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第2章〜少年と惑星〜
ep37. 少年と未知の生物
しおりを挟むあっ、しまった。逃げられた!と思ったその瞬間。隣に居たはずのエミリーが突風と共に姿を消してしまった
「うわっ!……エ、エミリー!?って、えぇええええ!!!!!!!」
何が起こったか理解できなかった。だって、気がついた時には既に、エミリーはトカゲのすぐ側まで迫っていたんだから
そして、次の瞬間……
「……すごい。エミリー凄いよ!動きが全く見えなかったよ。よく捕まえることができたね」
目にも留まらぬ速さで、僕らの目の前から走り去ろうとしていた、トカゲに似た生き物をエミリーはそれを上回る速さで捕獲した
正直、僕の動体視力では、すべての動作を確認することはできなかった
それぐらい捕獲するスピードが早かった。……たぶん、エミリーに勝てる生き物はいないと思う
エミリーは、ガッチリと捕まえたトカゲ?を腰に下げていた鋼鉄製の小さめの檻に閉じ込めた
彼女はそいつを両手で持って僕のところへ戻ってきた
「ジェム君、しっかりと捕まえましたよ!さ、こちらをどうぞ!」
「ありがとう。さすがエミリーだよ!よく捕まえきれたね。ほんと、エミリー様々ですよ。ちょっと怖いから、その檻は荷台に乗せてほしいな」
僕がそう言うと、エミリーはスタスタと車の荷台まで進んで、軽々と載せてしまった
エミリー力持ちだな……
まずは、コイツの観察でもしようかな。ゆっくりと舐め回すように観察してやりますよ!……いや、変な意味じゃないからね
…………でだ。コイツは、なんて生き物なの?
烈火のように紅く輝くクリッとしたお目々に、全身を覆うエメラルドグリーン色をした鱗の隙間からわずかに羽毛が生えている
トカゲ?……ではないよな。少し羽毛あるし
真っ黒な爪が3つ、四足の指先から見えていて引っ掻かれると痛そうだ
尻尾の先が完全にトカゲじゃないって言ってるよ。だって、羽根が纏まってあるんだもん。少し広げた扇子みたいだ
遥か昔、人類発祥の惑星『地球』にいたらしい始祖鳥?ってやつに似てるかも
コイツの前足には原始的な羽はないけど、どこかしら姿、形が似ているなぁ
僕が興味津々に、コイツを閉じ込めている檻の中をまじまじと顔を近づけて観察していると……
「シャアアアア!!!!」
口を目一杯大きく開けて威嚇をしてきた!
その瞬間、噛まれると思ったけど……よくよく考えてみると、コイツ檻の中だって事に気がついたよね!
うっかり、うっかり。もぉ~おっちょこちょいだぞ、僕!
それにしても大きな口だよ。口の端が耳のあたりまでありそうな感じで
その口は、真っ赤な色をした長い舌に、真っ白く光る鋭い歯が隙間なくズラーッと並んでいる
噛まれたらひとたまりも無さそう……。襲われないようにしなきゃ
コイツ、なんだかドラゴンの子供っぽく見えてきたな
火なんか吹いたりしないか不安だよ。まぁ、吹いたら吹いたで面白いけどね
だって、そうしたらリアルドラゴンじゃん!
火を吹く生き物がいるなんて、完全にファンタジーだよね!ふふっ……なんかワクワクしてきた!!!
いつか空飛ぶドラゴンに会って見たいな~
……いやいや、まだコイツがドラゴンって決まったわけじゃないんだから、落ち着こう。うん。一旦冷静になろう
「さて、それじゃあエミリーを呼ぼうか。そろそろ帰りたいし」
僕が檻から目を離し、運転席側に移動した瞬間。すぐ後ろから火が吹き出したような音が聞こえた!
えっ!?と思い、反射的に後ろを振り返ると荷台の一部が黒く煤けていた
そして、その側には檻の中から悔しそうな表情をしている一匹のトカゲもどきがそっぽを向いている
「えっ……?ちょ、ねぇ、冗談でしょ?ウソ……だよね?君、今……『火』を出したの?」
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