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紫藤 蓮(シトウ レン)
エスト
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最後の部屋は食糧庫だったのですが、通路側のドアの正面のにもう一つ扉があって、その奥は人が二人並んで歩けるくらいの通路が続いて居ました。
その通路を進んで行くと、突然景色がぐらりと揺れ、体の中がひっくり返されるような感覚のあと、気持ち悪さから閉じた目を開くと、森の中に移動して居ました。
「転移魔法?」
「そのようだ」
私達を追って来たマークさん達は、警戒し抜刀した状態で転移して来たのですが、私達の姿を確認すると、ホッとしたように剣を鞘に納めて居ました。
「アレク、ここは何処でしょうか?」
皇宮の中にも森がありますが、ここが皇宮の森なら人の手が入って居るので、下草が刈られ、道も整備されて此処よりも、もっと人工的な雰囲気がする筈です。
「そうだな・・・皇都の東にある森だな」
アレクさんは辺りを軽く見渡して、すぐにここが何処なのか教えてくれました。
ちょっと見ただけで現在地がわかるなんて、凄くないですか?
虎の帰巣本能とかでしょうか?
私の伴侶となる人は、頼りになってかっこいいです。
「お~い、ちびっ子~。目~キラキラさせてっけど、皇都に住んでたら誰でも分かるんだぞ~」
「む?」
「ロロシュ! あなた上司に花を持たせるって事を知らないのですか?!」
「そうなの?」
それならそれで、何を見て判断したのでしょうか?
「レン?あそこに紫の花が咲いて居るだろ?あれは露鷺草と言って、普通は白い花が咲く。花弁が紫になるのは、このエストの森だけだ」
なるほど。一つお勉強になりました。
花弁の色が変わるのは、魔素の流れが有るからなのかな?
「ロロシュ、転移陣を探して消しておけ」
「消して良いのか?あそこを調査するなら穴を降りるより楽だろ?」
「利便性より、秘匿性だ」
「へいへい。了解」
ロロシュさんは、侯爵家の後継になるのだと聞きましたが、何時迄もこんな口の聞き方で良いのでしょうか?
私の事も、ちびっ子呼びに戻って居ますし、改める気は無いのかもしれませんね。
「それにしても、結構遠くまで飛ばされたな。・・・・仕方ない歩いて帰るか」
「団長。それなら自分が迎えを呼びます」
「ん?」
シッチンさんは、どうやって迎えを呼ぶのでしょう?
「お前、通信鳥無しで迎えを呼べんのか?」
ロロシュさんも、不思議がってますね?
「はい、子供の頃ゴブリン討伐に連れて行かれた時に、親と逸れたことがあるんです。その時に親と連絡を取ろうと編み出した方法なんです」
そう言ってシッチンさんは、腰のポーチから取り出した紙に迎えを呼ぶ手紙を書くと、その紙に魔力を込めました。
すると手紙は、蜂鳥くらいの小さな鳥に変化して、皇都へ向かって飛んで行きました。
「ほう?便利な魔法だな」
「そんなに遠くへは飛ばせないので、あまり役には立たないのです」
そうかな?
凄く便利だと思いますよ?
私にも教えて欲しいと言うと、シッチンさんは快諾してくれて、皇宮に戻ったら手解きしてもらえる事になりました。
こういう時、普段のアレクさんなら何か言って来そうなものなのですが、何も言ってこないところを見ると、この魔法の流用性を理解して居るのだと思います。
エストの森は、皇都の近くという事もあってか、チェボと言うキョンに似た小さな魔獣の他は、何処にでも居ると言うコネリや、幼蟲等大人しい魔獣ばかりです。
迎えを呼んだ森の入り口まで、徒歩で移動する間、みんなが勤めて明るく振る舞って居たのは、あの水槽に入れられた人達の事を、考えたくなかったからでしょうか。
騎士の皆さんは、出来る事と出来ない事。
やるべき事とそうで無い事の線引きがハッキリしているように思います。
それは情が無いとかの悪い意味ではなく、騎士と云う命を掛けたお仕事を続けて行く為には、この切り替えの早さは必須条件なのでしょう。
エストの森は、綺麗なお花が多く咲く森でした。
いつか、なんの心配もなく、のんびりハイキングや森林浴を楽しめる日が来たら、子供を連れて来てあげたいな・・・・。
「楽しそうだな? 何を考えてたんだ?」
そう言って、私を見るアレクさんの瞳は、とても優しそうですよ?
「この森はとても綺麗な所なので、いつか子供と一緒に来たいなって」
一瞬驚いた様に大きくなったアレクさんの瞳が綺麗な弧を描くと、額に唇を押し付けたまま、ギューギュー 抱きしめられてしまいました。
たまご!
アレクさん、卵割れちゃうから!
みんなも見てるから!
「お~い!イチャつくのは、宮に帰ってからにしてくれ~」
呆れ声を出すロロシュさんに目を向けると、今にも砂糖を吐き出しそうな顔になっています。
この人、普段マークさんにどう接して居るのかしら?
「ロロシュさんは、イチャイチャしなくていいいの?」
アレクさんは、いつも自分の激甘っぷりを普通の事だと言っているし、ザックさんとナディーさんも、伴侶の二人とは今でもラブラブらしいので、ロロシュさんの一線を引いたような態度が不思議で仕方ありません。
一度二人の進展具合を聞いてみたら、マークさんは恥ずかしがりながらも、言葉を濁して居たので、何か事情があるのだと理解して居ますが。
でもアレクさんと違いすぎて、そんなに我慢出来るものなのかと、興味本位で聞いてしまいました。
私の質問の攻撃力は思いの外高かったようで、ロロシュさんとマークさんが揃って真っ赤になっています。
「なっ!ちびっ子!!仕事中に何言ってんだ!」
テレまくるロロシュさんなんて,レアなものが見れたとホクホクしてしまいます。
でも、その後ろにいる、美味しそうな名前の騎士さんの目がとても冷たくて、バカップル丸出しな上に、お仕事中に不謹慎なことを言った事を後悔しました。
ロロシュさんとマークさんの婚約は、正式な発表はされて居ないけれど、マークさんが番を得たって、噂にはなっているのよね?
もしかして、あの方はマークさんの信奉者なのかしら?
だとしたら二人の様子を見て、心中穏やかでないのも頷けます。
反省した私は、大人しくしていようと心に決めたのですが、アレクさんの甘々攻撃は止まることを知らず、森を出るまでの間、騎士さんの冷たい視線がビシビシと突き刺さって、痛くて仕方がありませんでした。
あんな目で私を見てくるってことは、彼の想い人はマークさんではなく、アレクさんなのかな?
これは困りました。
初めてのライバル誕生でしょうか?
でも、私達は番いだし、譲ってあげる気はこれっぽっちも、無いのですよ?
◇◇
皇宮に戻った私達は、第二騎士団の詰所前で、ウィリアムさんに報告に行くアレクさんと一旦別れて、柘榴宮に帰ることにしました。
いつまでもドラゴンの卵を手で持って歩くのは、些か不用心と言うものでしょう?
魔法を教えてもらう約束をしたシッチンさんと、マークさんに挟まれるように、詰所から宮へ向かったのですが、あの騎士さんの冷たい視線がいつまでも背中に刺さってくるようで、居心地が悪いです。
「レン様?どうかされましたか?」
マークさんに気遣われてしまいました。
また顔に出て居たのでしょうか?
気をつけているつもりなのですが、どうもポーカーフェイスと言うものが上手くできなくて困ります。
「いえ。何も無いですよ?」
バリキャリのお姉様方の様に、感情を隠して綺麗に笑えているでしょうか??
マークさんが足を止め、少し腰を屈めて、目線を合わせて来ました。
「レン様?隠してもわかりますよ?」
まるで子供に言い聞かせる様で、マークさんの方が年下だし、妹ポジだった筈なのに、今はお母さんみたいです。
「レン様?」
それに、美人さんが笑顔で放つ圧は強力でした。
「ーーーーー実は」
と気が付けば、あの騎士さんの事を洗いざらい聞き出されてしまいました。
「ふむ。モルローが・・・そうですか」
そうでしたモルローさんです。
有名なスイーツ店の名前に似ている、と思ったのでした。
「皆さん真面目にお仕事をされているのに、余計な事を言った私が悪いんです」
「レン様。あの程度の軽口に一々反応する方がおかしいのです。それに、モルローは閣下のことを恐れて居ますので、お慕いすることはないと思いますよ?」
マークさんが目を向けると、シッチンさんも同意だと、ブンブン首を縦に振っています。
「では、何がいけなかったのでしょうか」
「ーーーーそうですね。モルローは第3から移動になった騎士ですので、第2の水が合わないのかもしれませんね」
とにかく気にするなと、言われ消化不良気味でしたが、納得することにしました。
何処に行っても馬が合わない相手はいるものです。
残念ですがモルローさんは、そういう相手なのかもしれませんね。
その通路を進んで行くと、突然景色がぐらりと揺れ、体の中がひっくり返されるような感覚のあと、気持ち悪さから閉じた目を開くと、森の中に移動して居ました。
「転移魔法?」
「そのようだ」
私達を追って来たマークさん達は、警戒し抜刀した状態で転移して来たのですが、私達の姿を確認すると、ホッとしたように剣を鞘に納めて居ました。
「アレク、ここは何処でしょうか?」
皇宮の中にも森がありますが、ここが皇宮の森なら人の手が入って居るので、下草が刈られ、道も整備されて此処よりも、もっと人工的な雰囲気がする筈です。
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アレクさんは辺りを軽く見渡して、すぐにここが何処なのか教えてくれました。
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私の伴侶となる人は、頼りになってかっこいいです。
「お~い、ちびっ子~。目~キラキラさせてっけど、皇都に住んでたら誰でも分かるんだぞ~」
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「そうなの?」
それならそれで、何を見て判断したのでしょうか?
「レン?あそこに紫の花が咲いて居るだろ?あれは露鷺草と言って、普通は白い花が咲く。花弁が紫になるのは、このエストの森だけだ」
なるほど。一つお勉強になりました。
花弁の色が変わるのは、魔素の流れが有るからなのかな?
「ロロシュ、転移陣を探して消しておけ」
「消して良いのか?あそこを調査するなら穴を降りるより楽だろ?」
「利便性より、秘匿性だ」
「へいへい。了解」
ロロシュさんは、侯爵家の後継になるのだと聞きましたが、何時迄もこんな口の聞き方で良いのでしょうか?
私の事も、ちびっ子呼びに戻って居ますし、改める気は無いのかもしれませんね。
「それにしても、結構遠くまで飛ばされたな。・・・・仕方ない歩いて帰るか」
「団長。それなら自分が迎えを呼びます」
「ん?」
シッチンさんは、どうやって迎えを呼ぶのでしょう?
「お前、通信鳥無しで迎えを呼べんのか?」
ロロシュさんも、不思議がってますね?
「はい、子供の頃ゴブリン討伐に連れて行かれた時に、親と逸れたことがあるんです。その時に親と連絡を取ろうと編み出した方法なんです」
そう言ってシッチンさんは、腰のポーチから取り出した紙に迎えを呼ぶ手紙を書くと、その紙に魔力を込めました。
すると手紙は、蜂鳥くらいの小さな鳥に変化して、皇都へ向かって飛んで行きました。
「ほう?便利な魔法だな」
「そんなに遠くへは飛ばせないので、あまり役には立たないのです」
そうかな?
凄く便利だと思いますよ?
私にも教えて欲しいと言うと、シッチンさんは快諾してくれて、皇宮に戻ったら手解きしてもらえる事になりました。
こういう時、普段のアレクさんなら何か言って来そうなものなのですが、何も言ってこないところを見ると、この魔法の流用性を理解して居るのだと思います。
エストの森は、皇都の近くという事もあってか、チェボと言うキョンに似た小さな魔獣の他は、何処にでも居ると言うコネリや、幼蟲等大人しい魔獣ばかりです。
迎えを呼んだ森の入り口まで、徒歩で移動する間、みんなが勤めて明るく振る舞って居たのは、あの水槽に入れられた人達の事を、考えたくなかったからでしょうか。
騎士の皆さんは、出来る事と出来ない事。
やるべき事とそうで無い事の線引きがハッキリしているように思います。
それは情が無いとかの悪い意味ではなく、騎士と云う命を掛けたお仕事を続けて行く為には、この切り替えの早さは必須条件なのでしょう。
エストの森は、綺麗なお花が多く咲く森でした。
いつか、なんの心配もなく、のんびりハイキングや森林浴を楽しめる日が来たら、子供を連れて来てあげたいな・・・・。
「楽しそうだな? 何を考えてたんだ?」
そう言って、私を見るアレクさんの瞳は、とても優しそうですよ?
「この森はとても綺麗な所なので、いつか子供と一緒に来たいなって」
一瞬驚いた様に大きくなったアレクさんの瞳が綺麗な弧を描くと、額に唇を押し付けたまま、ギューギュー 抱きしめられてしまいました。
たまご!
アレクさん、卵割れちゃうから!
みんなも見てるから!
「お~い!イチャつくのは、宮に帰ってからにしてくれ~」
呆れ声を出すロロシュさんに目を向けると、今にも砂糖を吐き出しそうな顔になっています。
この人、普段マークさんにどう接して居るのかしら?
「ロロシュさんは、イチャイチャしなくていいいの?」
アレクさんは、いつも自分の激甘っぷりを普通の事だと言っているし、ザックさんとナディーさんも、伴侶の二人とは今でもラブラブらしいので、ロロシュさんの一線を引いたような態度が不思議で仕方ありません。
一度二人の進展具合を聞いてみたら、マークさんは恥ずかしがりながらも、言葉を濁して居たので、何か事情があるのだと理解して居ますが。
でもアレクさんと違いすぎて、そんなに我慢出来るものなのかと、興味本位で聞いてしまいました。
私の質問の攻撃力は思いの外高かったようで、ロロシュさんとマークさんが揃って真っ赤になっています。
「なっ!ちびっ子!!仕事中に何言ってんだ!」
テレまくるロロシュさんなんて,レアなものが見れたとホクホクしてしまいます。
でも、その後ろにいる、美味しそうな名前の騎士さんの目がとても冷たくて、バカップル丸出しな上に、お仕事中に不謹慎なことを言った事を後悔しました。
ロロシュさんとマークさんの婚約は、正式な発表はされて居ないけれど、マークさんが番を得たって、噂にはなっているのよね?
もしかして、あの方はマークさんの信奉者なのかしら?
だとしたら二人の様子を見て、心中穏やかでないのも頷けます。
反省した私は、大人しくしていようと心に決めたのですが、アレクさんの甘々攻撃は止まることを知らず、森を出るまでの間、騎士さんの冷たい視線がビシビシと突き刺さって、痛くて仕方がありませんでした。
あんな目で私を見てくるってことは、彼の想い人はマークさんではなく、アレクさんなのかな?
これは困りました。
初めてのライバル誕生でしょうか?
でも、私達は番いだし、譲ってあげる気はこれっぽっちも、無いのですよ?
◇◇
皇宮に戻った私達は、第二騎士団の詰所前で、ウィリアムさんに報告に行くアレクさんと一旦別れて、柘榴宮に帰ることにしました。
いつまでもドラゴンの卵を手で持って歩くのは、些か不用心と言うものでしょう?
魔法を教えてもらう約束をしたシッチンさんと、マークさんに挟まれるように、詰所から宮へ向かったのですが、あの騎士さんの冷たい視線がいつまでも背中に刺さってくるようで、居心地が悪いです。
「レン様?どうかされましたか?」
マークさんに気遣われてしまいました。
また顔に出て居たのでしょうか?
気をつけているつもりなのですが、どうもポーカーフェイスと言うものが上手くできなくて困ります。
「いえ。何も無いですよ?」
バリキャリのお姉様方の様に、感情を隠して綺麗に笑えているでしょうか??
マークさんが足を止め、少し腰を屈めて、目線を合わせて来ました。
「レン様?隠してもわかりますよ?」
まるで子供に言い聞かせる様で、マークさんの方が年下だし、妹ポジだった筈なのに、今はお母さんみたいです。
「レン様?」
それに、美人さんが笑顔で放つ圧は強力でした。
「ーーーーー実は」
と気が付けば、あの騎士さんの事を洗いざらい聞き出されてしまいました。
「ふむ。モルローが・・・そうですか」
そうでしたモルローさんです。
有名なスイーツ店の名前に似ている、と思ったのでした。
「皆さん真面目にお仕事をされているのに、余計な事を言った私が悪いんです」
「レン様。あの程度の軽口に一々反応する方がおかしいのです。それに、モルローは閣下のことを恐れて居ますので、お慕いすることはないと思いますよ?」
マークさんが目を向けると、シッチンさんも同意だと、ブンブン首を縦に振っています。
「では、何がいけなかったのでしょうか」
「ーーーーそうですね。モルローは第3から移動になった騎士ですので、第2の水が合わないのかもしれませんね」
とにかく気にするなと、言われ消化不良気味でしたが、納得することにしました。
何処に行っても馬が合わない相手はいるものです。
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