1 / 6
プロローグ
しおりを挟む「ふぁあああ……あ…。いつ寝ても気持ちが良いな。この木陰は。ほんの5分10分寝るつもりが、ついつい3時間ほど寝てしまったよ。」
どこか抜けてそうな顔をしたこの男。年は26歳。気がついたら20代後半に入ってしまっていた残念な奴である。ちなみに無職……いわゆるニートだ。
生まれてこのかた働いたことが無く。かと言って、家事などもしない。
日が昇ってから日が暮れるまで、ずーーーっと何もせず、ただ家でゴロゴロするか、外へ出て適当な木陰で昼寝をするか。身体を動かす事と言えば、トイレへ行く時ぐらいだろう。
……少し待て!と言いたい方がおられるはずです。
そうです。何を言うこの男、飯も風呂もたまにしか頂かないのです。
別に、家に風呂がない訳でもございません。『働かざる者食うべからず』を徹底しているお宅でもございません。
戸建ての一般的な家に住み、中には一般的な風呂が備わっています。
それに、時間になれば三食飯は用意されています。
それなのに…………それなのに!!!
この男は、気分が乗らない……だとか、今日はそういう気分じゃない……だとか、数々ふざけた事を口にしては何もしない。
飯を食べないのは個人の勝手。死ぬも生きるも手前で決めろという話だ。
ーーーしかし、風呂だけは違う!
これだけは手前の勝手ではない。風呂に入る行為は、社会で生きていく上で必要最低限度のマナーである。
それをコイツは、飯と同様の理由で頂こうとしない!もはや人であるかどうかすら疑いたくなる。
これはつい先日、この男が道を歩いていると、向こうの方からご近所さんが歩いてきた。
「おうっ!与太じゃねーか。今日も木陰で昼寝でも決めるのか?あんまり寝すぎると根が張ってしまうずっ……ヴゥっ!!!!く、臭い。お、おおお前さん、前に風呂入ったのはいつだ!?」
「んん~…………き……」
「えっ、昨日っ!?」
「去年。」
「どうりで臭い訳だ!良いか、風呂ってのはなぁ、毎日入るものなんだぞ!それを1年間も入ってないなんて………だから、お前は与太なんだよ!!!」
なんて話がございましてーーー
普通に生活しているのなら、こんな会話なんて起きない。
そんなアブノーマルな男は、先ほどの会話にもあった通り、巷では『与太』と呼ばれている。
この話は、ある日ダメ男である通称『与太』が、木陰でうたた寝をしている最中、気がついたら異世界へ行って俺TUEEEをするものである。
今でこそ、中肉中背の将来 高血圧 確定路線を行く20代後半のダメ男『与太』。
しかし、彼は知らない世界で、身に覚えのない身体で、知る由もなかった術によって、人を助け、生き物を助け、そして身体を動かす喜びを感じていく。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転生した剣聖は最初から最強のようです
白檀
ファンタジー
剣に生涯を捧げ、二代目剣聖にまで至った男レオン・デイマーは、多くの家族や弟子に囲まれ、齢80数歳にして一見穏やかな生涯を閉じたかに見えた。
だが、当の本人には拭いきれない悔恨の念があった。
若き日々ともに剣を合わせ、ともに研鑽を積み、時に争い、友として剣を競った男、初代剣聖レイチェル・ミッドガル。若くして命を散らしたあの男の背に最後まで届かなかったこと・・・・
レオンの強い思いを気まぐれな神々が聞き届けたのか、目を開けた彼は200年の時を超え、ケイオス・エルドバーン辺境伯の3男、レオン・エルドバーンとして生まれ変わっていた。
剣聖レオン・デイマーとしての記憶や技量を持ったまま新たな人生を始めることになったレオンは、剣のみならず魔法をも極めようと、幼き日より『黒騎士』ブルーム・ドラグノフ、宮廷魔道士クロエに師事し、今生こそはレイチェルを超えるのだと研鑽の日々を過ごす。
そして時は過ぎ、騎士学校の入学試験に臨むレオンの前に、レイチェルの面影を持つ男が現れたのだが・・・・
時を超え、最強を求め続けた男たちが、因果の輪の果てに今再び邂逅する!
この作品は小説家になろう様でも投稿しております。
異世界で生き残る方法は?
ブラックベリィ
ファンタジー
第11回ファンタジー大賞が9月30日で終わりました。
投票してくれた方々、ありがとうございました。
200人乗りの飛行機で、俺達は異世界に突入してしまった。
ただし、直前にツアー客が団体様でキャンセルしたんで、乗客乗務員合わせて30名弱の終わらない異世界旅行の始まり………。
いや、これが永遠(天寿を全うするまで?)のサバイバルの始まり?
ちょっと暑さにやられて、恋愛モノを書くだけの余裕がないので………でも、何か書きたい。
と、いうコトで、ご都合主義満載の無茶苦茶ファンタジーです。
ところどころ迷走すると思いますが、ご容赦下さい。
【完結】 元魔王な兄と勇者な妹 (多視点オムニバス短編)
津籠睦月
ファンタジー
<あらすじ>
世界を救った元勇者を父、元賢者を母として育った少年は、魔法のコントロールがド下手な「ちょっと残念な子」と見なされながらも、最愛の妹とともに平穏な日々を送っていた。
しかしある日、魔王の片腕を名乗るコウモリが現れ、真実を告げる。
勇者たちは魔王を倒してはおらず、禁断の魔法で赤ん坊に戻しただけなのだと。そして彼こそが、その魔王なのだと…。
<小説の仕様>
ひとつのファンタジー世界を、1話ごとに、別々のキャラの視点で語る一人称オムニバスです(プロローグ(0.)のみ三人称)。
短編のため、大がかりな結末はありません。あるのは伏線回収のみ。
R15は、(直接表現や詳細な描写はありませんが)そういうシーンがあるため(←父母世代の話のみ)。
全体的に「ほのぼの(?)」ですが(ハードな展開はありません)、「誰の視点か」によりシリアス色が濃かったりコメディ色が濃かったり、雰囲気がだいぶ違います(父母世代は基本シリアス、子ども世代&猫はコメディ色強め)。
プロローグ含め全6話で完結です。
各話タイトルで誰の視点なのかを表しています。ラインナップは以下の通りです。
0.そして勇者は父になる(シリアス)
1.元魔王な兄(コメディ寄り)
2.元勇者な父(シリアス寄り)
3.元賢者な母(シリアス…?)
4.元魔王の片腕な飼い猫(コメディ寄り)
5.勇者な妹(兄への愛のみ)
お姉様(♂)最強の姫になる~最高のスペックでの転生を望んだら美少女になりました~
深水えいな
ファンタジー
高貴な家柄、圧倒的なパワー、女の子にモテモテの美しい容姿、俺の転生は完璧だ!女の子であるという、一点を除けば。お姫様に転生してしまった最強お姉様が、溺愛する妹と共に無双する!爽快コメディーファンタジーです!!
※なろう、カクヨムで公開したものを加筆修正しています
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
硝煙の勇者達
COTOKITI
ファンタジー
約300年前、亜人達は人類に敗北した。
敗北した亜人達は300年後の1949年に至っても迫害、弾圧が続けられ滅びの道を行こうとしていた。
だが、人類に抗う者達もいた。
銃を取り、自由の為に突撃し、殺し殺され、奪い奪われ、この戦争を自由への戦争と大義名分付け、彼らは自らの死体の山を築き上げていく……。
異世界にチート転生したが、不便過ぎるので”王都でも”自重するのをやめた!
剣伎 竜星
ファンタジー
イレギュラーな死亡で現世地球の輪廻から外れることになった社畜契約社員だった俺は神様達の厚意で、剣と魔法があるMMORPGの様なファンタジー異世界に転生した。したのだが、衛生環境はもとより、文化レベルが食文化も前世とは比べ物にならない程低く、あまりに酷かった。俺は早々に自重を辞めて転生の際に貰ったチートスキルを駆使し、試行錯誤を交えつつ、周りを改善しまくった。魔物の災禍や隣国の兵の侵入があったけれど、それらを防いで希少鉱脈見つけて王国に献上したら、家が陞爵。貴族の子弟の義務で王都にある学園に2人の可愛い許婚とともに通うことになった。因縁のある親戚貴族やひょんなことから知り合った王女様なども学園に通っているらしいから、早くも厄介ごとの予感がする。ともあれ、改善した実家よりも王都での生活が不便なのは確定的に明らかだから、俺は自重するのはやめた。※序盤は回想と王都までの道中で、学園本編はしばらく先になります。※なろうにて先行投稿してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる