年の言葉を思い出していた。
どこへ行けばいいんだ。相澤っ、どこにいる?
息を切らせながらも走り続ける。
そして、彼の最後の言葉が気になっていた。
俺があの店に行ったことに何か理由があるっていうのか?
相澤は俺と関わっている?
いや、同じクラスなんだし、関わってても不思議じゃない……けど?
頭の中が混乱している。
でも、今はそんなことを考えている余裕などない。
時間は限られている。
それまでに相澤を探し出して連れ戻さないと。
相澤っ、どこだっ!
俺は心の中で必死に叫んでいた。
☆☆☆
長い緩やかな坂を上り、学校へ続く道が見えてきた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
坂の1番上まで上りきったところで一旦止まる。
そして膝に手を付いて少し息が落ち着くのを待つ。
「ふぅ……」
呼吸を整えて、再び学校へ向かって走り出す。
相澤っ、頼むっ、いてくれっ!
心の中で必死に願いながら校門を抜け、下駄箱まで辿り着く。
もし、校舎の中にいるとしたら下駄箱の中には靴が入っているはずだ。
必死に相澤の名前を探す。
同じクラスだから探すのにはそんなに時間は掛からなかった。
「あった……」
走ってきたせいもあって、鼓動が速い。
緊張しながら『相澤』の名前の入った下駄箱を開ける。
……ない。
そこには上履きしかなかった。
学校にはいなかった……。
どうしたらいい?
アイツの家か?
「あれ? 藤條?」
俺が必死に考えを巡らしていた時、ふと横から知った声が聞こえた。
ハッとして声がした方向を見る。
「足立……」
そこには不思議そうに首を傾げている同じクラスの足立がいた。
今から帰るところなのだろう。
左の脇に鞄を挟んで、上履きを脱いで右手に持ったまま俺を見ていた。
「なんだ、忘れ物か?」
足立は上履きを右の中指と薬指で器用に持ち、親指と人差し指で自分の下駄箱を開ける。
「あ……いや。……あっ、足立。相澤を見なかったか?」
最初なんて答えたらいいか分からずに曖昧に返事をしてから、ふと相澤のことが浮かんだ。
いや、もう学校にはいないかもしれないけど、いつ帰ったとかくらいなら分かるかもしれない。
「へ? 相澤? 何言ってんの? 随分前に一緒に帰ってたじゃん。何? お前だけ戻ってきたわけじゃねぇの? 相澤と一緒に戻ってきたのか? はぐれたのか? もしかして喧嘩~?」
足立は俺の質問にギョッとすると、早口で逆に問い返してきた。
一気に捲くし立てられて俺は混乱していた。
いや、その前に一緒に帰っただって? 俺と相澤が?
ますます頭が混乱する。どういうことだ?
「なんだよ? 固まっちゃって……もしかして図星か?」
足立は面白そうにニヤニヤとして俺を見ていた。
「……俺と相澤の関係って、何?」
辿り着いた言葉に、俺はどうしても確認したくて、少し癪だがコイツに聞いてみた。
「はっ? 何言っちゃってんの? 今更……それともお前ら付き合ってるわけじゃないのか?」
キョトンとして答える足立の言葉に、俺は思った通りの答えを聞いたにも関わらず唖然とした。
俺と相澤が付き合っている?
まさかっ!
ふと、俺の脳裏にあの店の青年の言葉が浮かんだ。
「いってぇ……」
顔を顰めて腰を摩る。
上体を起こした状態で周りを見回した。
自分の下にはたくさんの枯葉。
頭上、そして周りにはたくさんの木が見える。
一瞬林か森かと思われたが、少し離れた所から聞こえる犬の声にふと横を見る。
よく見ると、まばらに植えられている木の間から開けた場所が見える。
ゆっくりと立ち上がってもう一度周りをよく見ると、そこは学校近くにある公園だった。
――桜ヶ丘公園。
春になると公園の周りに植えられている桜が満開になり、中央の芝生広場にはたくさんの花見客でいっぱいになる。
あー……春になったら花見にでも来たいな。
ふと考えた時に思い出す。
そうだ、相澤っ!
俺は体のあちこちに付いている枯葉を手で払い落とすと、まずは学校へと向かった。
アイツがどこにいるのかが分からない。時間がない……。
☆☆☆
『もう一度説明しますね。あなたに与えられる時間は2時間です。その間に彼を探し出して連れ戻してください。ただ、彼がこちらに戻りたいと願わなければ連れ戻すことはできません。それともう1つ。彼が鏡の世界のどこにいるかは私にも分かりません。あなたが探し出してください。……ただ、彼はあなたと関わっています。あなたがここに来たのですから』
俺は学校への道を走りながら、あの青年の言葉を思い出していた。
どこへ行けばいいんだ。相澤っ、どこにいる?
息を切らせながらも走り続ける。
そして、彼の最後の言葉が気になっていた。
俺があの店に行ったことに何か理由があるっていうのか?
相澤は俺と関わっている?
いや、同じクラスなんだし、関わってても不思議じゃない……けど?
頭の中が混乱している。
でも、今はそんなことを考えている余裕などない。
時間は限られている。
それまでに相澤を探し出して連れ戻さないと。
相澤っ、どこだっ!
俺は心の中で必死に叫んでいた。
☆☆☆
長い緩やかな坂を上り、学校へ続く道が見えてきた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
坂の1番上まで上りきったところで一旦止まる。
そして膝に手を付いて少し息が落ち着くのを待つ。
「ふぅ……」
呼吸を整えて、再び学校へ向かって走り出す。
相澤っ、頼むっ、いてくれっ!
心の中で必死に願いながら校門を抜け、下駄箱まで辿り着く。
もし、校舎の中にいるとしたら下駄箱の中には靴が入っているはずだ。
必死に相澤の名前を探す。
同じクラスだから探すのにはそんなに時間は掛からなかった。
「あった……」
走ってきたせいもあって、鼓動が速い。
緊張しながら『相澤』の名前の入った下駄箱を開ける。
……ない。
そこには上履きしかなかった。
学校にはいなかった……。
どうしたらいい?
アイツの家か?
「あれ? 藤條?」
俺が必死に考えを巡らしていた時、ふと横から知った声が聞こえた。
ハッとして声がした方向を見る。
「足立……」
そこには不思議そうに首を傾げている同じクラスの足立がいた。
今から帰るところなのだろう。
左の脇に鞄を挟んで、上履きを脱いで右手に持ったまま俺を見ていた。
「なんだ、忘れ物か?」
足立は上履きを右の中指と薬指で器用に持ち、親指と人差し指で自分の下駄箱を開ける。
「あ……いや。……あっ、足立。相澤を見なかったか?」
最初なんて答えたらいいか分からずに曖昧に返事をしてから、ふと相澤のことが浮かんだ。
いや、もう学校にはいないかもしれないけど、いつ帰ったとかくらいなら分かるかもしれない。
「へ? 相澤? 何言ってんの? 随分前に一緒に帰ってたじゃん。何? お前だけ戻ってきたわけじゃねぇの? 相澤と一緒に戻ってきたのか? はぐれたのか? もしかして喧嘩~?」
足立は俺の質問にギョッとすると、早口で逆に問い返してきた。
一気に捲くし立てられて俺は混乱していた。
いや、その前に一緒に帰っただって? 俺と相澤が?
ますます頭が混乱する。どういうことだ?
「なんだよ? 固まっちゃって……もしかして図星か?」
足立は面白そうにニヤニヤとして俺を見ていた。
「……俺と相澤の関係って、何?」
辿り着いた言葉に、俺はどうしても確認したくて、少し癪だがコイツに聞いてみた。
「はっ? 何言っちゃってんの? 今更……それともお前ら付き合ってるわけじゃないのか?」
キョトンとして答える足立の言葉に、俺は思った通りの答えを聞いたにも関わらず唖然とした。
俺と相澤が付き合っている?
まさかっ!
ふと、俺の脳裏にあの店の青年の言葉が浮かんだ。
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