銀河の外れで生きる僕と彼女とプラス1匹の冒険

第２章〜少年と惑星〜

ep50. エミリーとジェイド III

さてさて、撮影作業ラストのMRI撮影ですね

装置はすでに作動させております。スタンバイ状態ですね

かなり強力な磁場を発生させなければなりませんので、正直言って私自身……命がけです

やわな電子機器だと、装置に近づけるだけで壊れてしまいます


ま、私の義体は宇宙空間での作業も想定した作りですので、そう簡単には壊れませんが……。ただし、装置の側にいれるのは超短時間だけです


なので、手短に終わらせましょう。私、まだまだジェム君と一緒に過ごしたいですから！！！

それでは撮影を開始します。ゴーンッゴーンッ……と喧やかましい音が鳴り響きますがお気になさらず

どこかで工事をしていたり、機械が故障していたりなんて事はございません

至って正常な動きですから。ご安心ください


……しかし、頭の先から尻尾の先までとなると、かなり時間が掛かりますね

検体を1枚1枚、輪切り画像にして撮影しているわけですから仕方ありませんか

10分、15分掛かると想定してますので、待っている間に先ほど採取した羽毛の観察でも致しましょう



ーーーさて、撮影が終わったようですね


撮影データはチップに保存されてますので、あとでコンピュータで確認します。DNA情報を解析している間の暇つぶしに持ってこいですね



それでは、レントゲン＆MRIの撮影が終わりましたので、最後に口腔内の調査です。

おおよその年齢を予想する為と何を食べて生きているかを把握する目的で、歯の形や歯の擦り減り具合を確認します


……麻酔はまだ解けそうにないですね。これで安心して口腔内に指を入れることができます

歯科医院で使うデンタルミラーなどを使って観察しても良いのですが、噛まれる恐れが少ない状況下なら直接触れるやり方が手っ取り早いです！

歯の先端が鋭く尖ってるのか、それともすり減って丸みを帯びてるのか

目で観察するよりも触れた方が確実に分かりますからね


それではトカゲもどきさん、お口の中を失礼しますよ～。起きないで下さいね～


麻酔のおかげで完全脱力状態なので、口を開けるのに苦労はしませんね

首を上に上げて、下アゴを軽く下方に下げてやるとパカッ開いてくれます！



ーーーあら、凄いですね……


鋭く尖った歯が、口腔内をビッシリと埋め尽くしています

歪みがないように感じるぐらい綺麗な並び方です

哺乳類種で言えば、犬歯に当たる部分に他の歯より少しばかり長い鋭い歯があります

毒ヘビ等に見られる毒腺を内蔵した歯に見えなくもないですが、そこまでの長さはないですね。空洞になってそうな感じもありませんし……

周りの歯よりも1.5倍ほど長いぐらいですし、噛まれたとしても穴が空くぐらいでしょう



ただ今、口腔内に指を入れて歯を触診してますが、すり減り具合がイマイチですね

かなり鋭く尖っています。生え変わったばかりなのか、それとも産まれたばかりなのか……なんとも言えませんね



おっ！？新たな発見です！！！先ほど確認した犬歯のような歯の奥側にかけて生えている、4つほどの歯の側面がノコギリ状になってました

古代の地球上で闊歩かっぽしていた肉食恐竜に見られる特徴ですね

おそらく、獲物の肉を食い千切りやすくする為のものでしょう


ついでですが、歯と歯の間に食べカスが残ってました

どうやら昆虫のような生き物の破片みたいです。キチン質っぽい感じがします

足のような、触覚のような。断片的すぎてよく分からないですが、あまり大きな生物ではなさそうです


完全に仮説ですが、このトカゲもどきは獣類および昆虫類、もしくはそれに準ずる生物を捕食して生きているようです


詳しくは観察していくしかないですが、とりあえず何をあげれば良いか検討しやすくなりました