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しおりを挟むその言葉に正敏の目がするどくなった。一瞬にして凍りついた空気を察して年長の直利がゆったりと出た。
「ジェイダン、おまえの気持ちはわかっている。だが我々の気持ちもくんでくれないか。わたしたちがどれほどおまえを大切に思っているか、わかって欲しいんだ」
「そうですね、大切に思ってくださるなら、取り急ぎ、僕に静かなベッドを与えてくれると助かりますね」
「それは、おまえ次第だ。ジェイダン」
直利はすかさずジェイダンを見た。ジェイダンはふっとつまらなくなったように顔をそむけた。
「そう、僕次第だ」
ベンが身を乗り出す。
「そうだよ、兄さん。僕たちは家族皆で仲良くやっていかなくちゃ。母さんが亡くなった今、僕らがしっかりしないと」
「そうだな」
ジェイダンはそういいながら立ち上がった。おもむろにジャケットを手にとると流れるように腕を通した。そして、その脚でドアに向かう。ジェイダンの行動に、威厳を軽んじられたと感じた直利が語気を強めた。
「どこへ行く。話はまだ終わってないぞ」
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