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幸福の定義は人それぞれ
顛末と日常
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夜会でレンに不敬を働いた雄は、名前は覚える気がないので忘れたしまったが、地方の貧乏子爵の三男だった。
経済的な理由から、先代子爵の頃から、社交活動は行っておらず、当然皇都の社交界に顔を出したのも初めてなのだそうだ。
俺が見たことが無かったのも道理だ。
そんな貧乏子爵のしかも三男が、何故デビュタントとしではなく、春の夜会に参席していたのか。
貧乏な割に子沢山の子爵家では、長男と次男が領地経営を担い、三男以下は自分で仕事を探すか、婿入り先を見つけなければならなかった。
知古の伯爵を頼り、皇都に出て来た三男は、皇宮の文官登用試験を受ける傍ら、婿入り先を見つける為、と言うより、婿入り先を斡旋して貰う為の顔繫ぎで、夜会に参席していたらしい。
灰色栗鼠の獣人だというこの雄は、小柄な見た目に似合わず、気性と思い込みが激しいらしい。
登用試験の身元引受人を引き受けた伯爵は、この気性なら、文官より騎士団へ志願した方が可能性があると説得したのだが、命を懸けた仕事など、御免蒙りたいと本人に断られたのだそうだ。
身元引受人となる伯爵は、こんな甘えた考えでは、試験も婿入りも、望み薄だと予想していた。
ならば何故そんな使い物にならなそうな三男を、わざわざ皇都に連れて来たのかと問えば。
子爵は自分の傍系にあたり、三男から五男までは、この先辛い人生が待っているのだから、子供時代の終わりに夢を見せてやろうと思った。
特にこの三男は、皇都に来れば身の丈を知る事も出来るだろう、という親心的なものだったと答えた。
愛し子への不敬に対しては、何かしらの問題を起こす可能性は覚悟していたが、まさか相手が公爵位を賜った、愛し子様とは、と頭を抱えていた。
身元引受人として、どう償えばよいか、と聞いてくるあたり、この御仁は貴族にしては真っ当な感覚を持つ、善良な人間なのだろう。
では、不敬を働いた本人は?というと。
事の重大さを、全く理解していないようだ。
何故あんな事をしたのか?
「愛し子の美しさに一目で心を奪われた。それに、悪鬼と呼ばれる大公よりも、俺の方が愛し子に相応しい。大公が番などと言うのは真っ赤な嘘だ。愛し子は騙されているんだ。俺が愛し子の番だ。一度でも自分と踊り話を聞いてくれたら、それが分かった筈だ!」
とんだ妄想だ。
「妄想なんかじゃない!! その証拠に、愛し子は俺に微笑んでくれたんだぞ!!」
話しにならない。
この身勝手な妄想を真実だと思い込み、後先を考えず暴挙に走る様は、以前レンに嫌がらせをしていた侍従、リック・ラドクリフの様じゃないか?
ラドクリフの妄想相手はウィリアムだったが、実際に被害を受けたのはレンだ。
レンはこの手の輩との相性が、とことん悪いらしい。
これまでも、第2の騎士や使用人が、魅了の影響でレンに近付き、触れようとした事は何度もあった。
だが、短ければ数分、長くとも一晩経てば夢から覚めたように元に戻り、何故あれほどレンを求めたのか分からない、と皆が語るのだ。
魅了の影響下にある時、世界にレン以外の人間など居らず、自分がレンを守らなければならない、レンの為に生きたい、という使命感と。レンさえ居れば良い、レンの傍に侍りたいという言う、幸福感に包まれるのだそうだ。
不敬を働いた三男の証言とは、似て非なるものだ。
この雄は、魅了の影響を受けていないのではないか?
その証拠に、あの日傍に居たゲオルグは、異変を示さなかった。
俺の番は、面倒で厄介な加護を、しっかり制御できている。
レンは、魅了の所為で誰かを傷つけたくない。三男の行動は本人の意思ではなく責任はないのだから、重い刑罰を与えないでほしいと言っている。
だが、魅了の影響でないのなら、仕出かした事は、本人の人間性の問題で、恩赦の対象にはならない。
それに、あの雄の行動は魅了の影響ではなく、レンが思い悩む必要など無いのだと伝えなければ。
子爵の三男への処罰は、南の国営農園での強制労働と決まった。
俺としては、もっと厳しい環境の鉱山へ送りたかったのだが、俺の説明に今一つ納得できないレンが、減刑を願ったのだから仕方がない。
だが、この南の農園は、砂糖の原料を育てるため、日々開墾を続け、季節により、育てる作物が違う輪作の農園だ。
普通の農家にある休閑期間が全くない、中々過酷な農場で、極悪とまではいかないが、そこそこ気性の荒い犯罪者の、厚生施設でもある。
子爵の三男がどこまで耐えられるか、見ものだな。
◇◇◇
夜会での一軒も片付き、あの夜少々無理をさせたレンも、今ではすっかり元気になった。
翌朝、レンには恨みがましい目を向けられ、ローガンとセルジュには怖い顔で睨まれた。
久々にやりすぎた自覚もある。
お詫びに何か贈り物をと思いもするが、相変わらずレンは物を欲しがらない。
余りにも物欲がない番の為、何かと理由をつけ、宝飾品や服飾品を贈る様にしている。
贈った物を受け取ると、レンは喜んでくれるのだが、それがレンが望んだものかと聞かれたら、何か違う気がする。
どうしたものかと悩んだ末、結局何も思いつかず、練武場の隅で風に揺れていた、花を摘んで宮に持ち帰った。
が、宮の中に飾られた花と比べると、余りにみすぼらしく思え、捨ててしまおうかと思っている処を、出迎えたレンに見つかってしまった。
「可愛らしいお花ね。どうしたの?」
「いや・・・あの、練武場に咲いていたから・・・」
おずおずと花を差し出すと、レンは目を丸くして驚いた後、手にした花の何億倍も美しく顔を綻ばせた。
「ありがとう!すっごく嬉しいです!!」
キャッキャとはしゃぐ番は、俺の摘んだ花に保存魔法を掛けるよう、ローガンに頼んでいた。
こんな粗末な花で、保存魔法を掛ける程喜んでくれるのか?
喜んでくれたことは嬉しい。
嬉しいが、レンの欲しいと思っているものが余計に分からなくなってしまった。
そんなことをセルジュに零すと、「レン様の為に、閣下が花を摘んでくれた事を、喜ばれたのだと思います」と教えてくれた。
やはり心の清いうちの天使2号は、良い事を言ってくれるな。
セルジュは何時まで清い心のままで、居てくれるのだろうか。
セルジュと話をすると、何故か父親目線で物を考えてしまうな。
この侍従を可愛がるレンも、俺と同じ気持ちなのだろうな。
経済的な理由から、先代子爵の頃から、社交活動は行っておらず、当然皇都の社交界に顔を出したのも初めてなのだそうだ。
俺が見たことが無かったのも道理だ。
そんな貧乏子爵のしかも三男が、何故デビュタントとしではなく、春の夜会に参席していたのか。
貧乏な割に子沢山の子爵家では、長男と次男が領地経営を担い、三男以下は自分で仕事を探すか、婿入り先を見つけなければならなかった。
知古の伯爵を頼り、皇都に出て来た三男は、皇宮の文官登用試験を受ける傍ら、婿入り先を見つける為、と言うより、婿入り先を斡旋して貰う為の顔繫ぎで、夜会に参席していたらしい。
灰色栗鼠の獣人だというこの雄は、小柄な見た目に似合わず、気性と思い込みが激しいらしい。
登用試験の身元引受人を引き受けた伯爵は、この気性なら、文官より騎士団へ志願した方が可能性があると説得したのだが、命を懸けた仕事など、御免蒙りたいと本人に断られたのだそうだ。
身元引受人となる伯爵は、こんな甘えた考えでは、試験も婿入りも、望み薄だと予想していた。
ならば何故そんな使い物にならなそうな三男を、わざわざ皇都に連れて来たのかと問えば。
子爵は自分の傍系にあたり、三男から五男までは、この先辛い人生が待っているのだから、子供時代の終わりに夢を見せてやろうと思った。
特にこの三男は、皇都に来れば身の丈を知る事も出来るだろう、という親心的なものだったと答えた。
愛し子への不敬に対しては、何かしらの問題を起こす可能性は覚悟していたが、まさか相手が公爵位を賜った、愛し子様とは、と頭を抱えていた。
身元引受人として、どう償えばよいか、と聞いてくるあたり、この御仁は貴族にしては真っ当な感覚を持つ、善良な人間なのだろう。
では、不敬を働いた本人は?というと。
事の重大さを、全く理解していないようだ。
何故あんな事をしたのか?
「愛し子の美しさに一目で心を奪われた。それに、悪鬼と呼ばれる大公よりも、俺の方が愛し子に相応しい。大公が番などと言うのは真っ赤な嘘だ。愛し子は騙されているんだ。俺が愛し子の番だ。一度でも自分と踊り話を聞いてくれたら、それが分かった筈だ!」
とんだ妄想だ。
「妄想なんかじゃない!! その証拠に、愛し子は俺に微笑んでくれたんだぞ!!」
話しにならない。
この身勝手な妄想を真実だと思い込み、後先を考えず暴挙に走る様は、以前レンに嫌がらせをしていた侍従、リック・ラドクリフの様じゃないか?
ラドクリフの妄想相手はウィリアムだったが、実際に被害を受けたのはレンだ。
レンはこの手の輩との相性が、とことん悪いらしい。
これまでも、第2の騎士や使用人が、魅了の影響でレンに近付き、触れようとした事は何度もあった。
だが、短ければ数分、長くとも一晩経てば夢から覚めたように元に戻り、何故あれほどレンを求めたのか分からない、と皆が語るのだ。
魅了の影響下にある時、世界にレン以外の人間など居らず、自分がレンを守らなければならない、レンの為に生きたい、という使命感と。レンさえ居れば良い、レンの傍に侍りたいという言う、幸福感に包まれるのだそうだ。
不敬を働いた三男の証言とは、似て非なるものだ。
この雄は、魅了の影響を受けていないのではないか?
その証拠に、あの日傍に居たゲオルグは、異変を示さなかった。
俺の番は、面倒で厄介な加護を、しっかり制御できている。
レンは、魅了の所為で誰かを傷つけたくない。三男の行動は本人の意思ではなく責任はないのだから、重い刑罰を与えないでほしいと言っている。
だが、魅了の影響でないのなら、仕出かした事は、本人の人間性の問題で、恩赦の対象にはならない。
それに、あの雄の行動は魅了の影響ではなく、レンが思い悩む必要など無いのだと伝えなければ。
子爵の三男への処罰は、南の国営農園での強制労働と決まった。
俺としては、もっと厳しい環境の鉱山へ送りたかったのだが、俺の説明に今一つ納得できないレンが、減刑を願ったのだから仕方がない。
だが、この南の農園は、砂糖の原料を育てるため、日々開墾を続け、季節により、育てる作物が違う輪作の農園だ。
普通の農家にある休閑期間が全くない、中々過酷な農場で、極悪とまではいかないが、そこそこ気性の荒い犯罪者の、厚生施設でもある。
子爵の三男がどこまで耐えられるか、見ものだな。
◇◇◇
夜会での一軒も片付き、あの夜少々無理をさせたレンも、今ではすっかり元気になった。
翌朝、レンには恨みがましい目を向けられ、ローガンとセルジュには怖い顔で睨まれた。
久々にやりすぎた自覚もある。
お詫びに何か贈り物をと思いもするが、相変わらずレンは物を欲しがらない。
余りにも物欲がない番の為、何かと理由をつけ、宝飾品や服飾品を贈る様にしている。
贈った物を受け取ると、レンは喜んでくれるのだが、それがレンが望んだものかと聞かれたら、何か違う気がする。
どうしたものかと悩んだ末、結局何も思いつかず、練武場の隅で風に揺れていた、花を摘んで宮に持ち帰った。
が、宮の中に飾られた花と比べると、余りにみすぼらしく思え、捨ててしまおうかと思っている処を、出迎えたレンに見つかってしまった。
「可愛らしいお花ね。どうしたの?」
「いや・・・あの、練武場に咲いていたから・・・」
おずおずと花を差し出すと、レンは目を丸くして驚いた後、手にした花の何億倍も美しく顔を綻ばせた。
「ありがとう!すっごく嬉しいです!!」
キャッキャとはしゃぐ番は、俺の摘んだ花に保存魔法を掛けるよう、ローガンに頼んでいた。
こんな粗末な花で、保存魔法を掛ける程喜んでくれるのか?
喜んでくれたことは嬉しい。
嬉しいが、レンの欲しいと思っているものが余計に分からなくなってしまった。
そんなことをセルジュに零すと、「レン様の為に、閣下が花を摘んでくれた事を、喜ばれたのだと思います」と教えてくれた。
やはり心の清いうちの天使2号は、良い事を言ってくれるな。
セルジュは何時まで清い心のままで、居てくれるのだろうか。
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