待ち焦がれてラブ・バージン 職なしパテシエールと訳あり御曹司の甘くおかしなプライマリー

（33）**

　アンナのいなくなった後のホールを収拾したのは、ジェイダンの兄ロビンと弟のベンジャミンだった。唯一の救いだったのは、ジェイダンが現れたのがパーティ開始直後でなかったことだ。わざわざ大層に呼び出しておいて、料理も酒も口にするかしないかのタイミングで、今日はこれでお開きというわけにはいかない。ジェイダンはそうしたことを計算に入れていたのだろうか。わざわざ控え室に親族と役員を集めさせておいてから、自分はパーティへ乱入するというところを見ると、パーティをぶち壊すことは計画されていたと考えるのが自然だろう。

「料理が思いのほかおいしかったのが救いだな。どの料理もとてもいい味だった」

　パーティの終わりに挨拶をしたロビンが、壇上から降りて弟に目を向けた。

「兄さん、今回のパーティはマリヤが仕切ったんですよ。トレトゥールを作ったのも彼女の親友なんです」
「そうか、マリヤにはすまないことをしてしまったな。ベン、君からマリヤに僕が感謝していたと伝えてくれないか」
「もちろんです。僕はマリヤの婚約者ですから」


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