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しおりを挟む「あなたはわたしの大切な人よ。そんなふうにあなたを泣かせるなんて許せない。婚約者だろうがなんだろうが、マリヤが幸せになれないと思ったらわたしは結婚式で異議を申し立てるわ。戸川グループを敵に回したってわたしはあなたの味方よ」
「心強いわ。あなたに慰められると、わたし本当に心が安らぐの」
明るくなった声を聞いて、アンナはほっとした。マリヤはとかく気持ちが不安定になるとアンナに話をする。電話の第一声に口癖が出たときがその場合だ。このところ、マリヤはパーティのことに一生懸命で不満を漏らすひまもなかったのだが、アンナにとってマリヤの精神安定剤になるのはもちろん初めてではない。とはいえ立場や環境を越えて、お互いを慰めあえる関係を築けたのはそう昔のことではなかった。ふたりは出会いからして、かなり感覚が合っていたのだ。
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