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お母さん、碧、死者への償い
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夢から目覚めた後私は淏さんに会う前に、碧の人間関係図を作った。
すると連絡が取れない私を心配して淏さんが家に来た。
淏さんにコーヒーを出して、私は昨日の夢を淏さんに話そうか悩んでいた。
ぼーっとしていると、淏さんが心配そうに見つめていた。
『すみません。少し考え事をしていて』
「昨日のスマホの件か?」
『少し違います。碧の事ではありますが…。』
「嫌ならいいんだよ?辛い事も傷付く事もある、強引に捜査に付き合わせるのも…。危険な事もあるかもしれない。俺が1番
怖いのは咲乃に何かある事だ、だから今も心配になり来てしまった。咲乃には選ぶ権利があるんだ。」
淏さんが私の事考え、心配し怯えてる事が分かった。
私は真犯人に罪を償って欲しい何て思えない。
そんな事をしても大切な人は帰って来ない事を私は知っている。
私は昨日の事を淏さんに話し、その上で淏さんの意見を聞こう。
そして淏さんに昨日の夢の話をした。
淏さんは私の話を真剣に聞いてくれた。
淏さんは少し考えて言った。
「俺は信じるよ。そんな意味のない嘘をつくやつだと思ってないし、筋は通ってる気がする。」
『ありがとうございます…』
「他にも何かあるの?」
私の腑に落ちない表情に淏さんは言った。
『私は償いの意味がないと思います。真犯人が償いをしても碧はもう帰って来ません。償いになんの意味があるんですか?私
は理解が出来ない、碧も淏さんも償ってほしいんですよね?』
淏さんは不思議そうに言った。
「んー俺はね、碧に帰って来て欲しいから償って欲しいんじゃないから。咲乃は帰って来て欲しかったの?」
…
そうだ…私は帰って来て欲しかったんだ。
強くて、優しいお母さんに…
『そうですよね。私何言ってるんだろう。』
私は涙が止まらなくなった。
「あいつからお母さんの話は聞いてるよ…今更だけど線香あげさせてくれないか?」
淏さんはお母さんの仏壇にお線香をあげてくれた。
そして私はお母さんの話をした。
お母さんが父を恨んでいる人間の犯行だった事。
その犯人が見つかっていない事も、父のそれからの人生も全て。
淏さんはおとなしく私の話を聞いてくれてた。
『こんな話をしてすみません。』
「…それはいいんだけど、咲乃は犯人を知りたい?」
『うん、でないとお母さんが報われない。』
「俺も同じ。碧を殺した真犯人を知りたい。2人に出来る事だよ。」
『私に出来るかな?』
「初めから思っていたけど、1人じゃないぞ!俺を頼れ、これでも現役刑事だぞ!」
『ありがとう、そうだよね。」
私は1人じゃない。
そんなことに今更気付くなんて。
「碧の事が済んだら、お母さんの事件も調べよう。」
そう言う淏さんの眼差しは優しく、強い。
まるでお母さんみたいで安心出来る。
『そうですね、早く真犯人を探さないと冤罪で捕まっている人が可愛そうです‼︎』
「そうだな。2人で頑張ろう。」
『はい!』
そして私たちは犯人探しに取り掛かる。
死んだ人間は戻って来ない。
だからこそ生きている人間は、死んだ人間に出来る事を探す。
そして私達は見つけた。
2人の為に新しい朝が来る私達が出来る事。
私達はその答えに向かって歩き出す。
すると連絡が取れない私を心配して淏さんが家に来た。
淏さんにコーヒーを出して、私は昨日の夢を淏さんに話そうか悩んでいた。
ぼーっとしていると、淏さんが心配そうに見つめていた。
『すみません。少し考え事をしていて』
「昨日のスマホの件か?」
『少し違います。碧の事ではありますが…。』
「嫌ならいいんだよ?辛い事も傷付く事もある、強引に捜査に付き合わせるのも…。危険な事もあるかもしれない。俺が1番
怖いのは咲乃に何かある事だ、だから今も心配になり来てしまった。咲乃には選ぶ権利があるんだ。」
淏さんが私の事考え、心配し怯えてる事が分かった。
私は真犯人に罪を償って欲しい何て思えない。
そんな事をしても大切な人は帰って来ない事を私は知っている。
私は昨日の事を淏さんに話し、その上で淏さんの意見を聞こう。
そして淏さんに昨日の夢の話をした。
淏さんは私の話を真剣に聞いてくれた。
淏さんは少し考えて言った。
「俺は信じるよ。そんな意味のない嘘をつくやつだと思ってないし、筋は通ってる気がする。」
『ありがとうございます…』
「他にも何かあるの?」
私の腑に落ちない表情に淏さんは言った。
『私は償いの意味がないと思います。真犯人が償いをしても碧はもう帰って来ません。償いになんの意味があるんですか?私
は理解が出来ない、碧も淏さんも償ってほしいんですよね?』
淏さんは不思議そうに言った。
「んー俺はね、碧に帰って来て欲しいから償って欲しいんじゃないから。咲乃は帰って来て欲しかったの?」
…
そうだ…私は帰って来て欲しかったんだ。
強くて、優しいお母さんに…
『そうですよね。私何言ってるんだろう。』
私は涙が止まらなくなった。
「あいつからお母さんの話は聞いてるよ…今更だけど線香あげさせてくれないか?」
淏さんはお母さんの仏壇にお線香をあげてくれた。
そして私はお母さんの話をした。
お母さんが父を恨んでいる人間の犯行だった事。
その犯人が見つかっていない事も、父のそれからの人生も全て。
淏さんはおとなしく私の話を聞いてくれてた。
『こんな話をしてすみません。』
「…それはいいんだけど、咲乃は犯人を知りたい?」
『うん、でないとお母さんが報われない。』
「俺も同じ。碧を殺した真犯人を知りたい。2人に出来る事だよ。」
『私に出来るかな?』
「初めから思っていたけど、1人じゃないぞ!俺を頼れ、これでも現役刑事だぞ!」
『ありがとう、そうだよね。」
私は1人じゃない。
そんなことに今更気付くなんて。
「碧の事が済んだら、お母さんの事件も調べよう。」
そう言う淏さんの眼差しは優しく、強い。
まるでお母さんみたいで安心出来る。
『そうですね、早く真犯人を探さないと冤罪で捕まっている人が可愛そうです‼︎』
「そうだな。2人で頑張ろう。」
『はい!』
そして私たちは犯人探しに取り掛かる。
死んだ人間は戻って来ない。
だからこそ生きている人間は、死んだ人間に出来る事を探す。
そして私達は見つけた。
2人の為に新しい朝が来る私達が出来る事。
私達はその答えに向かって歩き出す。
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