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黒髪男はチョロいって嘘だったんですか?
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「間違いない、お前夢主だろ?」
彼の言葉にあたしは深く首肯した。動揺を悟られないため。速まる鼓動を抑えるように言葉を絞り出す。
「……正解、だけど……」
イレギュラーが多過ぎる。この世界に来てから。知らない世界にやって来ただけならまだしも、あたしの正体を掴んでいる存在なんていなかった。所詮は他人に作られたキャラクター。あたしのことなんて知っているはずがない。
今までのあたしの長い夢主人生。臨機応変な対応はお手の物になって……ないな。
夢小説って一大ジャンルとして確立されているから大まかなテンプレートがある。それになぞらえる形で物事が展開していくため、ベテランのあたしには予想外の出来事なんて起こりえない。
じゃあどうしようか。うーん。思考を巡らす。
……わかった!閃いたわ!あたし冴えてる!天才ー!
柔軟に対応できないなら、あたしの“得意分野”に持ち込んでしまえばいいのよ!
私は満を辞して一言。
「こんなこと言っても信じてもらえないと思う……」
「何だよ?」
「あのね、あたしこの世界とは別の世界の住人なの。何の間違いかうっかり迷い込んじゃってぇ…… もう!神様のお馬鹿!やんなっちゃう!」
──言いなよ、あの言葉を!ほらほらぁ。
『面白い奴だな』って!
この台詞さえ言わせてしまえばこっちのもんよ!勝ったも同然!
呆気にとられた様子の青年が口を開く。
きたきた!そうよ、これこれ!
「馬鹿なんだな、もう十分に分かったから喋るな。」
……ちがーう!!! そうじゃないっ!
彼の言葉にあたしは深く首肯した。動揺を悟られないため。速まる鼓動を抑えるように言葉を絞り出す。
「……正解、だけど……」
イレギュラーが多過ぎる。この世界に来てから。知らない世界にやって来ただけならまだしも、あたしの正体を掴んでいる存在なんていなかった。所詮は他人に作られたキャラクター。あたしのことなんて知っているはずがない。
今までのあたしの長い夢主人生。臨機応変な対応はお手の物になって……ないな。
夢小説って一大ジャンルとして確立されているから大まかなテンプレートがある。それになぞらえる形で物事が展開していくため、ベテランのあたしには予想外の出来事なんて起こりえない。
じゃあどうしようか。うーん。思考を巡らす。
……わかった!閃いたわ!あたし冴えてる!天才ー!
柔軟に対応できないなら、あたしの“得意分野”に持ち込んでしまえばいいのよ!
私は満を辞して一言。
「こんなこと言っても信じてもらえないと思う……」
「何だよ?」
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──言いなよ、あの言葉を!ほらほらぁ。
『面白い奴だな』って!
この台詞さえ言わせてしまえばこっちのもんよ!勝ったも同然!
呆気にとられた様子の青年が口を開く。
きたきた!そうよ、これこれ!
「馬鹿なんだな、もう十分に分かったから喋るな。」
……ちがーう!!! そうじゃないっ!
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