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ヴァラクという悪魔
血戦・召喚と囮
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息を吐き、きつく閉じた瞼の裏の姿を、無理矢理意識の底に押し込んだ。
しかし動揺は隠せず、遊んでやるつもりが、つい本気でオーガキングの左腕を切り飛ばしてしまった。
痛覚が鈍いと言っても、腕を斬り落とされ、どす黒い血を撒き散らしていれば、直ぐに動きは鈍くなる。
魔物相手であっても、嬲り殺しにする様な嗜虐趣味は俺にはない。
早めに止めを刺さしてやろう。
しかし時間を稼ぐつもりが、とんだ失態だ。
もうこのままゴリ押しで、レンを取り返してしまおうか。
ヨシタカの覚醒前に、レンを目覚めさせた方が良いのではないか?
いや、今はまだ駄目だ。
今の状態だと、ヴァラクの力の方が上回っている。
今ゴリ押ししたら、何らかの術を掛けられたレンが無事でいられるかどうか分からない。
それに結界を破った時に、レンに怪我をさせてしまうかもしれない。
レンはアウラの加護があるから、戦闘で傷つくようなことはないと言っているし、実際俺が悋気玉を爆発させて、傷つけた時以外、怪我をしたところを見たことはないが・・。
いかん、あの時のことを思い出して落ち込みそうだ。
とにかく、今は我慢だ。
クレイオスが、奴の力を削いでくれさえすれば・・・より安全な方法があるなら、レンの為に焦ってはならない。
オーガキングの剛腕から振り下ろされる長剣を受けつつ、マーク達の様子を伺う。
問題は無さそうだが、ロロシュの顔が異様に白いのは、マークの大規模な氷魔法で冷やされた所為か?
ロロシュはレンの造った魔道具を身に付けていた筈だが、流石にあれはキツいらしい。
大した時間稼ぎにはならないが、より派手に動き回り、ヴァラクの注意を引いておけば、クレイオスもやり易いだろう。
それに、この後も召喚なり転移なりが続く可能性もある、一旦3人と合流するか。
オーガキングの力任せの大振りを、後ろに身を引いて避け、ガラ空きになった首に剣を走らせた。
野太い首から噴き出す鮮血を避け、オーガキングが倒れた地響きを無視し、リザードマンの群れに斬り込んだ。
「閣下、レン様は?!」
「結界の向こうだ、今クレイオスが手を打っている。クレイオスの準備ができるまで、ヴァラクの目を引きたい」
「時間かせぎか?」
「ロロシュ、やられたフリで傍に寄って、倒れてろ。シッチンはそれを守れ」
「相手の油断を誘うってか?」
「苦戦しているように見せたい。出来るか?」
「出来なくてもやります」
力強いシッチンの返事に、騎士の成長に必要不可欠なものは、実戦だと再確認する。
「次の召喚なり転移なりがある筈だ。油断するな」
「了解」
その後リザードマンを2,3体切り伏せたところで、ロロシュが「しまった!」と叫び、がくりと膝をついた。
それをシッチンが守りながら、クレイオスと反対の壁際まで引きずっていった。
くだらない小芝居だが、騙しが専門だっただけに、迫真の演技だ。
しかし、こんな小芝居もすぐにバレるだろう。今は満足そうに、傲慢な笑みを浮かべているヴァラクだが、俺の戦闘を何度か目にしているのだから、幾ら戦術のセンスがなくとも、まやかしだと気づく筈だ。
リザードマンも残り数体となった時、俺と距離を取っていたマークが、俺の横に走り寄った。
「まだでしょうか?」
チラリと伺い見たクレイオスからは、なんの合図もない。
さて、どうしたものか。
一度ヴァラクを挑発しておくか?
剣の切先をヴァラクに向け、切先から雷撃を放った。
当然手加減はしているが、見た目は派手だ。
俺の放った雷撃は、轟音を立てヴァラクの張った結界に当たり、散らされた魔力がバチバチと鳴りながら、結界の表面を走っていく。
不意打ちに驚いた表情のヴァラクに、鼻を鳴らし、小馬鹿にした笑みを向けてやった。
悔し気に歯噛みしたヴァラクが、詠唱を始めた。
どうやら次の魔物を呼ぶ気らしい。
「閣下、宜しいのですか?」
「もう少し時間が必要そうだからな」
「いえ・・・ヴァラクではなく、あの2人は・・・」
マークの視線の先に、ローブ姿で亡骸を抱える2人が見えた。
体を前後に揺らし、儀式の続きなのか亡骸に向かってヴァラクとは違う詠唱を続けている。
「今は、何も言うな・・・頼む」
「閣下・・・・・私は何も見ていません。ここに居たのはヴァラクと、その配下の信徒だけです」
全てを気づいた上での、マークの配慮に胸が痛くなる。
「すまん・・・俺が方を付けるから」
「顔を上げて胸を張ってください。昔も今も、貴方は私たちの英雄です。英雄は英雄らしく堂々としていただかないと困ります」
「すまん」
目を背け、俯きたい気持ちに、両頬を掌で打って喝を入れ、奮い立たせた。
「次が来ました」
俺達とロロシュ達の間に、オーガキングを呼び寄せたものより、二回りは大きな魔法陣が展開していた。
陣の大きさが全てではないが、今度の魔物も面倒そうだ。
「・・・鎧?」
「始めて見ます」
10年以上魔物狩りをしているが、こんな魔物は始めて見る。
身長は3ミーロ強。
全身に鎧を纏い、手には長剣と盾。
鎧の中身は一体なんだ?
トロールの様なデカさだが、それにしては動きが滑らかで、重い鎧の影響を感じさせない。
金属製の鎧を纏った巨人だ。
「俺も初見だ」
「閣下もですか?」
「あぁ、取り敢えず、手順通りに行くぞ」
第2騎士団には、初見の魔物と遭遇した場合のマニュアルが有る。
まずは剣を交え、次に水、土、風、火の順に魔法の効き目を確かめていく。
そこで得た情報は、他の騎士団だけでなく、ギルドにも公開され、討伐に備えることになる。
リザードマンの残りをマークに任せ、床を蹴り巨人に斬りかかる。
グワァーン!!
「硬いな」
魔力を込めた一撃にも、相手は動じた素振りさえ無い。
しかし、剣の一撃で響いた音から、中は空洞のようだ。
ならばコイツは、ゴーレムの類いだろうか。
ゴーレムならば、命を突き込んだ刻印が何処かにある筈だ。
隙を伺いながら、魔物の周りを一周したが、刻印らしき物はみつからなかった。
鎧の内側か?
だとすると、なかなかに厄介だ。
ゴーレムならば、刻印を破壊すれば一撃で倒せる。しかしその刻印の刻まれた場所は、個体によって変わってくる。
目視出来れば、場所が異なろうが狙うことが出来るのだが。
それが目視できないとなると・・・。
頭から順に潰すのか、面倒だな。
『おーい!息子よー』
呼び方!
クレイオスに目を向けると、両手で小さく丸を作っている。
準備ができたのだな?
一箇所づつ部位破壊していくのも面倒で、俺は鎧のゴーレムに向かって雷撃を落とした。
しかし、鉄なら雷撃が通り易いと踏んでの選択だったが、俺の思惑ははずれ、雷撃は鎧の表面を走り、全て床に抜けてしまった。
ならば鎧ごと溶かしてしまえ、と劫火を放つと、今度は思惑通り、巨人を構成する全てが溶け、劫火が消えクレイオスが横に立った時には、金属の塊になっていた。
「俺を息子と呼ぶな」
『良いではないか』
「今だけはやめてくれ・・・・頼む」
祭壇の後ろで、詠唱を続けるローブに目を向けたクレイオスは、ふむ と頷き、再び詠唱を始めたヴァラクに、目を向けたままの俺に、痛まし気な視線を送ってきた。
無表情なドラゴンの感情が読めるようになるとは、俺も影響を受けすぎたようだ。
「それで?どうすればいい」
『すぐに彼奴は気づくだろう。時間は掛からんが、少しの間我を守れ』
「分かった」
クレイオスを背に庇い、ヴァラクに向かい剣を構える。
その少し後ろで、マークも魔力を練り始めた。
床に片膝をついたクレイオスが、魔力を解放する。
すると薄ら笑いを浮かべ、詠唱を始めていたヴァラクの顔が驚愕に塗り変わった。
しかし動揺は隠せず、遊んでやるつもりが、つい本気でオーガキングの左腕を切り飛ばしてしまった。
痛覚が鈍いと言っても、腕を斬り落とされ、どす黒い血を撒き散らしていれば、直ぐに動きは鈍くなる。
魔物相手であっても、嬲り殺しにする様な嗜虐趣味は俺にはない。
早めに止めを刺さしてやろう。
しかし時間を稼ぐつもりが、とんだ失態だ。
もうこのままゴリ押しで、レンを取り返してしまおうか。
ヨシタカの覚醒前に、レンを目覚めさせた方が良いのではないか?
いや、今はまだ駄目だ。
今の状態だと、ヴァラクの力の方が上回っている。
今ゴリ押ししたら、何らかの術を掛けられたレンが無事でいられるかどうか分からない。
それに結界を破った時に、レンに怪我をさせてしまうかもしれない。
レンはアウラの加護があるから、戦闘で傷つくようなことはないと言っているし、実際俺が悋気玉を爆発させて、傷つけた時以外、怪我をしたところを見たことはないが・・。
いかん、あの時のことを思い出して落ち込みそうだ。
とにかく、今は我慢だ。
クレイオスが、奴の力を削いでくれさえすれば・・・より安全な方法があるなら、レンの為に焦ってはならない。
オーガキングの剛腕から振り下ろされる長剣を受けつつ、マーク達の様子を伺う。
問題は無さそうだが、ロロシュの顔が異様に白いのは、マークの大規模な氷魔法で冷やされた所為か?
ロロシュはレンの造った魔道具を身に付けていた筈だが、流石にあれはキツいらしい。
大した時間稼ぎにはならないが、より派手に動き回り、ヴァラクの注意を引いておけば、クレイオスもやり易いだろう。
それに、この後も召喚なり転移なりが続く可能性もある、一旦3人と合流するか。
オーガキングの力任せの大振りを、後ろに身を引いて避け、ガラ空きになった首に剣を走らせた。
野太い首から噴き出す鮮血を避け、オーガキングが倒れた地響きを無視し、リザードマンの群れに斬り込んだ。
「閣下、レン様は?!」
「結界の向こうだ、今クレイオスが手を打っている。クレイオスの準備ができるまで、ヴァラクの目を引きたい」
「時間かせぎか?」
「ロロシュ、やられたフリで傍に寄って、倒れてろ。シッチンはそれを守れ」
「相手の油断を誘うってか?」
「苦戦しているように見せたい。出来るか?」
「出来なくてもやります」
力強いシッチンの返事に、騎士の成長に必要不可欠なものは、実戦だと再確認する。
「次の召喚なり転移なりがある筈だ。油断するな」
「了解」
その後リザードマンを2,3体切り伏せたところで、ロロシュが「しまった!」と叫び、がくりと膝をついた。
それをシッチンが守りながら、クレイオスと反対の壁際まで引きずっていった。
くだらない小芝居だが、騙しが専門だっただけに、迫真の演技だ。
しかし、こんな小芝居もすぐにバレるだろう。今は満足そうに、傲慢な笑みを浮かべているヴァラクだが、俺の戦闘を何度か目にしているのだから、幾ら戦術のセンスがなくとも、まやかしだと気づく筈だ。
リザードマンも残り数体となった時、俺と距離を取っていたマークが、俺の横に走り寄った。
「まだでしょうか?」
チラリと伺い見たクレイオスからは、なんの合図もない。
さて、どうしたものか。
一度ヴァラクを挑発しておくか?
剣の切先をヴァラクに向け、切先から雷撃を放った。
当然手加減はしているが、見た目は派手だ。
俺の放った雷撃は、轟音を立てヴァラクの張った結界に当たり、散らされた魔力がバチバチと鳴りながら、結界の表面を走っていく。
不意打ちに驚いた表情のヴァラクに、鼻を鳴らし、小馬鹿にした笑みを向けてやった。
悔し気に歯噛みしたヴァラクが、詠唱を始めた。
どうやら次の魔物を呼ぶ気らしい。
「閣下、宜しいのですか?」
「もう少し時間が必要そうだからな」
「いえ・・・ヴァラクではなく、あの2人は・・・」
マークの視線の先に、ローブ姿で亡骸を抱える2人が見えた。
体を前後に揺らし、儀式の続きなのか亡骸に向かってヴァラクとは違う詠唱を続けている。
「今は、何も言うな・・・頼む」
「閣下・・・・・私は何も見ていません。ここに居たのはヴァラクと、その配下の信徒だけです」
全てを気づいた上での、マークの配慮に胸が痛くなる。
「すまん・・・俺が方を付けるから」
「顔を上げて胸を張ってください。昔も今も、貴方は私たちの英雄です。英雄は英雄らしく堂々としていただかないと困ります」
「すまん」
目を背け、俯きたい気持ちに、両頬を掌で打って喝を入れ、奮い立たせた。
「次が来ました」
俺達とロロシュ達の間に、オーガキングを呼び寄せたものより、二回りは大きな魔法陣が展開していた。
陣の大きさが全てではないが、今度の魔物も面倒そうだ。
「・・・鎧?」
「始めて見ます」
10年以上魔物狩りをしているが、こんな魔物は始めて見る。
身長は3ミーロ強。
全身に鎧を纏い、手には長剣と盾。
鎧の中身は一体なんだ?
トロールの様なデカさだが、それにしては動きが滑らかで、重い鎧の影響を感じさせない。
金属製の鎧を纏った巨人だ。
「俺も初見だ」
「閣下もですか?」
「あぁ、取り敢えず、手順通りに行くぞ」
第2騎士団には、初見の魔物と遭遇した場合のマニュアルが有る。
まずは剣を交え、次に水、土、風、火の順に魔法の効き目を確かめていく。
そこで得た情報は、他の騎士団だけでなく、ギルドにも公開され、討伐に備えることになる。
リザードマンの残りをマークに任せ、床を蹴り巨人に斬りかかる。
グワァーン!!
「硬いな」
魔力を込めた一撃にも、相手は動じた素振りさえ無い。
しかし、剣の一撃で響いた音から、中は空洞のようだ。
ならばコイツは、ゴーレムの類いだろうか。
ゴーレムならば、命を突き込んだ刻印が何処かにある筈だ。
隙を伺いながら、魔物の周りを一周したが、刻印らしき物はみつからなかった。
鎧の内側か?
だとすると、なかなかに厄介だ。
ゴーレムならば、刻印を破壊すれば一撃で倒せる。しかしその刻印の刻まれた場所は、個体によって変わってくる。
目視出来れば、場所が異なろうが狙うことが出来るのだが。
それが目視できないとなると・・・。
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しかし、鉄なら雷撃が通り易いと踏んでの選択だったが、俺の思惑ははずれ、雷撃は鎧の表面を走り、全て床に抜けてしまった。
ならば鎧ごと溶かしてしまえ、と劫火を放つと、今度は思惑通り、巨人を構成する全てが溶け、劫火が消えクレイオスが横に立った時には、金属の塊になっていた。
「俺を息子と呼ぶな」
『良いではないか』
「今だけはやめてくれ・・・・頼む」
祭壇の後ろで、詠唱を続けるローブに目を向けたクレイオスは、ふむ と頷き、再び詠唱を始めたヴァラクに、目を向けたままの俺に、痛まし気な視線を送ってきた。
無表情なドラゴンの感情が読めるようになるとは、俺も影響を受けすぎたようだ。
「それで?どうすればいい」
『すぐに彼奴は気づくだろう。時間は掛からんが、少しの間我を守れ』
「分かった」
クレイオスを背に庇い、ヴァラクに向かい剣を構える。
その少し後ろで、マークも魔力を練り始めた。
床に片膝をついたクレイオスが、魔力を解放する。
すると薄ら笑いを浮かべ、詠唱を始めていたヴァラクの顔が驚愕に塗り変わった。
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