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喧嘩の続き
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「は?」
青年はまた体をデフォルメサイズに戻し小さい体を巧みに使ってひょいひょいっとベッドの上に移動し、ボフッと腰を下ろした。
手に持っていた紙は青年が小さく折りたたんで握りしめていた。
そして徠の方少しチラッと見たが直ぐにプイっと顔を逸らした。
その目に殺気は無かった。
いやそれはもしかしたらデフォルメサイズになって殺気が出にくくなっているだけかもしれないが……。
「待ってくれ、俺は破ったりなんてしない。ただ、その絵に色をつけてやろうと……」
「信用出来ない」
「ウグッ……」
一切徠と目も合わせることなくぴしゃりと青年は言い放った。
デフォルメサイズになって殺気が出なくても圧はある。
流石は徠の「心」から作られたキャラなだけはある。
「「………」」
お互い同じ空間にはいるが喋らなくなった。
相変わらず徠と目を合わせようとしない青年
だが、それでも諦めずにベッドの前に正座をしじっと青年を見つめる徠。
まるでベッドに置いたぬいぐるみを人間が正座をして拝んでいるようだ。
傍から見ればあからさま変な光景だろう。
そしてそれから約10分後、
流石に徠の足が痺れてきたのだろうか表情に苦痛が見える。
「あ、あのさ……」
「……なんだ」
青年は、まん丸で可愛らしい大きな瞳を細めてギロッと徠を睨んだ。
時間が経ってもなお機嫌が収まらないのは、やっぱりそれほどその出来たてホカホカの「原画」が大切なのだろうか………。
「ごめん、やっぱりなんでもない……」
徠はついに青年との対話を諦めたようで、消え入るような声でそう言うと立ち上がって部屋のドアの前で立ち止まった。
ドアノブに手をかけたのと同時に徠はチラッとベッドの方を見たが、何も言わずに重い足取りで部屋を出ていった。
徠のその表情はとても悲しそうだった。
バタン
この部屋の主人の居なくなった空間は静かになった。暖房も止まって、風の音も紙の上を滑る鉛筆の音も、何も聞こえなくなった。
いや、元から静かだったのだが
未だにベッドから降りることの無い青年、
その手には握りしめすぎたクシャクシャの紙。
そこには先程描き上げられた青年の本来の姿が描かれている。
カサカサと静かな音を立てながら青年はクシャクシャになった紙を開いてその絵を見た。
その目は、
_______________とても優しかった
線だけの存在
悪い顔
オマケに中指さえ立てている
あれだ、一言で言うならヤクザだ。
だが、青年にとってはそれは嬉しかったのだろう
「綺麗」だの「カッコイイ」だのそんなものは言われても青年には届かない。
ただ届くとするならきっとそれは………
「×××××××」
青年は薄ら笑みを浮かべ、ベッドから立ち上がると紙を枕の下に置き、元の姿に戻って窓を勢いよく開けた。
「あぁ、やっぱり外の世界はいい匂いだ」
そしてそこから飛び降りた。
「はぁ……どうしたものか………」
部屋から出た勢いで家さえも居心地が悪くなって出てきてしまった徠は、運良くポケットに入っていた財布を取りだし中身を確認した。
「よし、結構あるな……」
お小遣いはよく貰っていたが買うものも特になかったから結構な額は持っているはずだ。
だが、今は奮発してまでも買いたいものはある。
どれほど反対されたってどれほど嫌がられたって
「彼に色を塗ってやりたいんだ」
その一心だった。
とりあえず徠は
「文房具屋に行かなければ意味がない」と思い家の近くの店に足を向かわせた。
そんな時だった
「あっれぇ?らーいくんじゃぁん」
「ッ!?」
この世でこれ以上嫌いな奴はいないだろうと言えるほどの嫌な奴の声が耳に入った。
徠はバッと後ろを振り向くとやっぱり「アイツら」だった
「アイツら」は徠をイジメで不登校になるまで追い詰めリーダーとその仲間たち。
さらにはネットでイラストを投稿する徠を探しては誹謗中傷を繰り広げ炎上させる最悪な奴だ。
まぁ、簡単に言うなら『アイツら』は【くラすめェト】というやつで、徠に対する【イジめ】を楽しくやっていた奴らだ。
「…!!」
徠は反射的に全力で来た道を引き返し、裏路地に入って「アイツら」を撒こうとしたのだが……
バンッ
「い゛ッッ!?」
逆に裏路地に入ったところで「アイツら」のリーダーが懐から拳銃を取り出して徠の足を撃った。
徠がいた所は繁華街だったから一通りも多く五月蝿かったが、裏路地に徠が逃げ込んでしまい通行人が少なくなって、アイツらにとっては獲物の狩場となってしまった。
銃の鉛玉は徠の足を掠めた程度だったが、体感したこともないような痛みに耐えられず徠は地面に引っ張られるように勢いよく倒れこんだ。
「どーおー??今まで反応がなかったからさもう飽きたと、思ってたぁ?」
リーダーらしき人物は倒れた徠に近づき左手で髪を掴んで引き上げた。
「ぐっ………」
「痛い?痛いか?痛いよなぁ、もうナイフで切り裂かれる痛みには慣れたかと思ってよぉ……」
こんなものを用意してみたんだぜ?と言って徠の額に銃口を突きつけた。
だが、徠の表情は怯えることも無く、逆に"また"あの無表情に変わっていった
「………慣れたらなんなんだ」
「はぁ?」
徠は銃口を向けられているにも関わらずリーダーをギロリと睨み
「殺せるなら、殺してみろよ」
と言った。
額に青筋を浮かべたリーダーが銃を撃とうとした
その瞬間
ドカァァァァン
けたたましい音とともにリーダーの後ろにいた部下共数名が吹っ飛んできた。
「な、なんだ!?」
リーダーは驚き拳銃を徠から離した。
徠はリーダーの部下を瓦礫ごと吹き飛ばす馬鹿力を持ったやつの方に目を向け、うっすらと笑った。
「徠ー!?いんのかぁ!?どこだァァ!!」
案の定徠の予想通りあの「青年」だった
「遅い、真(まこと)」
徠がボソッと呟くと
真と呼ばれた青年は今までムスッとしていた顔をパァァと輝かせ、そしてニッと笑いあの特徴的なギザ歯を覗かせた。
まるでサメの歯のようだ。
「な、なんなんだよてめぇはよぉ!?」
リーダーは次元を超えた力を前に少しずつ後ずさり、横たわる徠の体に足をぶつけてよろめいた
「!!」
真はそれを"見逃さなかった"
目をこれでもかと言うほどカッと見開き、瞬く間に真はリーダーの懐に入り込んで力いっぱいに鳩尾に1発拳をぶち込んだ。
「ぐふぅっ!?」
「くぅたぁばぁれぇぇぇぇ!!」
ドカァァァァン
パラパラパラ……
吹っ飛ばされたリーダーは壁の柄にでもなったかのように深く深くめり込んだ。
目は白目を向き、口は少し空いていて端からヨダレが出ていた。もしかしたら失禁もしているかもしれない。
綺麗な大の字だ
あ、顔は汚いが、
「なんだ、全くもって面白くねぇにょーん」
真はリーダーに舌をべーーっと突き出し、徠の方へ小走りに走っていった。
その足取りは誰が見てもとても軽やかだった
青年はまた体をデフォルメサイズに戻し小さい体を巧みに使ってひょいひょいっとベッドの上に移動し、ボフッと腰を下ろした。
手に持っていた紙は青年が小さく折りたたんで握りしめていた。
そして徠の方少しチラッと見たが直ぐにプイっと顔を逸らした。
その目に殺気は無かった。
いやそれはもしかしたらデフォルメサイズになって殺気が出にくくなっているだけかもしれないが……。
「待ってくれ、俺は破ったりなんてしない。ただ、その絵に色をつけてやろうと……」
「信用出来ない」
「ウグッ……」
一切徠と目も合わせることなくぴしゃりと青年は言い放った。
デフォルメサイズになって殺気が出なくても圧はある。
流石は徠の「心」から作られたキャラなだけはある。
「「………」」
お互い同じ空間にはいるが喋らなくなった。
相変わらず徠と目を合わせようとしない青年
だが、それでも諦めずにベッドの前に正座をしじっと青年を見つめる徠。
まるでベッドに置いたぬいぐるみを人間が正座をして拝んでいるようだ。
傍から見ればあからさま変な光景だろう。
そしてそれから約10分後、
流石に徠の足が痺れてきたのだろうか表情に苦痛が見える。
「あ、あのさ……」
「……なんだ」
青年は、まん丸で可愛らしい大きな瞳を細めてギロッと徠を睨んだ。
時間が経ってもなお機嫌が収まらないのは、やっぱりそれほどその出来たてホカホカの「原画」が大切なのだろうか………。
「ごめん、やっぱりなんでもない……」
徠はついに青年との対話を諦めたようで、消え入るような声でそう言うと立ち上がって部屋のドアの前で立ち止まった。
ドアノブに手をかけたのと同時に徠はチラッとベッドの方を見たが、何も言わずに重い足取りで部屋を出ていった。
徠のその表情はとても悲しそうだった。
バタン
この部屋の主人の居なくなった空間は静かになった。暖房も止まって、風の音も紙の上を滑る鉛筆の音も、何も聞こえなくなった。
いや、元から静かだったのだが
未だにベッドから降りることの無い青年、
その手には握りしめすぎたクシャクシャの紙。
そこには先程描き上げられた青年の本来の姿が描かれている。
カサカサと静かな音を立てながら青年はクシャクシャになった紙を開いてその絵を見た。
その目は、
_______________とても優しかった
線だけの存在
悪い顔
オマケに中指さえ立てている
あれだ、一言で言うならヤクザだ。
だが、青年にとってはそれは嬉しかったのだろう
「綺麗」だの「カッコイイ」だのそんなものは言われても青年には届かない。
ただ届くとするならきっとそれは………
「×××××××」
青年は薄ら笑みを浮かべ、ベッドから立ち上がると紙を枕の下に置き、元の姿に戻って窓を勢いよく開けた。
「あぁ、やっぱり外の世界はいい匂いだ」
そしてそこから飛び降りた。
「はぁ……どうしたものか………」
部屋から出た勢いで家さえも居心地が悪くなって出てきてしまった徠は、運良くポケットに入っていた財布を取りだし中身を確認した。
「よし、結構あるな……」
お小遣いはよく貰っていたが買うものも特になかったから結構な額は持っているはずだ。
だが、今は奮発してまでも買いたいものはある。
どれほど反対されたってどれほど嫌がられたって
「彼に色を塗ってやりたいんだ」
その一心だった。
とりあえず徠は
「文房具屋に行かなければ意味がない」と思い家の近くの店に足を向かわせた。
そんな時だった
「あっれぇ?らーいくんじゃぁん」
「ッ!?」
この世でこれ以上嫌いな奴はいないだろうと言えるほどの嫌な奴の声が耳に入った。
徠はバッと後ろを振り向くとやっぱり「アイツら」だった
「アイツら」は徠をイジメで不登校になるまで追い詰めリーダーとその仲間たち。
さらにはネットでイラストを投稿する徠を探しては誹謗中傷を繰り広げ炎上させる最悪な奴だ。
まぁ、簡単に言うなら『アイツら』は【くラすめェト】というやつで、徠に対する【イジめ】を楽しくやっていた奴らだ。
「…!!」
徠は反射的に全力で来た道を引き返し、裏路地に入って「アイツら」を撒こうとしたのだが……
バンッ
「い゛ッッ!?」
逆に裏路地に入ったところで「アイツら」のリーダーが懐から拳銃を取り出して徠の足を撃った。
徠がいた所は繁華街だったから一通りも多く五月蝿かったが、裏路地に徠が逃げ込んでしまい通行人が少なくなって、アイツらにとっては獲物の狩場となってしまった。
銃の鉛玉は徠の足を掠めた程度だったが、体感したこともないような痛みに耐えられず徠は地面に引っ張られるように勢いよく倒れこんだ。
「どーおー??今まで反応がなかったからさもう飽きたと、思ってたぁ?」
リーダーらしき人物は倒れた徠に近づき左手で髪を掴んで引き上げた。
「ぐっ………」
「痛い?痛いか?痛いよなぁ、もうナイフで切り裂かれる痛みには慣れたかと思ってよぉ……」
こんなものを用意してみたんだぜ?と言って徠の額に銃口を突きつけた。
だが、徠の表情は怯えることも無く、逆に"また"あの無表情に変わっていった
「………慣れたらなんなんだ」
「はぁ?」
徠は銃口を向けられているにも関わらずリーダーをギロリと睨み
「殺せるなら、殺してみろよ」
と言った。
額に青筋を浮かべたリーダーが銃を撃とうとした
その瞬間
ドカァァァァン
けたたましい音とともにリーダーの後ろにいた部下共数名が吹っ飛んできた。
「な、なんだ!?」
リーダーは驚き拳銃を徠から離した。
徠はリーダーの部下を瓦礫ごと吹き飛ばす馬鹿力を持ったやつの方に目を向け、うっすらと笑った。
「徠ー!?いんのかぁ!?どこだァァ!!」
案の定徠の予想通りあの「青年」だった
「遅い、真(まこと)」
徠がボソッと呟くと
真と呼ばれた青年は今までムスッとしていた顔をパァァと輝かせ、そしてニッと笑いあの特徴的なギザ歯を覗かせた。
まるでサメの歯のようだ。
「な、なんなんだよてめぇはよぉ!?」
リーダーは次元を超えた力を前に少しずつ後ずさり、横たわる徠の体に足をぶつけてよろめいた
「!!」
真はそれを"見逃さなかった"
目をこれでもかと言うほどカッと見開き、瞬く間に真はリーダーの懐に入り込んで力いっぱいに鳩尾に1発拳をぶち込んだ。
「ぐふぅっ!?」
「くぅたぁばぁれぇぇぇぇ!!」
ドカァァァァン
パラパラパラ……
吹っ飛ばされたリーダーは壁の柄にでもなったかのように深く深くめり込んだ。
目は白目を向き、口は少し空いていて端からヨダレが出ていた。もしかしたら失禁もしているかもしれない。
綺麗な大の字だ
あ、顔は汚いが、
「なんだ、全くもって面白くねぇにょーん」
真はリーダーに舌をべーーっと突き出し、徠の方へ小走りに走っていった。
その足取りは誰が見てもとても軽やかだった
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