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地元にいる有名な女はありのまま身体を差しだしている
しおりを挟む女子校の制服には白い液体がかかっていた。ペンキである。それは白濁とした私の学生生活を象徴しているかのようで、少しだけ笑ってしまった。
友人とそういう行為に及んだのは、不可抗力だった。初めては一人と。だけど私の話は次第に広がって、やがて複数のグループに誘われるようになった。なんてことはない、いつだってみんな「カラオケにいこう」というだけだ。私もそのつもりで行き、やがて身に何も纏わなくなるだけだ。それは正しいとか間違っているとか、そんな机上の空論で構成された学舎にはない、直接的な実体がそこにはあった。
ただただ、そういうものである。私は自分の身を守るとか、貞操観念であるとか、そういったものがほんの薄い膜一枚で守られていることを知った。破られて以降は、逆に考えなくていいから楽だった。
それでも、学舎へゆくと思う。
その膜で守られている者は多く、私と彼女たちの間には、埋めようとしても埋められない巨大な溝が生まれてしまっていた。私から彼女たちの方へゆくことはできないし、彼女たちが身命を賭して、こちら側へくることもない。私は彼女たちとは違ったのだ。
人間として、異常には感じなかった。
しかし同様にそれは、弱肉強食がモットーの世界に身を投じたものの、時期が早すぎたのだと思わざるを得ない。
付いたペンキは落ちなかった。
でも、空となった体にはそれがやけに合っていた。
気持ちがいい、青い空の下で私は踊っている。くるくる踊る。
私はそうして、誰かの妻となっていった。
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