6 / 226
☆Greed in the mirror☆~物語はここから始まる~
第5話
しおりを挟む
ドキドキしながら藤條に続く。
やっぱ豪華な超デカイ部屋にバーンっとながーいテーブルがあって――。
「あれ?」
藤條が扉を開けて中へと俺を通す。
開けられた扉を背に藤條が俺を見下ろしていたが、俺はそれよりも中の風景に呆然としてしまった。
何ここ?
いや、広いは広い。確かにうちの台所より広い。
でもコイツの部屋より狭い……。
なんで?
ぽかんと半分口が開いたままの俺を藤條が手を引いて中へと入る。
「海斗様。おはようございます。優希様もおはようございます」
どこか業務用的なダイニングの奥から白髪混じりのじいさんが出てきた。
いや、格好から推測するに、絶対執事だろう。
にこやかに俺を見ていた。
「おはよう、橘」
藤條がその執事のじいさんに挨拶を返す。
「え……と、おはようございま……す」
なんだかまだハッキリとしないまま俺もそのじいさんに挨拶を返した。
「どうぞ」
そう言って真ん中にあるテーブルに案内された。
大きさから言って10人掛けくらいだろうか。
俺のイメージでは30人くらい座れるくらいの長さだとか、めっちゃ広い部屋に豪華な装飾。
真っ白なレースのテーブルクロスとか、椅子とかどっかのヨーロッパのブランドとか……。
そんな想像だったんだ。
普通の家よりはデカイけど、どっちかって言うと……ヨーロッパの家庭風な料理店って感じ。
部屋自体もそんなに飾りも無い。
殺風景でもないけど、金持ちの家のダイニングって感じじゃない。
椅子を引かれてストンと座る。
「うわっ!」
ぼんやりしすぎて気付かなかった。
目の前の料理に。
ホテルのバイキングかっ?
クロワッサンにシュガートースト。フレンチトーストもあるし、ハムエッグのパンもある。
えっとなんだっけ? ウインナーが入ってるやつ。あーホットドックみたいな?
おかずもベーコンにスクランブルエッグ。皮付きのフライドポテトに……。
俺は思わずよだれが出そうになっていた。
「優希、目が星になってるよ」
隣に座る藤條は頬杖を突きながら俺を見てくすくすと笑っている。
うるせぇっ。こんな朝飯食ったことないんだよっ。
「優希様は紅茶でしたね」
そういってじいさん執事……いや橘さんが紅茶をティーカップに注いでくれる。
「ミルクも入れますよね?」
俺が答える前にスッと白い入れ物から牛乳と思われる液体を紅茶に注いでいた。
「どうも……」
皿に乗ったティーカップを受け取りながら上目遣いで橘さんを見る。
「いただきます」
隣でプンとコーヒーの香りがした。
あー、藤條はコーヒーか……ちぇ。どうせ俺はお子様ですよ。
コーヒーなんて飲めませんよ。
焼き立てのクロワッサンを手に取って口に入れる。
うまっ!!
こんなうまいパン食ったの初めてかも……。
「…………」
さっきも思ったけど、これってやっぱ夢じゃないのかな。
感覚もあるし、味も分かる。匂いも。
こんな夢なんて……ないよな?
「優希、ウィンナー食べるか?」
もそもそとクロワッサンを頬張っている俺に、横から藤條が話し掛けてきた。
「ふへ?」
クロワッサンを咥えたまま藤條を見る。
「ほら、ウィンナー。うまそうだろ?」
そう言って藤條が指差す物は……。
いや、それどう見たってウィンナーじゃなくってフランクフルトだろっ! その大きさはっ!
心の中で突っ込む。
「食べるだろ?」
もう一度、藤條が聞いてくる。
でも、心なしか藤條の顔が意地悪そうに見えるのは気のせいか?
藤條は俺の答えを待つことなく、フランクフルトをナイフとフォークで自分の皿へと移動させる。
少し先の方を切ると、フォークを突き刺した。
そして……舐めたっ!?
なっ!?
舌でフランクフルトを撫でるように舐めながら俺をじっと見つめてくる。
「やっ!」
やーめーろーっ!
俺の頭の中にはさっきの……うわーっ!
嫌なことを思い出しちゃったじゃないかーっ!
一気にまた体の温度が上昇する。
顔から湯気が出てるんじゃないかっ?
「やめろよっ!」
やっと口に出して叫んだ。
「うまいよ?」
そう言ってぱくんとフランクフルトを咥えた。
と思ったら、唇でフランクフルトの先を挟んだまま俺をじっと見つめてきた。
「だからっ!」
俺は顔を真っ赤にしながら思いっ切り藤條を睨み付けた。
「はははっ。冗談だよ。優希も食べる?」
咥えたフランクフルトの先を食いちぎり飲み込むと、藤條は楽しそうに笑いながら俺を覗き込んだ。
絶対……嫌がらせだ。
やっぱコイツ……藤條に間違いないっ。
……最っ悪。
やっぱ豪華な超デカイ部屋にバーンっとながーいテーブルがあって――。
「あれ?」
藤條が扉を開けて中へと俺を通す。
開けられた扉を背に藤條が俺を見下ろしていたが、俺はそれよりも中の風景に呆然としてしまった。
何ここ?
いや、広いは広い。確かにうちの台所より広い。
でもコイツの部屋より狭い……。
なんで?
ぽかんと半分口が開いたままの俺を藤條が手を引いて中へと入る。
「海斗様。おはようございます。優希様もおはようございます」
どこか業務用的なダイニングの奥から白髪混じりのじいさんが出てきた。
いや、格好から推測するに、絶対執事だろう。
にこやかに俺を見ていた。
「おはよう、橘」
藤條がその執事のじいさんに挨拶を返す。
「え……と、おはようございま……す」
なんだかまだハッキリとしないまま俺もそのじいさんに挨拶を返した。
「どうぞ」
そう言って真ん中にあるテーブルに案内された。
大きさから言って10人掛けくらいだろうか。
俺のイメージでは30人くらい座れるくらいの長さだとか、めっちゃ広い部屋に豪華な装飾。
真っ白なレースのテーブルクロスとか、椅子とかどっかのヨーロッパのブランドとか……。
そんな想像だったんだ。
普通の家よりはデカイけど、どっちかって言うと……ヨーロッパの家庭風な料理店って感じ。
部屋自体もそんなに飾りも無い。
殺風景でもないけど、金持ちの家のダイニングって感じじゃない。
椅子を引かれてストンと座る。
「うわっ!」
ぼんやりしすぎて気付かなかった。
目の前の料理に。
ホテルのバイキングかっ?
クロワッサンにシュガートースト。フレンチトーストもあるし、ハムエッグのパンもある。
えっとなんだっけ? ウインナーが入ってるやつ。あーホットドックみたいな?
おかずもベーコンにスクランブルエッグ。皮付きのフライドポテトに……。
俺は思わずよだれが出そうになっていた。
「優希、目が星になってるよ」
隣に座る藤條は頬杖を突きながら俺を見てくすくすと笑っている。
うるせぇっ。こんな朝飯食ったことないんだよっ。
「優希様は紅茶でしたね」
そういってじいさん執事……いや橘さんが紅茶をティーカップに注いでくれる。
「ミルクも入れますよね?」
俺が答える前にスッと白い入れ物から牛乳と思われる液体を紅茶に注いでいた。
「どうも……」
皿に乗ったティーカップを受け取りながら上目遣いで橘さんを見る。
「いただきます」
隣でプンとコーヒーの香りがした。
あー、藤條はコーヒーか……ちぇ。どうせ俺はお子様ですよ。
コーヒーなんて飲めませんよ。
焼き立てのクロワッサンを手に取って口に入れる。
うまっ!!
こんなうまいパン食ったの初めてかも……。
「…………」
さっきも思ったけど、これってやっぱ夢じゃないのかな。
感覚もあるし、味も分かる。匂いも。
こんな夢なんて……ないよな?
「優希、ウィンナー食べるか?」
もそもそとクロワッサンを頬張っている俺に、横から藤條が話し掛けてきた。
「ふへ?」
クロワッサンを咥えたまま藤條を見る。
「ほら、ウィンナー。うまそうだろ?」
そう言って藤條が指差す物は……。
いや、それどう見たってウィンナーじゃなくってフランクフルトだろっ! その大きさはっ!
心の中で突っ込む。
「食べるだろ?」
もう一度、藤條が聞いてくる。
でも、心なしか藤條の顔が意地悪そうに見えるのは気のせいか?
藤條は俺の答えを待つことなく、フランクフルトをナイフとフォークで自分の皿へと移動させる。
少し先の方を切ると、フォークを突き刺した。
そして……舐めたっ!?
なっ!?
舌でフランクフルトを撫でるように舐めながら俺をじっと見つめてくる。
「やっ!」
やーめーろーっ!
俺の頭の中にはさっきの……うわーっ!
嫌なことを思い出しちゃったじゃないかーっ!
一気にまた体の温度が上昇する。
顔から湯気が出てるんじゃないかっ?
「やめろよっ!」
やっと口に出して叫んだ。
「うまいよ?」
そう言ってぱくんとフランクフルトを咥えた。
と思ったら、唇でフランクフルトの先を挟んだまま俺をじっと見つめてきた。
「だからっ!」
俺は顔を真っ赤にしながら思いっ切り藤條を睨み付けた。
「はははっ。冗談だよ。優希も食べる?」
咥えたフランクフルトの先を食いちぎり飲み込むと、藤條は楽しそうに笑いながら俺を覗き込んだ。
絶対……嫌がらせだ。
やっぱコイツ……藤條に間違いないっ。
……最っ悪。
26
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる