White cat in Wonderland~その白い猫はイケメンに溺愛される~

ハルカ

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☆Greed in the mirror☆~物語はここから始まる~

第12話

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 俺は、自分が信じられなかった。
 あんなに嫌だって思っていたのに……。
 俺達はベッドの上にいた。
 制服も、下着も、全部藤條に脱がされた。
 でも、俺は全く抵抗していなかった。
 ドキドキと心臓の音だけが強くなる。
 何してるんだろう……俺は。

 再び藤條は俺に優しいキスをする。
 ゆっくりと、確認するかのように触れたり離れたりする。
 そして、唇から額、瞼、頬……そして首筋へと流れる。
 藤條の柔らかいく温かい唇が触れてドクンと心臓が大きく鳴る。

 藤條の唇はそのまま俺の肩、胸……そして下の方へと下がってくる。
 今朝はあんなに嫌だったのに、今は恥ずかしさだけが俺を襲っていた。
 俺の体に触れる藤條の手を払うことなく、俺は顔が熱くなるのを感じていた。
 藤條の舌の感触にぞくりと体が震える。

 ヤバイ……。

 自分でも分かっている。
 これ以上はダメだ。
 それこそ神に背く行為だ。
 今ならまだ引き返せる。
 俺達はまだ越えていないから。
 ――だけど、もう遅かった。
 藤條の舌の感触と指の感触に俺の全神経は襲われて、考える能力を奪っていた。

 俺はきっとどうかしてるんだ。
 声も変な声しか出ない。
 文句のひとつも出てこない。
 頭が働いていないから……。

 時折見せる藤條の少し潤んだような瞳。
 俺は自分の涙でぼやけた視界を必死に凝らして見ていた。
 体中に走る電気のような感覚。
 今までに感じたことのない……快感。
 そして必死に掴まる。
 藤條の首に腕を回して。

「とう……じょ……」
 俺は必死に藤條の名前を呼んでいた。
「優希……海斗って呼んでくれ……」
 耳元で藤條の声が響く。優しい声。
「かい……と……」
 俺はその後、何度も海斗って呼んでいた。

 ほんと、何やってんだろうな……。



 ☆☆☆



 体がだるくて目が覚めた。そしてあちこち痛い。
 あー……寝ちゃってたんだ。
 ぼんやりと周りを見ると、電気も当然点いていない。カーテンは開けっ放し。窓の外はすっかり暗くなっていた。

 今、何時だ?

 俺は体をゆっくり起こして時計を探す。
「いてててっ」 
 腰を摩りながらキョロキョロとしていると、急にふと何かがキラっと光ったのが見えた。
「ん?」
 俺は体の痛みを我慢しながらベッドの下に落ちている自分の下着と制服を着ると、光って見えた方にゆっくりと歩いていく。
 薄暗い部屋だったけど、窓の外の月の明かりと、少しずつ慣れてきた目を凝らしながら部屋の中を歩いた。
 そこにはちょうど上半身が映るくらいの大きさの楕円形の鏡があった。

 ふと、俺の脳裏に浮かんだ記憶。
 今日1日がおかしすぎて忘れかけていた。
「あ……」
 あの不思議な店の不思議な青年、そして大きな鏡――。

 ――ピカッ

 突然目の前が真っ白になったかのように何かが光った。
 眩しくて目が開けていられなくなり思わず目を瞑る。
 そして、何時間か前に感じたあの重力と風を感じた……。



 ☆☆☆



 体を打ちつけたかのような感覚に襲われ、俺は痛みで目を開けた。
「いててっ……」
 腰と、腕と……いろいろ痛い。
 まるでどっかから落ちたみたいだ。
 倒れていた俺は、腰を摩りながら体を起こす。

「お帰りなさい」
 どこかで聞いた声。優しそうな不思議な響きを含む、青年の声。
 ハッとして顔を上げる。
「楽しめましたか?」
 目の前にはにこやかに笑う、あの店で会った銀色の髪の緑の瞳を持った青年がいた。

 俺は……帰って来たんだ。
 じゃあ、今までのは鏡の中の世界?
 藤條も?

 俺は……よく分からない感情が自分の中で渦巻いていることに気が付いた。
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