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第1章〜少年と船〜
ep5. 少年の船内探索 IV
しおりを挟むレストランから艦橋を目指して歩みを進める
目指す艦橋は、船の前方部に位置している
そのため、現在いるレストランから一つ階層が上がり、不時着後まだ立ち入ったことがない船の前方へと進まなければならない
不安を覚えながら階段を登って前へと進んで行く
今向かっている艦橋の記憶として残っている事は、コールドスリープ装置に入る直前、両親がモニターを見ながら慌ただしくパネルやボタンを操作していたことだ
あの後すぐ装置に入ったから詳しい状況は分からなかったけど、相当まずい状況だったのは間違いない
あまり良い思い出がない艦橋へ向かうのは、正直言って怖い
出来ることなら他の人に行って欲しいけど………でも、今いるのは僕たった1人だから仕方がない
もしかしたら艦橋に行くことで、お父さんやお母さん、妹を助ける方法が見つかるかもしれない!!
僕は思考をポジティブに変えて、艦橋へ向かうスピードを速くした
200mほど歩いて目の前に現れた扉には、『艦橋』の文字が刻まれていた
ついに辿り着いてしまった
運命が決まると言っても過言ではない場所へと……
ピシャッと閉まっている扉を手でこじ開けようと力一杯押してみた
だが、扉はピクリとも動かない。さては引くタイプかと思い引こうとするが、今度は取っ手がない
衝撃で取れて閉まったのかと思い、扉を凝視してみるがネジ穴らしき箇所は見当たらない
「………これどうやってあけるの?」
扉が開かないことには何もできない。どうにかして開けたい僕は、とりあえず観察して扉の状態を確認することにした
先ほど試した方法では開かないことが確定している
では、どのようにしたら開くのか
扉を隅々まで見ていく。扉の両サイドの壁にも目線を向ける
天井から床まで隈なく観察する
血眼になりながら観察して分かったことが一つだけあった
それは、扉の右横の床に溝が掘られていたこと。天井部分にも同じような溝が掘られている
その事を踏まえた上での結論は…………
この扉がスライド式だという事だ
僕こそ名探偵だと思うね。メガネはかけてないよ?スケボーやサッカーもしないけどね!
開かずの扉の謎を解明した名探偵ジェムは、スライド式の扉に手を掛けて勢いよく開けた
その瞬間、埃っぽい空気が音を立てて吹きつけてきた
何も用心していなかった僕は、あまりの空気の悪さに咳き込んでしまう
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!うわっぺっぺっ!こりゃ酷いな」
口にゴミが入ってきて不愉快極まりない
目にゴミが入って痛い。瞬きでゴミを流した後、服で口と鼻を抑えながら中へと進んでいった
…………どうやらマスクが必要そうだ
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