犠牲を捧げる

ミルクティ

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私の家

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ジンジンと痛む肘を曲げ伸びさせる。
「…痛い」
皮膚が青くなっているところを見ると痣になっているようだ。

まぁこんなこと日常茶飯事だから気にもならないが。

それよりも大事なことは父が出て行ったか否かだ。

金曜日 時計は10時30分を指している。

父は毎週金曜日10時頃家を出て、翌日の同じ時間くらいに帰ってくる。
父は昨日、家を出た。すなわち、後数分としないうちに奴は帰ってくるだろう。

どこへ行っているのか母は怒鳴ってでも隠そうとしているが、行き場所は分かってる。浮気相手の女性の家だ。

母が稼いだお金がどこへ消えているのか聞いたときに伝えられた。

ついでに母のことはもう女として見ていないということも。

私たち家族よりもその女が大切だということも。

それっきり母は変わってしまった。

何が吹っ切れたように荒れ始め、父と同様に私に暴力を振るうようになった。
そして、そのうち父と同じように愛人を見つけ、この家を出て行った。
お陰でうちは完全に家庭崩壊し、私は学校にも行けていない。
こうなってしまったのは、全部父親のせいなのだ。
諸悪の根源として、自分勝手に人を人として見ていなかったあいつ、悪魔のせいなのだ。

どうすれば悪魔から逃げられるか、ここのところはそればっかりしか考えてはいなかった。
本気で殺してやろうとも、何度も思った。
しかし無理だった。流石に男の大人に物理では敵わなかった。
だからこそ、私は逃げる、家出をする計画を一人ながらも必死で立てていた。
そして決行は、今夜と決めていた。

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