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まて、とりあえず座れよ。な?
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「…………うん?」
「とりあえずさ顔と体、そのペンで描いてくんね?」
「あ、はい」
飛び出した手は徠の腕を離し勢いよく指をさすと紙の方にも指を指し、はやくはやくと急かした。
非現実的なことが起こり何が何だか訳が分からなくなった徠はとりあえず紙から飛び出してきた手とどこからともなく聞こえてきた謎の声の言葉に従った。
といっても、言われなくてもやるのだが……
サラサラ
キュッキュッ
「ほぉ~上手いねぇ」
徠は無言で黙々と描き続けているが、青年は「うまい」とか「おぉ、いい丸みがある」など、自分の体が完成に近づけば近づくほど率直な感想を次々と述べていった。
徠にそんな言葉は無意味でしかないというのに……
「……できたぞ………?」
手直しをしながらかれこれ数十分、
徠は描き上がった紙を指示されたとおりに部屋の中心の床に置いた。
ピカァァァァ
グニャグニャッ
すると、次は紙が発光し、またまたぐにゃりと曲がりはじめた。
紙からは手や体、足が飛び出し最後に頭をグググッと飛び出し、青年がジャーンっと効果音がつくようなポーズで紙の上に具現化して現れた__。
と言っても線しか描いていないから、モノクロである。
「フハハハハ!!!どうだこの俺の姿!!驚いたか!?驚いたな!?」
紙から出てきた青年は徠を指さし、さらにぴょんぴょんと徠の周りを飛び跳ねながら肩をバシバシと叩き始めた。
身長はおよそ170前後といったところだろうか、徠よりは高い。そして殴る力が強すぎて痛い。
「……痛い、おどろいた…驚いたから……!」
「痛い?そうか、わりぃわりぃ」
痛いと徠が言うと一応悪いとは思っているようで徠から一旦離れ、ペコペコと頭を下げていた。
(中指を立てている絵だったよな…?こんなにテンションが高くて人懐っこい奴なのか?)
徠の表情は呆れ顔だ。
そんな中でも徠は心の中で怪しさをMAXに青年へ疑いの目を向けた。
だが、徠のそんな目を見ても何も動じない青年は目を少し細めて口角をあげた。
何かを見透かすような細い目、これを蛇目というのだろうか。
「ところでよ?俺の名前は?」
「名前?………あー……」
(特に名前なんてない)
それもそうだ
徠はただ"己のストレス発散"の為だけに描いただけなのだから、
あるはずがない
「………なんでもいいよ、自分でつけて」
「は?」
真冬
徠が部屋に来て既に2時間は確実に経過している。それなのに、暖房の着いた部屋の空気が急激に冷えた気がした。
目の前にいた青年はいつの間にか姿を消しており、気がついた時には徠の体は斜めに傾きそして重力に逆らうことなく地面にたたきつけられた。
青年はすぐに徠の上に馬乗りの状態になって彼の胸ぐらを掴んだ。
「痛った……っ!」
「名前がねぇ……だと?……笑わせんな」
ギリギリッ
何故、彼はそこにキレたのだろうか
(なんで?自分で名前が好きなように決められるんだぞ?)
叩きつけられた時の背中の痛みと、今日家へ帰る時にできた捻挫の部分を圧迫され苦痛に苦しんでいた徠だが、青年が怒ってしまった理由を考えれば考えるほど顔からまた表情がなくなっていった。
苦痛に耐えるような表情でもなく、ただただ無機物な何かを見るような目へと変化していった。
それが青年にはもっと気に食わなかったのか、はたまたま何も言葉を返さなかったことにムカついたのか手首を握りしめる力をさらに強くしてきた。
「ッッ!!」
「……なぁ、答えろよ」
(前言撤回だ、こいつは全然人懐っこくないやつだ、!!)
徠はキッと青年を睨みつけ、
「………じゃあ答えてやるよ!!俺はな!!!ただ、ストレス発散のためだけに描いてたんだよ!!別に名前をつけようとかそんな気持ちで作ったんじゃねぇ!!お前は」
"俺が作り出したただの絵だ"
頭に血が上りすぎてムキになって返してしまった徠だが、言ってしまった途端に「やばい、こんな言葉最悪だ」と思ったのだろうか顔は青ざめ口をはくはくとさせている。
「……そうかよ、じゃ、、いいわ」
青年はあっけに取られることもなく素直に徠の手首からパッと手を離し、上からも退いた
「ご、ごめ((謝罪とかどーでもいい ……」
ギスギスとした空気に2人は互いに目も合わせることなく、とてつもなく重たい。
どちらかと言えば青年からは徠に対する殺気がダダ漏れである。
トタトタトタ
「徠ー?なにかすごい音がしたけど大丈夫なの?」
「「!!」」
さっきの音(主に青年が徠を叩きつけた音)が1階のリビングにまで響いてしまったのだろうか、徠の母が心配して2階の部屋の前まで来てしまった。
「だ、大丈夫だから!!」
「ほんと?あのね徠、お母さんちょっと気になってたんだけど、帰ってきた時腕を庇ってなかった?どこか怪我したの?」
とたんに徠の表情が曇る。
「怪我……?」
そして、青年が徠に鋭い視線を向ける。
「け、怪我なんてしてないよ!転けただけ!うるさくしちゃってごめんなさい!!」
と、徠は母親を心配させないように必死に弁解しようとして、声を張り上げるが……
「ダメよ!怪我をしたならちゃんと見せなさい!!」
どうやらなかなかな心配性な母親のようで……このままでは母親が部屋に入ってきてしまう。
たしかに徠は帰ってくる時手首を怪我してきた。
だがもし、
それを母が見たら?
絶対追求してくるだろう。
部屋にいる青年を見てしまったら?
「不審者」あるいは、顔的に「自分の息子を虐める悪ガキ」のようなレッテルを貼られてしまうだろう。
これはまずい、非常にまずい!!
元からあまり顔色が良くなかった徠の顔がもっと悪くなってしまっている。
上手く隠そうにも、自分が創り出した青年は運悪く高身長、隠そうにもこの部屋にそのような場所はない。
つまりThe END………
バンッ!!
部屋のドアが思い切り開いたのと同時に徠は諦めた。
もうどうにでもなれという精神だ、
「あら?」
「な、なに……?」
母は徠の部屋をおもいっきり開けるやいなや徠の横を通り過ぎ、身をかがめた。
徠もその事に驚き母の視線の方に目をやると……
「は!?」
「あらあら、可愛い子ねぇ」
そこには単行本と同じくらいのサイズの"あの青年"がそこにいた。
もっとわかりやすく言うならミニキャラ?デフォルメ?というやつだ。
「おれ!らいとなかいいやつ!あやしいやつじゃない!」
「oh......」
(せめてさ!?ベッドの中に潜り込むとかぬいぐるみのようにするとかにして欲しかったなぁ!?)
っていうか、自分でも怪しいヤツって思ってたのかよ、と言った表情である。
「可愛いわねぇ!これ、徠が作ったの?すごいお人形さんねぇ!」
さらにその上徠が手作りしたお人形のようにされてしまっている。
しかも喋るハイテクな。
徠からしてみればこの光景にはカオスだろうか、
簡単に言えば死にかけている。
その後、母の戻りが遅いことに心配した父も来て、母に人形を見せつけられると父もその人形(疑似体)の虜になってしまった。
さらに、あの青年は母に「この子はご飯も食べれるのかしら?」と問われ、徠が「無理」と答えようとした瞬間「たべる!!」と即答し、もっと父親と母親に気にいられた。
徠もうなんでもいいやと投げやりになった徠はささっと階段を降りていった。
徠の母親に抱き上げられた青年は徠のその寂しげな後ろ姿をただじーっと見ていた。
まるで、なにかを見つけようとするかのように……
さぁ、
「ご飯」「地獄」の時間だ。
「とりあえずさ顔と体、そのペンで描いてくんね?」
「あ、はい」
飛び出した手は徠の腕を離し勢いよく指をさすと紙の方にも指を指し、はやくはやくと急かした。
非現実的なことが起こり何が何だか訳が分からなくなった徠はとりあえず紙から飛び出してきた手とどこからともなく聞こえてきた謎の声の言葉に従った。
といっても、言われなくてもやるのだが……
サラサラ
キュッキュッ
「ほぉ~上手いねぇ」
徠は無言で黙々と描き続けているが、青年は「うまい」とか「おぉ、いい丸みがある」など、自分の体が完成に近づけば近づくほど率直な感想を次々と述べていった。
徠にそんな言葉は無意味でしかないというのに……
「……できたぞ………?」
手直しをしながらかれこれ数十分、
徠は描き上がった紙を指示されたとおりに部屋の中心の床に置いた。
ピカァァァァ
グニャグニャッ
すると、次は紙が発光し、またまたぐにゃりと曲がりはじめた。
紙からは手や体、足が飛び出し最後に頭をグググッと飛び出し、青年がジャーンっと効果音がつくようなポーズで紙の上に具現化して現れた__。
と言っても線しか描いていないから、モノクロである。
「フハハハハ!!!どうだこの俺の姿!!驚いたか!?驚いたな!?」
紙から出てきた青年は徠を指さし、さらにぴょんぴょんと徠の周りを飛び跳ねながら肩をバシバシと叩き始めた。
身長はおよそ170前後といったところだろうか、徠よりは高い。そして殴る力が強すぎて痛い。
「……痛い、おどろいた…驚いたから……!」
「痛い?そうか、わりぃわりぃ」
痛いと徠が言うと一応悪いとは思っているようで徠から一旦離れ、ペコペコと頭を下げていた。
(中指を立てている絵だったよな…?こんなにテンションが高くて人懐っこい奴なのか?)
徠の表情は呆れ顔だ。
そんな中でも徠は心の中で怪しさをMAXに青年へ疑いの目を向けた。
だが、徠のそんな目を見ても何も動じない青年は目を少し細めて口角をあげた。
何かを見透かすような細い目、これを蛇目というのだろうか。
「ところでよ?俺の名前は?」
「名前?………あー……」
(特に名前なんてない)
それもそうだ
徠はただ"己のストレス発散"の為だけに描いただけなのだから、
あるはずがない
「………なんでもいいよ、自分でつけて」
「は?」
真冬
徠が部屋に来て既に2時間は確実に経過している。それなのに、暖房の着いた部屋の空気が急激に冷えた気がした。
目の前にいた青年はいつの間にか姿を消しており、気がついた時には徠の体は斜めに傾きそして重力に逆らうことなく地面にたたきつけられた。
青年はすぐに徠の上に馬乗りの状態になって彼の胸ぐらを掴んだ。
「痛った……っ!」
「名前がねぇ……だと?……笑わせんな」
ギリギリッ
何故、彼はそこにキレたのだろうか
(なんで?自分で名前が好きなように決められるんだぞ?)
叩きつけられた時の背中の痛みと、今日家へ帰る時にできた捻挫の部分を圧迫され苦痛に苦しんでいた徠だが、青年が怒ってしまった理由を考えれば考えるほど顔からまた表情がなくなっていった。
苦痛に耐えるような表情でもなく、ただただ無機物な何かを見るような目へと変化していった。
それが青年にはもっと気に食わなかったのか、はたまたま何も言葉を返さなかったことにムカついたのか手首を握りしめる力をさらに強くしてきた。
「ッッ!!」
「……なぁ、答えろよ」
(前言撤回だ、こいつは全然人懐っこくないやつだ、!!)
徠はキッと青年を睨みつけ、
「………じゃあ答えてやるよ!!俺はな!!!ただ、ストレス発散のためだけに描いてたんだよ!!別に名前をつけようとかそんな気持ちで作ったんじゃねぇ!!お前は」
"俺が作り出したただの絵だ"
頭に血が上りすぎてムキになって返してしまった徠だが、言ってしまった途端に「やばい、こんな言葉最悪だ」と思ったのだろうか顔は青ざめ口をはくはくとさせている。
「……そうかよ、じゃ、、いいわ」
青年はあっけに取られることもなく素直に徠の手首からパッと手を離し、上からも退いた
「ご、ごめ((謝罪とかどーでもいい ……」
ギスギスとした空気に2人は互いに目も合わせることなく、とてつもなく重たい。
どちらかと言えば青年からは徠に対する殺気がダダ漏れである。
トタトタトタ
「徠ー?なにかすごい音がしたけど大丈夫なの?」
「「!!」」
さっきの音(主に青年が徠を叩きつけた音)が1階のリビングにまで響いてしまったのだろうか、徠の母が心配して2階の部屋の前まで来てしまった。
「だ、大丈夫だから!!」
「ほんと?あのね徠、お母さんちょっと気になってたんだけど、帰ってきた時腕を庇ってなかった?どこか怪我したの?」
とたんに徠の表情が曇る。
「怪我……?」
そして、青年が徠に鋭い視線を向ける。
「け、怪我なんてしてないよ!転けただけ!うるさくしちゃってごめんなさい!!」
と、徠は母親を心配させないように必死に弁解しようとして、声を張り上げるが……
「ダメよ!怪我をしたならちゃんと見せなさい!!」
どうやらなかなかな心配性な母親のようで……このままでは母親が部屋に入ってきてしまう。
たしかに徠は帰ってくる時手首を怪我してきた。
だがもし、
それを母が見たら?
絶対追求してくるだろう。
部屋にいる青年を見てしまったら?
「不審者」あるいは、顔的に「自分の息子を虐める悪ガキ」のようなレッテルを貼られてしまうだろう。
これはまずい、非常にまずい!!
元からあまり顔色が良くなかった徠の顔がもっと悪くなってしまっている。
上手く隠そうにも、自分が創り出した青年は運悪く高身長、隠そうにもこの部屋にそのような場所はない。
つまりThe END………
バンッ!!
部屋のドアが思い切り開いたのと同時に徠は諦めた。
もうどうにでもなれという精神だ、
「あら?」
「な、なに……?」
母は徠の部屋をおもいっきり開けるやいなや徠の横を通り過ぎ、身をかがめた。
徠もその事に驚き母の視線の方に目をやると……
「は!?」
「あらあら、可愛い子ねぇ」
そこには単行本と同じくらいのサイズの"あの青年"がそこにいた。
もっとわかりやすく言うならミニキャラ?デフォルメ?というやつだ。
「おれ!らいとなかいいやつ!あやしいやつじゃない!」
「oh......」
(せめてさ!?ベッドの中に潜り込むとかぬいぐるみのようにするとかにして欲しかったなぁ!?)
っていうか、自分でも怪しいヤツって思ってたのかよ、と言った表情である。
「可愛いわねぇ!これ、徠が作ったの?すごいお人形さんねぇ!」
さらにその上徠が手作りしたお人形のようにされてしまっている。
しかも喋るハイテクな。
徠からしてみればこの光景にはカオスだろうか、
簡単に言えば死にかけている。
その後、母の戻りが遅いことに心配した父も来て、母に人形を見せつけられると父もその人形(疑似体)の虜になってしまった。
さらに、あの青年は母に「この子はご飯も食べれるのかしら?」と問われ、徠が「無理」と答えようとした瞬間「たべる!!」と即答し、もっと父親と母親に気にいられた。
徠もうなんでもいいやと投げやりになった徠はささっと階段を降りていった。
徠の母親に抱き上げられた青年は徠のその寂しげな後ろ姿をただじーっと見ていた。
まるで、なにかを見つけようとするかのように……
さぁ、
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