こんな奴が俺TUEEEEしちゃって良いんですか!?

グルクン

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蛇が……飛んでる!?

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「しっかし、あの蛇は乱暴モノだなぁ~。てかさ、あの蛇、さっきから喋ってない?今時の蛇って喋れるの?凄いね!ボクとお友達になろうよ!!!」


『……蛇とは、我のことか?我をあんな紐と一緒にするなど、貴様、怖いもの知らずにも程があるな。』



蛇さーん、アイツは《怖いもの知らず》ではなく、馬鹿なだけですよ~

相手にしないでくださーい。……でないと、馬鹿が移りますよ?



「えっ、蛇じゃないの!?だって、首は長いし、尾もビヨーンって伸びてるじゃん!」


『貴様の眼は節穴か?そうでなくば、馬鹿であるか?見えてないのか?この力強い腕と足、そして胴体から生える翼が!我は、生きとして生きるもの全てが恐れ慄く、ドラゴンなるぞ!!!……どうだ、怖いであろう。』


「へぇ~ドラゴン?ね。世の中、分かんないもんだね。蛇は蛇でも、手足と羽が生えると名前が変わるんだな。ほぉ~勉強になりやした。」


『いや、蛇ではないと申しておるであろう!生物界最強の生き物たる我にかかれば、貴様を殺すのに5分とて掛からぬ。』



おっ?ここに来て馬鹿が増えたっぽい?

与太のやつが馬鹿であるのは、周知のことですよね。

まさかのドラゴンさんまで馬鹿みたいですよ?

《殺すのに5分とて掛からぬ》とか言ってますけど、与太の野郎、貴方に放り投げられてもピンピンしてますからね。

なんなら、投げられたことが無かったことになってますからね。……ドラゴンさん、現実見て。現実を。

彼、一度、貴方に思いっきり投げられてますから。ぶつかった衝撃で、谷壁にクレーター作ってたから。



「蛇さん、貴方って結構なお喋りさん?さっきからベラベラと喋り続けてるのけど……疲れない?」


『いや、聴いて!そこの人間、我の話を聴いて!我は蛇にあらず、ドラゴンなる最強の生物なり。貴様を殺すのに5分も掛からぬぞ。……大丈夫?理解出来てる!?』


「蛇さん、貴方の言ってることは分かったから、話を前に進めようよ。さっきから訳の分からない事ばかり言ってさ。……ボクは、与右兵衛ようへい。周りからは与太って言われてるよ!よろしくね。」


『貴様、我の話を聞かんかぁああああ!!!我は蛇にあらず、ドラゴンなり。………我の名は、ジルニトラである。気軽にジルと呼んでくれ。』



…………ん?馬鹿なの?コイツら馬鹿なのかな?


どういう流れ?これ、どういう流れなの???

なんで急に自己紹介始まってるの?てか、与太の奴、本名【与右兵衛】なの!?初めて知ったわ。……ま、これからも与太って呼ぶけどさ。

それにしても……ドラゴンさん、なぜ与太に合わせちゃったのかな?なぜ彼のペースに合わせちゃったの?


……もしかしてだけど~もしかしてだけど~貴方も同じく馬鹿なんじゃないの~


ふと思ったんだけど。この世界って、与太の居た世界と違う世界なんじゃない?いわゆる《異世界》ってやつじゃない?

だって、与太の世界にドラゴンなんて居ないしさ、居たとしても妖怪ぐらいだもん。


まぁ、与太って馬鹿だから永遠に気付きそうにないけど。たぶん、この先ずーーーっと家を探して歩き回ると思う。馬鹿だから。


あぁーあ。馬鹿が増えたわ。馬鹿が2匹になっちまった。


さて、ドラゴンさん馬鹿与太バカに対してどう接するのかな~。楽しみだな~。



『与右兵衛……いや、与太と呼んでも良いか?』


「うん!イイよ!みんな、与太、与太って呼ぶから、その方が呼び慣れてるし。ボクはジルって呼んであげるね。」


『そうか。……フフッ。そうか、そうか。これで我にも友達というやつが出来たのか。フフッ……フハハハハッ!!!やったぞ。父上、母上、ついに我にも友達が出来ましたぞ!……あっ…うぅ……嬉しくて涙が。』


「あぁー!蛇さん、泣いてるぅー!!!ポンポンお腹痛い痛いしてる?大丈夫?」


『……そうではない。嬉しいのだ。生まれて初めて出来た友達であるからな。与太、お前はなんて優しいやつなんだ…』



……よし、あの馬鹿は放っておこう。まともに相手すると疲れる


そもそもドラゴンさん、貴方、《蛇》呼ばわりされてますけど良いんですか?

蛇じゃなくてドラゴンでしょ?最初に見せたあの威厳はどうした?

もしかして、この短期間のうちにどこかへ捨ててきちゃった?

威厳ってのは、一度捨てると再び取り戻すのは大変なやつだよ?良いの?そんな簡単に捨てて。


今はっきりしたけど、ドラゴンって意外と寂しがり屋なのかな?


友達できて嬉し泣きって、どれだけ孤独で居たのさ。

可笑しいのは与太だけで十分なのに、この世界ごと可笑しいパターンはやめてくれよ?

それだと流石にキャパオーバーだから。わしの容量足りなくなるからぁああああ!!!!



『そうだ、与太よ。先程から我を《蛇さん、蛇さん》と呼ぶが、我は泣く子も黙るであるぞ?分かっておるか?』


「ん?蛇さんは蛇さんだよぉ~。だってずっと地面の上にいるじゃん!その羽も飾りでしょ?」


『フッ………疑うのなら見せてやるまで。与太よ、我をしかと見ておれ。あっと驚くものを見せてやろう。』



鹿ドラゴンは体勢を整えると、折りたたんでいた翼をバッと広げて、両の手足で力強く地面を蹴り飛び上がった。



「うわぁああああ!!!!と、飛んでる!蛇さん飛んでるよ!すっごーーーい!!!蛇が飛んでるぅううう!!!!!!!!」


『だから、我は蛇ではなぁああああい!!!!!こうして飛んでいるのが証拠だ!我がドラゴンである証拠だぁあああ!!!!!これ以上、我のことを《蛇》などと称すなぁあああ!!!!』



ドラゴンさん……飛び上がっている状態で、そんなこと叫ばれると、切実さがヒシヒシと伝わってきますよ。

ただね、ドラゴンさん。1つだけ言わせてほしい。


あの馬鹿は、一度呼び始めた呼称を変えきれるほど、脳みそは働かないです。


つまり、貴方はこれからずっと《蛇さん》です。諦めて地上へ戻ってきてください。



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