夜の鼓動

夜の鼓動

縦長の白い縁にはまる
両開きの窓の窓枠に座り込み、
夜空を眺める。

美しすぎるその夜空が
涙が流れてしまいそうなほどに
愛おしかった。

自分は
その大きな存在に包まれているのだ。。
大きく、神秘的な世界に、
自分は愛されているのだ。
出来ることなら、
その中に溶け込んでしまいたい。

理科の授業で習った『天球』。
響きが大変美しい。


白いレースのカーテンを
冬の風が煌きらびやかに揺らす。

薄着の白いワンピースを着る彼女は
眉間に皺を寄せながら
鼻で深く息を吸い、
眉間の皺を戻す。

夜の冷たい空気は
肺の中を冷やして満足感を与えた。

地球の自転によって動いていく、
幾千万の星々が愛おしくてたまらない。
白く光る柔らかな星雲が、
勇ましく虹色に光る星団が、
その神秘的で真っ暗で、
でも夢を抱かずにはいられない大宇宙が
大好きで、
愛おしくてたまらない。

大宇宙の内にある
太陽系の内にある
第三惑星に生まれる事のできた奇跡が
幸せで幸せで仕方ない。

ありがとうの言葉を
宇宙に投げかけたい。

全ての人々に自分の愛を注ぎ込みたい。

大好きなんだ。
全てが愛おしいんだ。

青々としていて、
黒々としているその宇宙そらに、
繊細で勇ましい星々の輝きに、
空に浮かぶ雲に、
この星に住む全ての人々に、
この地球に、
この裏で神々しく強く輝く太陽に、
感謝しか湧いてこない。

気分が良くて仕方がない。

冷たく澄んだ空気は
幸せを感じさせる媚薬だ。

地球の自転によって動いていく
窓からの景色が壮大すぎて、
静かに涙を流す。

一筋の流れ星と共に
涙が頬を伝う。

髪が風に吹かれて
さらさらと揺れる。

口角を上げ、
窓枠に深くもたれかかり、
目を瞑る。


『今日は本当にいい夜だ……』