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アレクサンドル・クロムウェル

神託の愛し子 / 罰ゲーム?

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 モーガンが、笑いを押し込めたところで、冷めた茶を入れ直した。

 一口茶を口に含んだレンは、カップから、赤い唇を離し、キリリとした表情で、口を開いた。

「これは私の勘なのですが、アルケリスさんとそのお友達は、私の噂とは別に、念入りに調べた方が良いと思います」
「承りました。手配いたします」
「えッ?」
 レンは素っ頓狂な声を出した。

「どうした?」
「いや、だって、急に調べろとか言われたら、普通、理由とか聞きませんか?まぁ、聞かれても、ただの勘なんですけど・・・」
「普通ならな。だが、君は愛し子だろ?」
「神の御使であられる、愛し子様のお言葉であれば、例え勘でも、調べる価値は有ります」

「えぇ~?!なんですかそれ、もう下手なこと、言えないじゃ無いですか」

 自分の言葉の重みを教えられ、レンは困惑顔だ。

「気にするな。君は今のままでいい」
「そうです。御心のままに、過ごして良いのですよ」

 それを聞いても、レンは思案顔をして居たが、話がモーガンの子供や、伴侶の事に移ると、レンの顔に笑顔が戻った。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 後日譚として、レンの忠告を受けたモーガンは、アルケリスの一件を、第一の副団長、バルドに相談した。

 相談を受けたバルドは、元々、剣呑な噂の多い人物として、皇都の警備隊と協力して、アルケリスの捜査に乗り出した。

 結果、アルケリスとその仲間は、金に物を言わせた、小児に対する性的虐待と、人身売買に、加担していた事が発覚し、投獄される事となったのだが。

 元々、フラフラと遊ぶばかりで、領主としての才覚を見せない嫡男よりも、次子に後を継がせたがっていた、メリオネス侯爵は、あっさりアルケリスの籍を抜き、自身はアルケリスの悪行とは、無関係だと主張した。

 普通なら、嫡男の愚行を止められたなった、親として、非難の的になりそうだが、メリオネス侯爵の即断は、法を遵守する者の鏡であると、美談にすり替えられた。
 社交界を牛耳る人間の、空恐ろしさを感じる出来事だった。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 暫く穏やかに談笑を続け、モーガンの伴侶に会ってみたい、と言うレンに、機会があれば、2人で会いに来ると、モーガンが約束をして、今日の拝謁は終了となった。

 だが、去り際にモーガンから「ジルベール様の話も、早くされた方が良いですよ」と忠告され、胃の縮む思いをする事になった。

「ねえ、アレクさん。質問が有ります」
「ん?」
「モーガンさんって、なんの獣人なんですか?」
「モーガン?あぁ、鷲だな」
「鷲?やっぱり、鳥さんなんだ」
「それが、どうかしたのか?」
「いえ。モーガンさんを見ていて、とても気になってしまって」

 気になる?
 俺よりもか?

「ほら、モーガンさんって、結構な鳩胸じゃないですか」
「はとむね?」
「え~っと。鳥って、お胸がこう」

 とレンは両手で胸の前を、下から抱くような仕草をみせた。

「ぼッふぁ!って、してるでしょ?モーガンさんのお胸も、そんな感じだったので、鳥さんなのかなぁって」

 ぼッふぁ!?

 どうするんだよ?
 俺、結構モーガンと会うんだぞ?
 次あったら、絶対笑うぞ?
 
「・・・・そっそうか」

「後、もう一つ。いいですか?」
「おっおう、いいぞ」
「あの、こちらでの、両親の呼び分け方は、どうなっているんですか?」
「呼び分け?」
「はい。あちらでは、子供を産んだ女性を“母”一緒に・・・その、子供を作った男性を“父”と呼びます。基本的にこの2人は夫婦、えっと伴侶になるのですが、こちらでは、性の違いが無いので、何が基準なのかなって」
「あぁ、そう言うことか、簡単だ。精と魔力を与えた者が“父”それを受け取って、子を産んだ者が“母”だな」
「じゃあ、あちらとあまり変わらないんですね」

「因みに、異界での子作りの仕方はどうなってるんだ?」
 レンの瞳が揺れて、耳が赤くなった。

 少し、意地悪だったか?

「この歳で、男性に性教育とか・・・どんな罰ゲームですか」
 と言いながら、説明してくれた。

 こちらとの違いは、魔力を使うか、己の血肉を分け与えるか、になるようだ。

 だが、衝撃だったのは、情を交わす時に、俺のオレを挿入する場所が、俺達のとは別に有り、そこから赤子が、そのまま出てくることだ。
 レンのこの小さな体から、赤子が出て来るとか、想像出来ない

 いや、なんとなく想像は出来るが。
 かなり怖い絵面じゃないか?

 下手な怪談話よりも、怖いかもしれない。

 レンにもそう話すと
「ちょっと失礼ですよ?」
 と膨れられたが、レンはアウラが体を作った時に、こちらに合わせてあるから、出産はこちらのやり方になる筈だ、と教えてくれた。
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