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☆Greed in the mirror☆~物語はここから始まる~
第3話
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ありえない。
何なんだ? この状況。
まだ夢を見てるのか?
……欲望だってっ!?
「何を百面相してるんだ? 優希」
頭の中がぐるぐるして何を考えればいいのか、どうしたらいいのか分からなくなっていると、再び藤條が話し掛けてきた。
「…………」
恨めしそうに藤條を睨み付けた。
いや、だいたい何でベッドなんだ?
一緒に寝てたのか?
そう。今、こいつは俺の真横で喋っているんだ。
絶対ありえない。
あの藤條が、俺の隣で???
藤條はクラスでもある意味浮いた存在だ。
容姿端麗。文武両道。
間違いなくモテる部類だろう。
だけど問題があった。
口悪い、性格悪い、おまけにドSな鬼畜野郎ときたもんだ。
最初の頃は女子も『そこがいい』なんて言ってたが、あまりに酷くて何人泣かされたことか。
いや、女子だけじゃない。
男子もコイツに何人泣かされたか……。いろんな意味で……。
俺だって……。
いつもバカにされ、酷い扱いを受けてる。
コイツの笑った顔なんて……人を馬鹿にした笑いしか見たことねぇよ。
……そうか! きっとコイツは別人だっ。そうに違いないっ!
「どうしたんだ? 優希。どこか調子でも悪いのか?」
心配そうに見てくるコイツ……。
「藤條?」
まずは確認だ。本人かどうか。
「……やっぱどこかおかしいのか? 何でそんな呼び方するんだ?」
藤條と思われるコイツの言った意味が分からない。
いや、そもそも本当に藤條海斗なのか?
やっぱり別人なんじゃないのか?
「大丈夫か? 何でさっきから難しい顔してるんだ? 優希?」
そう言って俺の額に手を当ててくる藤條に似た男。
そうだ、きっと似ているだけだ。別人だ。
俺は自分にそう言い聞かせた。
これがアイツだなんてありえない。
心配?
他人の心配なんてする男じゃない。
「うーん……悪い夢でも見たのか? 大丈夫だ。俺がいる。心配ない」
そう言ってギュッと抱きしめてきた。
「どぅわっ!?」
ちょっ!?
待てっ!
なんでそこで抱きしめるっ!!
苦しい……つーか……つーかっ!!!
「なんで裸っ!?」
思わず叫んでいた。
そう、俺達は裸だった……。
いや、確認したわけじゃない。
でも分かる。
感触で……感触っ!? いーやーだー!!!
待て待てっ。
この状況は何なんだ?
裸でベッドで……ってまさかな?
いや、俺達は男同士だぞ?
ありえない。
絶対にありえないっ!!
「優希……そんな怯えた顔して……そんな怖い夢を見たのか? もう大丈夫だからな」
叫んだ俺の声にびっくりしたのか、藤條(もう藤條でいいや)は少し俺を離し、じっと顔を覗き込む。
っていうか、怖いのはお前だよ。お前……。
じっと睨み付けていると、ふぅっと藤條は溜め息をついた。
そして……。
「んんっ!?」
突然そのまま口を塞がれた。
え? キス???
待てっ! 早まるなっ! 俺とお前は男だ! いやだーっ!!
必死にもがく。離れようとぐいぐいと藤條の体を押し退けようとするがびくともしない。
それどころか――。
ひぃー……。
これってこれって……ディープキスってやつかぁ???
女の子ともしたことないのにぃ……。
あまりのショックにそのまま動けなくなってしまった。
固まったとでも言うべきか。
俺は自分に後悔した。
動かなくなったことで、コイツ……藤條海斗はそのまま俺の体を触り始めて――。
あー!! 言葉にしたくねぇっ!!
誰かウソだと言ってくれ。
夢なら早く冷めてくれ。
これが俺の欲望なんて……絶対にありえないっ。認めないっ。
これは絶対に何かの間違い。夢に決まっている。
助けてくれーっ!!
心の中の叫びが届くはずもなく、結局俺は――。
これって道徳に反するとかって言うんだよな。
いや、最後まではいってないとはいえ……って十分おかしいだろっ!
人間やめた感じだ。
自分に失望する。
なんで抵抗できなかったんだ。
きっと暴れたり殴ったり蹴ったりできたはずだ。
なんで……。
いや、気持ち良かったとかそんなんじゃないっ! 断じて違うっ!
って、一体誰に言い訳してるんだろう……。
あーもう、死んでしまいたい……。
「優希。もう起きないと。ほら、起きて。服着ろよ?」
いつの間にかベッドから降り、制服に着替えていた藤條が俺を見下ろしていた。
誰のせいだ……。
言葉を発するのも腹立たしくて、強く藤條を睨み付けた。
「ほら。何してるんだ? 何で今日はそんなに不機嫌なんだ? 足りなかったか?」
どわーっ!!! 何言ってんだバカっ! 足りないってなんだっ!
藤條の言葉に思わず全身から血が吹き出しそうになった。
顔が物凄く熱い。
「まったく……優希は本当に可愛いな。じゃあ早く着替えて。朝食に行こう」
もう……いい。
可愛いとかって……憎ったらしい藤條のセリフとはとても思えん。
そうだ、これは絶対に夢なんだ。
だったら気にしなきゃいい。そうだ。
俺は深く溜め息を付くと、着替える為にベッドから降りた。
何なんだ? この状況。
まだ夢を見てるのか?
……欲望だってっ!?
「何を百面相してるんだ? 優希」
頭の中がぐるぐるして何を考えればいいのか、どうしたらいいのか分からなくなっていると、再び藤條が話し掛けてきた。
「…………」
恨めしそうに藤條を睨み付けた。
いや、だいたい何でベッドなんだ?
一緒に寝てたのか?
そう。今、こいつは俺の真横で喋っているんだ。
絶対ありえない。
あの藤條が、俺の隣で???
藤條はクラスでもある意味浮いた存在だ。
容姿端麗。文武両道。
間違いなくモテる部類だろう。
だけど問題があった。
口悪い、性格悪い、おまけにドSな鬼畜野郎ときたもんだ。
最初の頃は女子も『そこがいい』なんて言ってたが、あまりに酷くて何人泣かされたことか。
いや、女子だけじゃない。
男子もコイツに何人泣かされたか……。いろんな意味で……。
俺だって……。
いつもバカにされ、酷い扱いを受けてる。
コイツの笑った顔なんて……人を馬鹿にした笑いしか見たことねぇよ。
……そうか! きっとコイツは別人だっ。そうに違いないっ!
「どうしたんだ? 優希。どこか調子でも悪いのか?」
心配そうに見てくるコイツ……。
「藤條?」
まずは確認だ。本人かどうか。
「……やっぱどこかおかしいのか? 何でそんな呼び方するんだ?」
藤條と思われるコイツの言った意味が分からない。
いや、そもそも本当に藤條海斗なのか?
やっぱり別人なんじゃないのか?
「大丈夫か? 何でさっきから難しい顔してるんだ? 優希?」
そう言って俺の額に手を当ててくる藤條に似た男。
そうだ、きっと似ているだけだ。別人だ。
俺は自分にそう言い聞かせた。
これがアイツだなんてありえない。
心配?
他人の心配なんてする男じゃない。
「うーん……悪い夢でも見たのか? 大丈夫だ。俺がいる。心配ない」
そう言ってギュッと抱きしめてきた。
「どぅわっ!?」
ちょっ!?
待てっ!
なんでそこで抱きしめるっ!!
苦しい……つーか……つーかっ!!!
「なんで裸っ!?」
思わず叫んでいた。
そう、俺達は裸だった……。
いや、確認したわけじゃない。
でも分かる。
感触で……感触っ!? いーやーだー!!!
待て待てっ。
この状況は何なんだ?
裸でベッドで……ってまさかな?
いや、俺達は男同士だぞ?
ありえない。
絶対にありえないっ!!
「優希……そんな怯えた顔して……そんな怖い夢を見たのか? もう大丈夫だからな」
叫んだ俺の声にびっくりしたのか、藤條(もう藤條でいいや)は少し俺を離し、じっと顔を覗き込む。
っていうか、怖いのはお前だよ。お前……。
じっと睨み付けていると、ふぅっと藤條は溜め息をついた。
そして……。
「んんっ!?」
突然そのまま口を塞がれた。
え? キス???
待てっ! 早まるなっ! 俺とお前は男だ! いやだーっ!!
必死にもがく。離れようとぐいぐいと藤條の体を押し退けようとするがびくともしない。
それどころか――。
ひぃー……。
これってこれって……ディープキスってやつかぁ???
女の子ともしたことないのにぃ……。
あまりのショックにそのまま動けなくなってしまった。
固まったとでも言うべきか。
俺は自分に後悔した。
動かなくなったことで、コイツ……藤條海斗はそのまま俺の体を触り始めて――。
あー!! 言葉にしたくねぇっ!!
誰かウソだと言ってくれ。
夢なら早く冷めてくれ。
これが俺の欲望なんて……絶対にありえないっ。認めないっ。
これは絶対に何かの間違い。夢に決まっている。
助けてくれーっ!!
心の中の叫びが届くはずもなく、結局俺は――。
これって道徳に反するとかって言うんだよな。
いや、最後まではいってないとはいえ……って十分おかしいだろっ!
人間やめた感じだ。
自分に失望する。
なんで抵抗できなかったんだ。
きっと暴れたり殴ったり蹴ったりできたはずだ。
なんで……。
いや、気持ち良かったとかそんなんじゃないっ! 断じて違うっ!
って、一体誰に言い訳してるんだろう……。
あーもう、死んでしまいたい……。
「優希。もう起きないと。ほら、起きて。服着ろよ?」
いつの間にかベッドから降り、制服に着替えていた藤條が俺を見下ろしていた。
誰のせいだ……。
言葉を発するのも腹立たしくて、強く藤條を睨み付けた。
「ほら。何してるんだ? 何で今日はそんなに不機嫌なんだ? 足りなかったか?」
どわーっ!!! 何言ってんだバカっ! 足りないってなんだっ!
藤條の言葉に思わず全身から血が吹き出しそうになった。
顔が物凄く熱い。
「まったく……優希は本当に可愛いな。じゃあ早く着替えて。朝食に行こう」
もう……いい。
可愛いとかって……憎ったらしい藤條のセリフとはとても思えん。
そうだ、これは絶対に夢なんだ。
だったら気にしなきゃいい。そうだ。
俺は深く溜め息を付くと、着替える為にベッドから降りた。
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