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第36話 元凶
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そうこうしているうち電気が戻った。
ゾイスは慌てて梯子を滑り降り、煌々と光り始めた上の階を見上げる。
「危なかった。マリア=エリー=レラは退避したんだね」
「捕まってないよな?」
「姿が見えないんじゃ捕まえようがないよ」
部屋全体が照らされたが、そこには何もない。
正しくは中央に巨大な柱はあるが、他には何も見当たらない。
「何もないね?」
ハリがアズに問う。
「本当に捜し物は時計台の中なのか?」
「うん。この周辺にも星屑が満ちてるから間違いないよ」
ゾイスは柱の周りを歩き、半透明に光る石の面に自らを映して言った。
「クオーツかな? 何でここにこんなものを入れたんだ?」
アレキが言う。
「時計の調整に使ってるのかも? ここに電気流すと、震えるんだよ!」
「ああ、振動の間隔で時間を測ってるのか。へえー……」
そこでアズとハリが青くなる。
「こ、これ! これ、クリスタルだよ!」
「え? ああ……そうだよ。石英。二酸化ケイ素が結晶化してできた鉱物。ジノヴィオスの人たちも使うよね」
「これに電気を流してるの!?」
「え? うん。クオーツは正確な振動を出すから、それで時間の間隔を測るんだ」
「こんな大きなクリスタルに電気を流し込んでるの!?」
「……何かマズいの?」
「いつから!?」
「さ、さあ……? 僕らが生まれるずっと昔からこの時計台はあるから、その頃からじゃないかな……」
アズとハリは絶句している。
そこでアズは、マリア=エリー=レラのつけていた香水を思い出す。
「わ、分かった……。ジャコウと同じ香水の香り……。あれと同じだ」
ゾイスは少し首を傾げ、以前アズに質問された奇妙な話を思い出す。
「……つまり、君たちジノヴィオスが魔法で使っているものを、僕たちオデッセフスが科学で使用しているということが、時に災いをひき起こしてしまうことがあるかもしれない……ってことか?」
「こんな大きなクリスタルを魔法みたいな力で使用したら、威力が大きすぎておかしなことがおきてしまうよ……! 私たちはほんの小さなカケラで魔法を増幅させてるだけだもの!」
アレキの表情が変わった。
「じゃあ……じゃあ、世界中の時計台でクオーツを使って時計を調節してたら……めちゃくちゃヤバいんじゃない!?」
「時を刻む速度が相互で変わっているのかもしれない? 魔法の影響をダイレクトに受けてしまう君たちがその余波を受けてしまっているのだとしたら……」
ゾイスの言葉にアズが続く。
「本当はバランスを取りながらゆっくり進むはずのコズモロギアが、片方だけ急速に……」
「なんてことだ! やめさせないと!」
アレキが青くなる。
「どうやって!? 今から世界中に警告しても間に合わないよ! その前にアズたちが消えちゃう!」
「そんなことはさせない!」
珍しく感情的になるオデッセフスの二人をぽかんと見ていたハリが、無理矢理その間に入り込んだ。
「まったあああ!」
一瞬の間が空いた後、彼は左右の二人を交互に見る。
「オレは脳筋だ。二人の言ってる意味はサッパリ分からないし、アズの言ってる意味も半分くらいよく分からん」
言い切った。
「カッカすんな。オレ以上に分からなくなんだろ。落ち着けよ。こっちはお前らの脳みそだけが頼りなんだぞ」
存在が消えそうな人物にそう言われれば、これ以上今の不毛な会話は続けられまい。
ゾイスとアレキは視線を外して謝罪する。
「すまない。感情的になった」
「ごめえん……! こんなことしてる場合じゃないのに……!」
アズはホッとしてハリの肩に手を置いた。そのハリは頷いてから腕を組む。
「あのよ? 今から世界中に伝達するのは無理じゃんか? それはオレにも分かるんだけど、だったらオレらの方で何とかすりゃいいんじゃないの?」
空白の間が空き、アズが震える声で言った。
「……それを今、話してるんだよハリ……」
「あ? でも何か、お前ら、分散させようしてね? 一つのとこでやった方が早くていいだろって思うんだけどオレ」
あれ? と、その意見で三人が首を傾げる。
ゾイスが何とか近づけて搾り出す。
「……つまり、こうか? ……分散させている、世界中にあるクオーツで考えるなと。自分たちで補える方法があるなら、それで解決しろ……こういうことか?」
「お前の言うこと難しすぎて、オレにはピンとこないよ!?」
アレキが腕を組む。
「えーと? え? えーと? ……ケチャップが嫌なら、ソースを上からかけて、味を変えてやれってこと?」
「ソレダ!!」
ハリが叫ぶと、ああ! と三人が辿り着く。
「共通する品の影響で、オデッセフスの科学がジノヴィオスの魔法を打ち消したように、その逆もありうるということか」
ゾイスに続いてアレキも考える。
「長い時間かけて少しずつクオーツの影響を広めちゃったけど、こっちが急ピッチで特別濃厚な何かをやらかせば、完全とまではいかなくても、穴埋めはできそうじゃない!?」
「アズ、何かないか? 魔法の力で科学を打ち負かすような品物」
アズは考えこんだまま動かなくなる。
「街を見ていた時、アレキの家にいた時、僕の家で遊んでいた時、何でもいい」
「ううーん……」
「ハリは!? 何かないの!?」
「うーん……」
その時、アレキのポケットから振動音が鳴る。彼女は慌てて電話を取り出し、耳を当てた。
「もしもし? こちらアレキ!」
「コラァ! 今何時だと思ってるんだ!!」
「ゲッ!? パパ!?」
「学校から電話があったぞ! お前午後サボったな!?」
「今そんな話してるヒマないの! 緊急事態なんだから! 友達の電話待ってるからかけてこないで! もう切るからね!」
「あっ! コラ待ちなさ」
ブツっと大きな音がして電話を切ったすぐ後、再度振動が手を震わせた。
「もう、パパしつこい!」
取るなりそう叫ぶと、受話器の向こうでマリア=エリー=レラの狼狽えた声が聞こえた。
「何、アンタのパパ電話かけてきたの?」
「あ! マリア=エリー=レラ! ごめん! パパがクッッッソうるさくて!」
「そっちはどうなってるのよ? こっちは今、技術者が引き上げたとこよ。アタシは廊下に出て涼んでるとこだけど、見た感じもう全部電気ついてるみたいよ」
アレキがゾイスの顔を窺う。
「マリア=エリー=レラが、この後どうすればいいか聞いてるよ」
「アズ、星屑の力はどうなってる? まだ停滞してるかい?」
「ううん。気配はなくなった。ここの導きはもう終わってるみたい」
ゾイスはアレキから小型電話を受け取った。
「マリア=エリー=レラ、ここでできることはもうなさそうだ。戻って合流しよう。ボイラーを頼む」
「分かったわ。電気消えるんだから、下にいる人踏まないように注意して降りろってハリに言っといて」
「了解。改札で落ち合おう」
電話を切りってアレキに手渡すと、ゾイスは入ってきた梯子に向かって歩き出す。
「出よう、じき電気が消える。ハリ、気をつけて降りてくれよ。真っ暗だからね」
「聞、こ、え、て、た」
その数分後、再び時計台周辺は暗闇に包まれる。
外で車のクラクションが鳴り響き、騒めく人々の声が上まで届いてきた。
ハリは来た時と同じように三人を背負い、時計台の一階と五階を往復してから、全員でその場を立ち去った。
ゾイスは慌てて梯子を滑り降り、煌々と光り始めた上の階を見上げる。
「危なかった。マリア=エリー=レラは退避したんだね」
「捕まってないよな?」
「姿が見えないんじゃ捕まえようがないよ」
部屋全体が照らされたが、そこには何もない。
正しくは中央に巨大な柱はあるが、他には何も見当たらない。
「何もないね?」
ハリがアズに問う。
「本当に捜し物は時計台の中なのか?」
「うん。この周辺にも星屑が満ちてるから間違いないよ」
ゾイスは柱の周りを歩き、半透明に光る石の面に自らを映して言った。
「クオーツかな? 何でここにこんなものを入れたんだ?」
アレキが言う。
「時計の調整に使ってるのかも? ここに電気流すと、震えるんだよ!」
「ああ、振動の間隔で時間を測ってるのか。へえー……」
そこでアズとハリが青くなる。
「こ、これ! これ、クリスタルだよ!」
「え? ああ……そうだよ。石英。二酸化ケイ素が結晶化してできた鉱物。ジノヴィオスの人たちも使うよね」
「これに電気を流してるの!?」
「え? うん。クオーツは正確な振動を出すから、それで時間の間隔を測るんだ」
「こんな大きなクリスタルに電気を流し込んでるの!?」
「……何かマズいの?」
「いつから!?」
「さ、さあ……? 僕らが生まれるずっと昔からこの時計台はあるから、その頃からじゃないかな……」
アズとハリは絶句している。
そこでアズは、マリア=エリー=レラのつけていた香水を思い出す。
「わ、分かった……。ジャコウと同じ香水の香り……。あれと同じだ」
ゾイスは少し首を傾げ、以前アズに質問された奇妙な話を思い出す。
「……つまり、君たちジノヴィオスが魔法で使っているものを、僕たちオデッセフスが科学で使用しているということが、時に災いをひき起こしてしまうことがあるかもしれない……ってことか?」
「こんな大きなクリスタルを魔法みたいな力で使用したら、威力が大きすぎておかしなことがおきてしまうよ……! 私たちはほんの小さなカケラで魔法を増幅させてるだけだもの!」
アレキの表情が変わった。
「じゃあ……じゃあ、世界中の時計台でクオーツを使って時計を調節してたら……めちゃくちゃヤバいんじゃない!?」
「時を刻む速度が相互で変わっているのかもしれない? 魔法の影響をダイレクトに受けてしまう君たちがその余波を受けてしまっているのだとしたら……」
ゾイスの言葉にアズが続く。
「本当はバランスを取りながらゆっくり進むはずのコズモロギアが、片方だけ急速に……」
「なんてことだ! やめさせないと!」
アレキが青くなる。
「どうやって!? 今から世界中に警告しても間に合わないよ! その前にアズたちが消えちゃう!」
「そんなことはさせない!」
珍しく感情的になるオデッセフスの二人をぽかんと見ていたハリが、無理矢理その間に入り込んだ。
「まったあああ!」
一瞬の間が空いた後、彼は左右の二人を交互に見る。
「オレは脳筋だ。二人の言ってる意味はサッパリ分からないし、アズの言ってる意味も半分くらいよく分からん」
言い切った。
「カッカすんな。オレ以上に分からなくなんだろ。落ち着けよ。こっちはお前らの脳みそだけが頼りなんだぞ」
存在が消えそうな人物にそう言われれば、これ以上今の不毛な会話は続けられまい。
ゾイスとアレキは視線を外して謝罪する。
「すまない。感情的になった」
「ごめえん……! こんなことしてる場合じゃないのに……!」
アズはホッとしてハリの肩に手を置いた。そのハリは頷いてから腕を組む。
「あのよ? 今から世界中に伝達するのは無理じゃんか? それはオレにも分かるんだけど、だったらオレらの方で何とかすりゃいいんじゃないの?」
空白の間が空き、アズが震える声で言った。
「……それを今、話してるんだよハリ……」
「あ? でも何か、お前ら、分散させようしてね? 一つのとこでやった方が早くていいだろって思うんだけどオレ」
あれ? と、その意見で三人が首を傾げる。
ゾイスが何とか近づけて搾り出す。
「……つまり、こうか? ……分散させている、世界中にあるクオーツで考えるなと。自分たちで補える方法があるなら、それで解決しろ……こういうことか?」
「お前の言うこと難しすぎて、オレにはピンとこないよ!?」
アレキが腕を組む。
「えーと? え? えーと? ……ケチャップが嫌なら、ソースを上からかけて、味を変えてやれってこと?」
「ソレダ!!」
ハリが叫ぶと、ああ! と三人が辿り着く。
「共通する品の影響で、オデッセフスの科学がジノヴィオスの魔法を打ち消したように、その逆もありうるということか」
ゾイスに続いてアレキも考える。
「長い時間かけて少しずつクオーツの影響を広めちゃったけど、こっちが急ピッチで特別濃厚な何かをやらかせば、完全とまではいかなくても、穴埋めはできそうじゃない!?」
「アズ、何かないか? 魔法の力で科学を打ち負かすような品物」
アズは考えこんだまま動かなくなる。
「街を見ていた時、アレキの家にいた時、僕の家で遊んでいた時、何でもいい」
「ううーん……」
「ハリは!? 何かないの!?」
「うーん……」
その時、アレキのポケットから振動音が鳴る。彼女は慌てて電話を取り出し、耳を当てた。
「もしもし? こちらアレキ!」
「コラァ! 今何時だと思ってるんだ!!」
「ゲッ!? パパ!?」
「学校から電話があったぞ! お前午後サボったな!?」
「今そんな話してるヒマないの! 緊急事態なんだから! 友達の電話待ってるからかけてこないで! もう切るからね!」
「あっ! コラ待ちなさ」
ブツっと大きな音がして電話を切ったすぐ後、再度振動が手を震わせた。
「もう、パパしつこい!」
取るなりそう叫ぶと、受話器の向こうでマリア=エリー=レラの狼狽えた声が聞こえた。
「何、アンタのパパ電話かけてきたの?」
「あ! マリア=エリー=レラ! ごめん! パパがクッッッソうるさくて!」
「そっちはどうなってるのよ? こっちは今、技術者が引き上げたとこよ。アタシは廊下に出て涼んでるとこだけど、見た感じもう全部電気ついてるみたいよ」
アレキがゾイスの顔を窺う。
「マリア=エリー=レラが、この後どうすればいいか聞いてるよ」
「アズ、星屑の力はどうなってる? まだ停滞してるかい?」
「ううん。気配はなくなった。ここの導きはもう終わってるみたい」
ゾイスはアレキから小型電話を受け取った。
「マリア=エリー=レラ、ここでできることはもうなさそうだ。戻って合流しよう。ボイラーを頼む」
「分かったわ。電気消えるんだから、下にいる人踏まないように注意して降りろってハリに言っといて」
「了解。改札で落ち合おう」
電話を切りってアレキに手渡すと、ゾイスは入ってきた梯子に向かって歩き出す。
「出よう、じき電気が消える。ハリ、気をつけて降りてくれよ。真っ暗だからね」
「聞、こ、え、て、た」
その数分後、再び時計台周辺は暗闇に包まれる。
外で車のクラクションが鳴り響き、騒めく人々の声が上まで届いてきた。
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