14 / 52
第2章〜少年と惑星〜
ep13. 少年は仲間を得る
しおりを挟むこんな惑星に不時着したなんて…………
どう生き残れっていうの?
僕まだ10歳だよ?
普通なら学校行ったり、外で友達とワイワイ遊んだりしてるはずなのに
それなのに!………1人何もない惑星にポツンと
助けはいつ来るの?
僕、また学校に行けるのかな……
友達と遊べるのかな……
ねぇ、誰か答えてよ
僕をひとりにしないで……
「グスッ……グスッ……エ、エミリー居る?エミリー?」
寂しさがこみ上げてきた僕は、涙で濡らしたままの顔で艦橋へと戻ってきた
誰かが側に居てくれないと心細くて死んでしまいそうだから
両親と妹が眠ったままでひとりぼっちの僕には、誰かが側に居てくれないとダメみたいだ……
「……はい。ジェム君、どうかしましたか?」
「グスッ……うん。ちょっと側に居てほしいんだ」
「それならお気に召すまでお側に居ますよ?どうされたのです?涙を流されて……」
エミリーは、涙を流す僕を見てAIであるにも関わらず心配してくれている
AIなのに……
でも、そんな心遣いが嬉しく感じた
「いや、その……」
「もしかして、外をご覧になったからですか?草木も生えてなく、乾いた大地が延々と広がっている惑星の様子を目の当たりにして」
「……うん。この惑星に居て、本当に助けが来るのかなって。僕、死んじゃうんのかなって」
「そうですか。……事実、このままだと確実にそうなります」
「……だよね」
AIに断言されて、僕のボロボロになっている心は崩壊しそうになった
全てことを把握して、最善の選択を取るAIが断言したんだ
彼女が無理だと言えば無理なんだよ
助けが来ることなんてことは諦めるしかないんだ……
「でも、ジェム君がどうしても生き残りたいと仰れば、私は持ち得る全ての力を貴方のために使いますよ」
「…………それってどういうこと?」
「諦めないでという事です。全くもって人間は不思議な生き物ですよ。私のデータベースの中に不思議な事が書いてありました。その昔…………」
エミリーが語った物語はこうだ
その昔、とある辺境の無人惑星に取り残された1人の男が自力で脱出しようと試みる
限りある資材を使って自作ロケットを製作し、なんとか宇宙空間に出たのは良いが、そこで燃料が切れてしまった
真っ暗な宇宙空間を漂流する事になった男は、物資節約のため、コールドスリープ装置に入り救助されるまでを過ごした
宇宙を漂流し続けて5年。警備航行中だった警備隊に偶然にも救助されて事なきを得た。と
その後、救助された男が言った言葉は《決して諦めるな。努力する者に救いはある。希望の光を見失うな》だったそうだ
「……まるで僕みたいな始まりだ。でも、彼は強かった」
「いいえ、彼も貴方のように泣いたりもしたでしょう。しかし生き延びようと努力をしました。決して諦めずに」
「でも……僕には」
「ネガティヴに考えるのはやめましょう。貴方の側には私が居ます。1人ではありません。2人で力を合わせれば不可能も可能になります!」
「…………そうかな。僕なんかが本当にできるかな」
「私は信じています。私のマスターであるジェム君、貴方ならこの惑星から脱出できることを。その為に私を使ってください。全力を持ってサポート致します」
AI……いや、エミリーに励まされたことで心がだいぶ楽になった
希望の光…………か
まだまだ見えない光だけど、いつか掴み取るべきものだ
僕は決してひとりじゃない
エミリーという大切な仲間が居る!
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
あなたの記憶、買います。
鴨居ダンテ
SF
*ラノベ感ゼロの正統派SF
記憶が金になる2045年の日本。電気海馬の開発によって、記憶は自由性を獲得し、その利用は幅を広げていた。東京の一角で非合法となっている記憶の売買を引き受ける〈記憶屋〉には、連日様々な人間が記憶を売りに訪れ、そしてアジアの富裕層が記憶を買い取りに来る。そんな記憶屋の平坦な日常に現れる一人の老人。
*一番最初に書いたSFなので、ゲシュタルト崩壊ぎみ。長編の改版も書こうと思っています。
星の記憶
鳳聖院 雀羅
ファンタジー
宇宙の精神とは、そして星の意思とは…
日本神話 、北欧神話、ギリシャ神話、 エジプト神話、 旧新聖書創世記 など世界中の神話や伝承等を、融合させ、独特な世界観で、謎が謎を呼ぶSFファンタジーです
人類が抱える大きな課題と試練
【神】=【『人』】=【魔】 の複雑に絡み合う壮大なるギャラクシーファンタジーです
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる