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 蓋を開けてみると、実際、和泉の家は予想以上に荒れ果てていた。庭の花々は雑草に覆われ、木々は枝を伸ばしたい放題。白い外壁はくすみ赤茶の瓦屋根にも蔦が絡んでいる。室内も相当ひどい。床はきしまないところを探して歩くのが難しいし、壁紙はそこら中がはげかかっている。カーテンは日に焼け、クロスの下の調度品はひどく懐かしくはあったが、その分古びて塗装がはげていたり、脚が緩んでいたりした。

「さて、どこから手をつけたらいいのか……」

 さすがのアンナもしばらく途方にくれてしまった。
 ついついぼんやりとしていると、アンナのポケットの携帯電話が鳴った。

「あら、マリヤ」
「アンナ、聞いてよ!」

 アンナは久しぶりにマリヤの口癖を聞いた気がした。
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