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千年王国
捕獲
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「警報!! 警報を打ち上げろっ!!」
「伝令!!住民の避難を急がせろ!!」
「クオン、ノワール!!上から外の様子を見てこい!」
「「は~い!!」」
「アン!こっちにおいで!」
「俺は大門へ向かう!魔晶石の捜索部隊と、神殿の警備に当たっている連中にも、外殻へ向かう様に伝令を出せ!」
その時 ドドーーーンッ!! と何かがぶつかる鈍い音が、外郭の方から聞こえて来た。
クソッ!
あっちは居住区だったはずだ。
非難にも時間が掛かる。
ショーン達は間に合ったのか?
「クレイオス!!アウラからの返事はまだかっ?!」
『まだだ。だがレンを手助けする事は出来る』
「・・・・・お前。ふざけるな!俺がそんな事を許すと思っているのか?!」
コイツ!!
レンを戦いの先頭に立たせる気か?!
『なら仕方ないの。しばらく我慢せい』
「アレク?急にどうしたの?」
「すまん。驚かせたな。なんでもないから気にするな」
「でも・・・」
「大丈夫だ」
ブルーベルの背にレンを乗せ、その後ろへ飛び乗って、南の大門がある外郭へ向かう道を急いだ。
外郭が近くなるにつれ、飢えた魔物達が壁を壊そうとしている音が大きくなって行く。
「お前達何をやって居る?!早く、城郭へ避難しろ!急げ!!魔物が雪崩込んでくるぞ!!」
外郭までの途中で行き会った家族は、若い夫夫が3人の子供と、年寄一人を連れていた。
どちらかの親なのだろうか、この老人は足が悪いらしい。
体格のいい夫が手を引いているが、どんなに急いでも外郭が破られるまでに、城郭内へ逃げ込めない可能性が高い。
どうする。
このまま見捨てていくか?
「クオン!!ノワール!!戻ってきて!!」
レンが空に向かって叫ぶと、直ぐに風を巻いて二匹のドラゴンが舞い降りて来た。
「レン様~アレク~」
「みてきたよ~」
「どうだった?」
「ん~~とね」
「あっちと、あっちにいっぱいあつまってる」
「南と西ね?反対側は?」
羽で方向を指しながら、ドラゴン達が一生懸命に説明しているが、話し方に締まりがないせいで、切迫感が感じられんな。
「こっちがわは、むしがいっぱい」
「あっちは、なんかじめんがもこもこ」
「東には虫が居るのね?飛んでる虫?」
「ううん」
「うごうごしてるやつ」
うごうご?
なんの虫だ?
取り敢えず飛んでこないなら、まだいいか。
しかし、北側の地面がもこもことは?
「分かったわ。2人にお願いがあるの」
「なあに~」
「おねがいされちゃう~」
「ふふふ。2人ともいい子ね。この人達を、二人で大公城まで送ってほしいの」
「はこぶの~?」
「6人だね~」
「このドラゴン達はとっても優しい良い子たちなの。皆さんを安全に大公城迄連れて行ってくれますから、安心してください」
「ド・・・ラゴンに乗るのですか?」
「大丈夫よ。すぐに着くし、落ちない様にアレクが結界を張ってくれるから、心配しないでね?」
ねっ!
と可愛く言われては,嫌とは言えないよな。
一家は恐縮しつつ、おっかなビックリドラゴンの背に乗り込んだ。一家の大人たちは、予想外の出来事に顔を引き攣らせているが、子供達は大喜びの大興奮だ。
一家が振り落とされない様に結界を張ってやり、ドラゴン達が大公城へ向けて飛び立つのを見送った。
「閣下。このまま大門へ向かいますか?」
「そうだな。数が多い方から片付けて行こう。北の地面がモコモコと言うのが気になるが、あの音だと、いつ外郭の壁が破られてもおかしくないからな」
「了解」
「よし行くぞ!!」
駆け付けた大門は、予想通りの修羅場だった。
歩廊に上った騎士達が、魔物が破ろうとする外郭の壁に結界を張り、上から魔法を飛ばし続けている。
「どうだ?」
外郭の上で指揮を取っていたロドリックに声を掛けると、うんざりした顔を向けて来た。
「狩っても狩っても、きりが有りません。しかも、あいつ等よっぽど腹が減ってたのか、俺達が狩った魔物をその場でバリバリ食うんですよ。もう・・・それを見るだけで・・・・ウェッ」
「あーー。ははっ」
引き攣った笑い声をあげるレンに、ロドリックは、笑い事じゃないです。と肩を落として見せた。
「唯一の救いが、ここに入る時に、飛行タイプの魔物を、ほぼ片付けていた事くらいですかね」
「確かにな。今グリフォンとハーピーの群れを相手にしろと言われたら、正直きつい。バリスタと投石器の準備は出来ているか?」
「はい。ただ残っている飛びものが、虫が多いんですよ」
「仕方ないな、地道に潰していくか」
「そうっすね」
「??なんで虫だと地道に潰す事になるの?」
「あいつ等は動きが早すぎるのだ。バリスタや投石器みたいな直線的な動きだと、軽くかわされてしまう」
「ふ~~ん。ねぇ。こっちの人は虫取りして遊んだりする?」
「虫取り?しなくもないが」
「どうやって捕まえるの?虫取り網とか使う?」
「いや。網は使わんな」
「ん~。じゃあ、ちょっとやってみるので見ていてくださいね」
そう言うとレンは、左腕を前に突き出し魔力を込め始めた。
そしてレンが魔力を解放すると、外殻から外へ向かい、金色に輝くレンの魔力が放出され、レンが放った魔力はゆらゆらと揺らめきながら、魔物の足元に広がって行った。
「レン様は、何をされる気でしょうか?」
「さあ・・・でも面白そうだぞ」
荒れ狂う魔物達は、自分達の足元にレンの魔力が敷き詰められた事に気付いていないようだ。
そして、左腕で魔力を放出したレンは、魔力の放出はそのままに、今度は右腕を横に広げた。
「せーーの! よっと!」
と緊張感のない掛け声と共に、レンが右腕を振り胸の前で拳を握り締めると、レンが放出していた魔力の端が持ち上がった。
そして、それに気付いた魔物が、おどおどと辺りを見渡す間に、その上部がキュッとすぼまり、100匹程度の魔物を纏めて捉えてしまった。
「どうですか?」
ニッコリ微笑みながら振り向いた番に、俺とマーク、ロドリックは、どうしたものかと視線を交わし合った。
「えーと、レン様?これは一体?」
「網で造った罠と一緒です。見た目は巾着っぽいけど、本物の網でも滑車とか使えば、ある程度魔物を捕獲できると思いますよ?」
「捕獲ですか・・・・成る程」
「今いたのは飛べない魔物なので、下から捕まえましたけど、虫とかの飛ぶ魔物なら、こう・・上からバサッと行けば、捕まえられませんか?」
自慢げにニコニコと笑っているレンだが、これは、膨大な魔力を有するレンだからこそ、できる方法であって、普通の騎士は、そこまで魔力が強くないのだぞ?
これは困った、レンがいつ気付くか分からんが、他の者には真似ができない。
だが、嬉しそうなレンに、本当の事を言うのも気が引ける。
「・・・・私なら4個体と云う処でしょうか・・・」
「自分は、2体ですかね」
マークとロドリックも、レンに気を使い。極力唇を動かさない様に、獣人同士で聞き取れるギリギリの囁きを零している。
「これは凄いな。だがな、捕まえたのは良いが、この後どうするつもりだ?」
「そこはケースバイケースで、皆さんにお任せします。でもこの子達はせっかくなので、このまま浄化しちゃいますね」
そう言うとレンは、魔力の網の中に閉じ込めた魔物を浄化し、光りの粒へ変えてしまったのだ。
「伝令!!住民の避難を急がせろ!!」
「クオン、ノワール!!上から外の様子を見てこい!」
「「は~い!!」」
「アン!こっちにおいで!」
「俺は大門へ向かう!魔晶石の捜索部隊と、神殿の警備に当たっている連中にも、外殻へ向かう様に伝令を出せ!」
その時 ドドーーーンッ!! と何かがぶつかる鈍い音が、外郭の方から聞こえて来た。
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あっちは居住区だったはずだ。
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ショーン達は間に合ったのか?
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『まだだ。だがレンを手助けする事は出来る』
「・・・・・お前。ふざけるな!俺がそんな事を許すと思っているのか?!」
コイツ!!
レンを戦いの先頭に立たせる気か?!
『なら仕方ないの。しばらく我慢せい』
「アレク?急にどうしたの?」
「すまん。驚かせたな。なんでもないから気にするな」
「でも・・・」
「大丈夫だ」
ブルーベルの背にレンを乗せ、その後ろへ飛び乗って、南の大門がある外郭へ向かう道を急いだ。
外郭が近くなるにつれ、飢えた魔物達が壁を壊そうとしている音が大きくなって行く。
「お前達何をやって居る?!早く、城郭へ避難しろ!急げ!!魔物が雪崩込んでくるぞ!!」
外郭までの途中で行き会った家族は、若い夫夫が3人の子供と、年寄一人を連れていた。
どちらかの親なのだろうか、この老人は足が悪いらしい。
体格のいい夫が手を引いているが、どんなに急いでも外郭が破られるまでに、城郭内へ逃げ込めない可能性が高い。
どうする。
このまま見捨てていくか?
「クオン!!ノワール!!戻ってきて!!」
レンが空に向かって叫ぶと、直ぐに風を巻いて二匹のドラゴンが舞い降りて来た。
「レン様~アレク~」
「みてきたよ~」
「どうだった?」
「ん~~とね」
「あっちと、あっちにいっぱいあつまってる」
「南と西ね?反対側は?」
羽で方向を指しながら、ドラゴン達が一生懸命に説明しているが、話し方に締まりがないせいで、切迫感が感じられんな。
「こっちがわは、むしがいっぱい」
「あっちは、なんかじめんがもこもこ」
「東には虫が居るのね?飛んでる虫?」
「ううん」
「うごうごしてるやつ」
うごうご?
なんの虫だ?
取り敢えず飛んでこないなら、まだいいか。
しかし、北側の地面がもこもことは?
「分かったわ。2人にお願いがあるの」
「なあに~」
「おねがいされちゃう~」
「ふふふ。2人ともいい子ね。この人達を、二人で大公城まで送ってほしいの」
「はこぶの~?」
「6人だね~」
「このドラゴン達はとっても優しい良い子たちなの。皆さんを安全に大公城迄連れて行ってくれますから、安心してください」
「ド・・・ラゴンに乗るのですか?」
「大丈夫よ。すぐに着くし、落ちない様にアレクが結界を張ってくれるから、心配しないでね?」
ねっ!
と可愛く言われては,嫌とは言えないよな。
一家は恐縮しつつ、おっかなビックリドラゴンの背に乗り込んだ。一家の大人たちは、予想外の出来事に顔を引き攣らせているが、子供達は大喜びの大興奮だ。
一家が振り落とされない様に結界を張ってやり、ドラゴン達が大公城へ向けて飛び立つのを見送った。
「閣下。このまま大門へ向かいますか?」
「そうだな。数が多い方から片付けて行こう。北の地面がモコモコと言うのが気になるが、あの音だと、いつ外郭の壁が破られてもおかしくないからな」
「了解」
「よし行くぞ!!」
駆け付けた大門は、予想通りの修羅場だった。
歩廊に上った騎士達が、魔物が破ろうとする外郭の壁に結界を張り、上から魔法を飛ばし続けている。
「どうだ?」
外郭の上で指揮を取っていたロドリックに声を掛けると、うんざりした顔を向けて来た。
「狩っても狩っても、きりが有りません。しかも、あいつ等よっぽど腹が減ってたのか、俺達が狩った魔物をその場でバリバリ食うんですよ。もう・・・それを見るだけで・・・・ウェッ」
「あーー。ははっ」
引き攣った笑い声をあげるレンに、ロドリックは、笑い事じゃないです。と肩を落として見せた。
「唯一の救いが、ここに入る時に、飛行タイプの魔物を、ほぼ片付けていた事くらいですかね」
「確かにな。今グリフォンとハーピーの群れを相手にしろと言われたら、正直きつい。バリスタと投石器の準備は出来ているか?」
「はい。ただ残っている飛びものが、虫が多いんですよ」
「仕方ないな、地道に潰していくか」
「そうっすね」
「??なんで虫だと地道に潰す事になるの?」
「あいつ等は動きが早すぎるのだ。バリスタや投石器みたいな直線的な動きだと、軽くかわされてしまう」
「ふ~~ん。ねぇ。こっちの人は虫取りして遊んだりする?」
「虫取り?しなくもないが」
「どうやって捕まえるの?虫取り網とか使う?」
「いや。網は使わんな」
「ん~。じゃあ、ちょっとやってみるので見ていてくださいね」
そう言うとレンは、左腕を前に突き出し魔力を込め始めた。
そしてレンが魔力を解放すると、外殻から外へ向かい、金色に輝くレンの魔力が放出され、レンが放った魔力はゆらゆらと揺らめきながら、魔物の足元に広がって行った。
「レン様は、何をされる気でしょうか?」
「さあ・・・でも面白そうだぞ」
荒れ狂う魔物達は、自分達の足元にレンの魔力が敷き詰められた事に気付いていないようだ。
そして、左腕で魔力を放出したレンは、魔力の放出はそのままに、今度は右腕を横に広げた。
「せーーの! よっと!」
と緊張感のない掛け声と共に、レンが右腕を振り胸の前で拳を握り締めると、レンが放出していた魔力の端が持ち上がった。
そして、それに気付いた魔物が、おどおどと辺りを見渡す間に、その上部がキュッとすぼまり、100匹程度の魔物を纏めて捉えてしまった。
「どうですか?」
ニッコリ微笑みながら振り向いた番に、俺とマーク、ロドリックは、どうしたものかと視線を交わし合った。
「えーと、レン様?これは一体?」
「網で造った罠と一緒です。見た目は巾着っぽいけど、本物の網でも滑車とか使えば、ある程度魔物を捕獲できると思いますよ?」
「捕獲ですか・・・・成る程」
「今いたのは飛べない魔物なので、下から捕まえましたけど、虫とかの飛ぶ魔物なら、こう・・上からバサッと行けば、捕まえられませんか?」
自慢げにニコニコと笑っているレンだが、これは、膨大な魔力を有するレンだからこそ、できる方法であって、普通の騎士は、そこまで魔力が強くないのだぞ?
これは困った、レンがいつ気付くか分からんが、他の者には真似ができない。
だが、嬉しそうなレンに、本当の事を言うのも気が引ける。
「・・・・私なら4個体と云う処でしょうか・・・」
「自分は、2体ですかね」
マークとロドリックも、レンに気を使い。極力唇を動かさない様に、獣人同士で聞き取れるギリギリの囁きを零している。
「これは凄いな。だがな、捕まえたのは良いが、この後どうするつもりだ?」
「そこはケースバイケースで、皆さんにお任せします。でもこの子達はせっかくなので、このまま浄化しちゃいますね」
そう言うとレンは、魔力の網の中に閉じ込めた魔物を浄化し、光りの粒へ変えてしまったのだ。
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