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千年王国
綺麗な花には棘がある
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side・レン
ウジュカの秘宝。
龍の心は、カルがアーロンさんへ返してくれた。
この龍が目覚めるのも時間の問題。
アーロンさんが目覚めてくれたら、一気に形勢逆転が望めるはず。
荊の外の様子は分からないけど、荊越しに聞こえてくる外の音は、アレクさん達が戦っている証です。
荊に捕まっちゃったときはビックリしたし、棘がちくちく刺さって痛かったけど、連れて来られたのが、呪具の有る角の間でラッキーでした。
ぐるぐる巻きにされた荊を浄化で消して、荊の中に空間を確保したら、手の届く場所にアーロンさんの角がにょっきり生えていて、こんな絶好のチャンスを逃す手はないですからね。
呪いに知能が有るとは思わないけど、わざわざ私を、ご招待してくれるなんて、浄化して下さいって言ってるようなものよね?
・・・・それとも本当に浄化して欲しいのかしら?
だとしたら、それは誰の意思?
アーロンさん?
それともこの荊?
植物には心が在って、会話ができるって聞いたことが有るけど。
だとしたら、この荊もそうなのかしら?
え?ちょっと待って!
じゃあ。この荊は唯の呪具じゃないって事?
う~ん?
そう考えると・・・・この荊の呪具。
今までの呪具みたいな、恨みの固まりって感じじゃないのよね。
何だろう・・・もっと切羽詰まって居る様な・・・・・・。
これって・・・飢餓感?
やだこの子、お腹すかせてるの?
ん?・・・・この子?
・・・・・あ・・・これ呪具じゃない。
魔物だ。
呪具に仕立て上げられてるけど、元は魔物なんだ。
スッステータス、オープン?
これ、何回やっても恥ずかしいわぁ。
魔物検索・・・・・植物系・・・・エンカウント済み。
あった!!
ガーディアンローズ・・・・元は生垣に使われていた、野茨が魔物に変じた姿。炎と乾燥に弱く・・・多湿も好まない?
純白の花を咲かせ、花弁は香水の材料になる・・・って。
園芸本かッ?!
はあ・・・・ママンの好みだから仕方ないか。
えぇっと・・・続きは・・・・。
繁殖力は強いが、多くの栄養と魔力を必要とし、栄養と魔力が枯渇すると、周囲の生き物からも養分を摂取するために狂暴になる?!
え?え?
お腹を空かせた植物系の魔物?
植物系って、私ドライアドしか見た事ないけど・・・・。
ドライアドみたいに、私もこの子に養分ちゅうちゅう吸われちゃう?
ミイラみたいにカラッカラに干乾びちゃう?
やだぁ!
私の脳裏に、アンに魔力を食べられ、カラカラに干乾びたドライアドの姿が浮かび上がりました。
だめよ!駄目だからね!!
私の養分食べちゃったら、浄化する人いないんだよ?!
アレクさんとカルは、綺麗さっぱり、存在ごと消しちゃうんだからね?!
大人しくしてないと、二人に全部塵にされちゃうからね?!
[レン!レン!そんなに焦って何が有った?!]
あらら。
そう言えば、私の感情ってアレクさんに筒抜けだった。
[え~っと。問題がある様な、無い様な?]
[どういう事だ?]
[あの、この荊。呪具だけど呪具じゃないと言うか・・・魔物みたいなんです]
[魔物?植物系の魔物か?]
[ガーディアンローズって魔物らしいです。それでこの子、すっごくお腹すかせてるみたいで。今は私とアーロンさんを食べないでって説得中です]
[はあ?説得?魔物相手に?!そんな悠長な事をしてたら、あっという間に干乾びてしまうぞ?!]
ですよね~~。
[だけど、浄化はして欲しいみたいだから。説得したら大人しくなってくれるんじゃないかなぁ~って]
[君って人は!どうしてそうなんだッ!?]
・・・・怒られちゃった。
ショボボン・・・。
どうしてって言われてもなあ・・・。
元からこんな人なんだよね。
[心配してくれてるのは、ほんと~~に、よく分かってるけど。なんとなく大丈夫な気がするの]
[なんとなく?!なんとなくで済む話じゃないだろ?!]
うっひゃ~!
さらに怒られちゃった。
これは、無事に帰ったら、鳴かされまくるパターンの奴だ。
うぅぅぅ。
魔物よりそっちの方が怖いぃ・・・。
[え~~と。アレク?本当に大丈夫だと思うのよ?]
[君は・・・・もういい!!これが魔物なら、全部焼き尽くせばいいだけだ!!]
[へ?だめ!待って、待って!!]
ほら~~!!
ほんとに丸焼きにされちゃうから~~。
いい子だから、大人しくしてぇ~!!
大人しく浄化させてくれたら、直ぐにすむからねぇ~~。
外からは、荊を燃やそうとするアレクさんと、それを止めようとするマークさんが揉めている気配が・・・。
今のうちに浄化しちゃわないと。
アレクさん本気でこの子を燃やす気だ。
それにアレクさんの脅しが効いたのか、この魔物の抵抗も弱くなったみたい。
今がチャンス!!
魔物もアーロンさんも、ババンと一気に浄化しちゃおう!!
私は腕を伸ばして、何重にも巻き付いている荊ごと、アーロンさんの角を掴みました。
荊の棘が刺さって痛いけど、この程度の傷なら後で治癒を掛けるか、回復薬を振りかければすぐに直せます。
魔物だろうが何だろうが、浄化を望み助けを求めているなら、それに応えてあげなくちゃ可哀そうすぎる。
状況的にどうしようもなくて、アレクやクレイオス様、カルたちに祓われ滅せられる子達も沢山いるけれど、この子は助けて上げられる筈。
それが出来なかったら、私が愛し子として呼ばれた意味が有りません。
ママンとダディが、アレクさんが、他の皆も私には着いて居てくれる。
私なら出来る!!
頑張れ私!!
早くアレクさんのご機嫌取らなきゃ。
一晩鳴かされコースに突入しちゃう!!
ダディ直伝、アレクさんから教えられた呼吸法を使い、周囲の魔力を取り込んで、体の中で浄化に必要な神聖力を高めていきます。
気持ちは急いてしまうけど、ここは我慢。
中途半端な状態じゃ、最大の成果は得られません。
どんなお仕事も、下準備が肝心なのです。
入社したての頃に、お局様も仰っていました。
準備8割。本番1割。最後の1割は運だって。
・・・よしチャージ完了!!
待っててみんな!
ガーディアンローズを浄化して、綺麗な花を咲かせるからね!!
ウジュカの秘宝。
龍の心は、カルがアーロンさんへ返してくれた。
この龍が目覚めるのも時間の問題。
アーロンさんが目覚めてくれたら、一気に形勢逆転が望めるはず。
荊の外の様子は分からないけど、荊越しに聞こえてくる外の音は、アレクさん達が戦っている証です。
荊に捕まっちゃったときはビックリしたし、棘がちくちく刺さって痛かったけど、連れて来られたのが、呪具の有る角の間でラッキーでした。
ぐるぐる巻きにされた荊を浄化で消して、荊の中に空間を確保したら、手の届く場所にアーロンさんの角がにょっきり生えていて、こんな絶好のチャンスを逃す手はないですからね。
呪いに知能が有るとは思わないけど、わざわざ私を、ご招待してくれるなんて、浄化して下さいって言ってるようなものよね?
・・・・それとも本当に浄化して欲しいのかしら?
だとしたら、それは誰の意思?
アーロンさん?
それともこの荊?
植物には心が在って、会話ができるって聞いたことが有るけど。
だとしたら、この荊もそうなのかしら?
え?ちょっと待って!
じゃあ。この荊は唯の呪具じゃないって事?
う~ん?
そう考えると・・・・この荊の呪具。
今までの呪具みたいな、恨みの固まりって感じじゃないのよね。
何だろう・・・もっと切羽詰まって居る様な・・・・・・。
これって・・・飢餓感?
やだこの子、お腹すかせてるの?
ん?・・・・この子?
・・・・・あ・・・これ呪具じゃない。
魔物だ。
呪具に仕立て上げられてるけど、元は魔物なんだ。
スッステータス、オープン?
これ、何回やっても恥ずかしいわぁ。
魔物検索・・・・・植物系・・・・エンカウント済み。
あった!!
ガーディアンローズ・・・・元は生垣に使われていた、野茨が魔物に変じた姿。炎と乾燥に弱く・・・多湿も好まない?
純白の花を咲かせ、花弁は香水の材料になる・・・って。
園芸本かッ?!
はあ・・・・ママンの好みだから仕方ないか。
えぇっと・・・続きは・・・・。
繁殖力は強いが、多くの栄養と魔力を必要とし、栄養と魔力が枯渇すると、周囲の生き物からも養分を摂取するために狂暴になる?!
え?え?
お腹を空かせた植物系の魔物?
植物系って、私ドライアドしか見た事ないけど・・・・。
ドライアドみたいに、私もこの子に養分ちゅうちゅう吸われちゃう?
ミイラみたいにカラッカラに干乾びちゃう?
やだぁ!
私の脳裏に、アンに魔力を食べられ、カラカラに干乾びたドライアドの姿が浮かび上がりました。
だめよ!駄目だからね!!
私の養分食べちゃったら、浄化する人いないんだよ?!
アレクさんとカルは、綺麗さっぱり、存在ごと消しちゃうんだからね?!
大人しくしてないと、二人に全部塵にされちゃうからね?!
[レン!レン!そんなに焦って何が有った?!]
あらら。
そう言えば、私の感情ってアレクさんに筒抜けだった。
[え~っと。問題がある様な、無い様な?]
[どういう事だ?]
[あの、この荊。呪具だけど呪具じゃないと言うか・・・魔物みたいなんです]
[魔物?植物系の魔物か?]
[ガーディアンローズって魔物らしいです。それでこの子、すっごくお腹すかせてるみたいで。今は私とアーロンさんを食べないでって説得中です]
[はあ?説得?魔物相手に?!そんな悠長な事をしてたら、あっという間に干乾びてしまうぞ?!]
ですよね~~。
[だけど、浄化はして欲しいみたいだから。説得したら大人しくなってくれるんじゃないかなぁ~って]
[君って人は!どうしてそうなんだッ!?]
・・・・怒られちゃった。
ショボボン・・・。
どうしてって言われてもなあ・・・。
元からこんな人なんだよね。
[心配してくれてるのは、ほんと~~に、よく分かってるけど。なんとなく大丈夫な気がするの]
[なんとなく?!なんとなくで済む話じゃないだろ?!]
うっひゃ~!
さらに怒られちゃった。
これは、無事に帰ったら、鳴かされまくるパターンの奴だ。
うぅぅぅ。
魔物よりそっちの方が怖いぃ・・・。
[え~~と。アレク?本当に大丈夫だと思うのよ?]
[君は・・・・もういい!!これが魔物なら、全部焼き尽くせばいいだけだ!!]
[へ?だめ!待って、待って!!]
ほら~~!!
ほんとに丸焼きにされちゃうから~~。
いい子だから、大人しくしてぇ~!!
大人しく浄化させてくれたら、直ぐにすむからねぇ~~。
外からは、荊を燃やそうとするアレクさんと、それを止めようとするマークさんが揉めている気配が・・・。
今のうちに浄化しちゃわないと。
アレクさん本気でこの子を燃やす気だ。
それにアレクさんの脅しが効いたのか、この魔物の抵抗も弱くなったみたい。
今がチャンス!!
魔物もアーロンさんも、ババンと一気に浄化しちゃおう!!
私は腕を伸ばして、何重にも巻き付いている荊ごと、アーロンさんの角を掴みました。
荊の棘が刺さって痛いけど、この程度の傷なら後で治癒を掛けるか、回復薬を振りかければすぐに直せます。
魔物だろうが何だろうが、浄化を望み助けを求めているなら、それに応えてあげなくちゃ可哀そうすぎる。
状況的にどうしようもなくて、アレクやクレイオス様、カルたちに祓われ滅せられる子達も沢山いるけれど、この子は助けて上げられる筈。
それが出来なかったら、私が愛し子として呼ばれた意味が有りません。
ママンとダディが、アレクさんが、他の皆も私には着いて居てくれる。
私なら出来る!!
頑張れ私!!
早くアレクさんのご機嫌取らなきゃ。
一晩鳴かされコースに突入しちゃう!!
ダディ直伝、アレクさんから教えられた呼吸法を使い、周囲の魔力を取り込んで、体の中で浄化に必要な神聖力を高めていきます。
気持ちは急いてしまうけど、ここは我慢。
中途半端な状態じゃ、最大の成果は得られません。
どんなお仕事も、下準備が肝心なのです。
入社したての頃に、お局様も仰っていました。
準備8割。本番1割。最後の1割は運だって。
・・・よしチャージ完了!!
待っててみんな!
ガーディアンローズを浄化して、綺麗な花を咲かせるからね!!
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