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ご対面
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自分の飼い主となる人間の姓が『御影』だということを知ったのは、その翌日のことだった。
部屋で寝ている少女のものであろうランドセルの名札に『御影 双葉』と書いてあったからだ。
その字はなかなか達筆だった上に、漢字も難しいので少女ー双葉が書いたものではないだろうと推理する。御影なんて随分厨二くさい苗字だなと思いながら、天井を仰いだ。
カーテンが全開になった窓からは、刺すような日差しが注いでいる。
朝日なんて、久しぶりに浴びた気がする。それはネロとしての身体が初めて朝日を浴びたからなのか、前世での半引きこもり生活の影響なのかはわからなかったが、すごく気持ちの良いものだった。
部屋にある、キャラクターものの目覚まし時計に目を向けると、6時50分頃を指していた。いつも双葉が何時に起きているか知らないが、そろそろだろうと感じる。
さて、これからどう行動していけば良いのだろう。
御影家の住人の出方によって決めるつもりでいたが、直前になって緊張してきた。
動物虐待を平気でする人だったら?飽きたからといって罪悪感なくペットを段ボールに入れて捨てるような人だったら?
冷静に考えると、幼い子供のいる家庭の人間が娘の可愛がる猫を痛めつけたり、捨てたりする可能性は少ないことだったが、悪い方へ悪い方へ考えるネロの頭には普通のことを考える余裕をなくしていた。
そうこうしているうちに、時計の針は7時ちょうどを差し、目覚ましの音楽が流れ始めた。
恭平の知っている曲だった。その昔、小学校に通っていた頃に習った気がする。
なんという題名だったかなぁ。
クラシックの類いの曲であり、目覚まし時計の音にしては心地が良すぎるものだった。
急に、身体が宙に浮かんだ。
何かに支えられながら、ベットのマットが遠ざかっていく。何事かと思い振り返ったら、昨日見た幼い少女、双葉がネロを抱き上げて嬉しそうに微笑んでいた。
「ネロちゃん、生きてたのね」
そう言いながら、まだ赤ん坊であるネロの柔らかい毛に顔を埋めた。
恭平はくすぐったいのと動揺と驚きで、されるがままになっている。
部屋で寝ている少女のものであろうランドセルの名札に『御影 双葉』と書いてあったからだ。
その字はなかなか達筆だった上に、漢字も難しいので少女ー双葉が書いたものではないだろうと推理する。御影なんて随分厨二くさい苗字だなと思いながら、天井を仰いだ。
カーテンが全開になった窓からは、刺すような日差しが注いでいる。
朝日なんて、久しぶりに浴びた気がする。それはネロとしての身体が初めて朝日を浴びたからなのか、前世での半引きこもり生活の影響なのかはわからなかったが、すごく気持ちの良いものだった。
部屋にある、キャラクターものの目覚まし時計に目を向けると、6時50分頃を指していた。いつも双葉が何時に起きているか知らないが、そろそろだろうと感じる。
さて、これからどう行動していけば良いのだろう。
御影家の住人の出方によって決めるつもりでいたが、直前になって緊張してきた。
動物虐待を平気でする人だったら?飽きたからといって罪悪感なくペットを段ボールに入れて捨てるような人だったら?
冷静に考えると、幼い子供のいる家庭の人間が娘の可愛がる猫を痛めつけたり、捨てたりする可能性は少ないことだったが、悪い方へ悪い方へ考えるネロの頭には普通のことを考える余裕をなくしていた。
そうこうしているうちに、時計の針は7時ちょうどを差し、目覚ましの音楽が流れ始めた。
恭平の知っている曲だった。その昔、小学校に通っていた頃に習った気がする。
なんという題名だったかなぁ。
クラシックの類いの曲であり、目覚まし時計の音にしては心地が良すぎるものだった。
急に、身体が宙に浮かんだ。
何かに支えられながら、ベットのマットが遠ざかっていく。何事かと思い振り返ったら、昨日見た幼い少女、双葉がネロを抱き上げて嬉しそうに微笑んでいた。
「ネロちゃん、生きてたのね」
そう言いながら、まだ赤ん坊であるネロの柔らかい毛に顔を埋めた。
恭平はくすぐったいのと動揺と驚きで、されるがままになっている。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
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