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49 逆算で作る原稿カレンダー
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「11月の3、4が文化祭です」
「ゲッ!!」
「締め切り10日だよお!?」
「準備期間が1ヶ月と見て、もうそろそろ準備に取りかかり始めるのでは」
「放課後はそれで早く帰れなくなる。てことは、家についてご飯食べてお風呂入って、8時くらい……?」
「朝は7時30分に玄関前で待ち合わせ、起きるのが6時30分」
「いつも10時くらいにオフトゥンに入ってる」
「2時間しか原稿できないじゃんそれじゃ!!」
スッと脳裏に、ちゃんこ料理屋で杏花梨と一緒に食べたまかないシーンが通り過ぎる。
「……睡眠時間を削るしかねえ……」
「……やはりそうなってしまうのですねぃ……」
「小生としましては、健全なる青少年の育成のため、やってほしくない行為5指に入っております……」
「仕方ないだろぉ」
それからベッド横に置いてある時計の針を見ながら、逆算をする。
「マトモに原稿できる時間つーたら……4時間以上……?」
「8時から4時間……24時就寝」
「6時間睡眠」
「イ、イケそうじゃね」
「う、うん……うっかり夜更かししちゃったくらいだもんね」
「ハハ、ビックリした……もっとヤバイかと思っちゃった!」
「ネ!」
そうヘラヘラ笑ってる2人に、つくも神から最後通知が。
「2学期の中間テストが10月下旬です……」
「ぐえっ……!!」
「ついでに、期末試験が12月頭なので、締め切りを延ばすと惨劇になる恐れが……」
鈴がハッとして顔を上げる。
「アンソロの締め切りっていつだっけ!?」
「12月……11日です……」
つくも神の一言で、はじけるように鈴と慧が床に沈む。
「言いたくないのですが……、行事を抜かした締め切りまでの平日は22回。土日が8回しかありません……」
むり。
もうそれすら声に出ない。
「テ……テスト勉強はどこでやればいいの……」
「ううう……」
ついにつくも神すら唸り始めた。
「ろ、6時間も寝てたらダメなんじゃね……?」
「杏花梨さんは4時間って言ってたよねぃ……」
「学生なら授業中寝れるとか言ってた……」
「言ってたねぃ……あと、最悪成績が下がるだけとか言ってたねぃ……」
「だああああ!!」
つくも神の雄叫びがそのよからぬ流れを切り裂いた。
「学校のことです! ご学友に助けていただきましょう!!」
「わしらに友達いないのは知ってるだろつくもぉ……」
「いるではないですか!! 藤原大地さんが!!」
「エッ」
「藤原クンて友達だったの……?」
「可哀想なこと言わないで下さい! ご飯を一緒に食べてる仲なのですから友達でしょう!」
「そんなこと言ったら、定食屋とかにいただけでみんな友達になっちゃうだろぉ」
「つら」
話が脱線するのをつくも神がぶった切る。
「夏休みも助けて頂いたのです、今回も助けていただきましょうよ!」
「どうやって?」
「さすがにテスト勉強は一人でやんないとむりじゃねぃ?」
「学年トップの藤原大地さんにヤマを張っていただくのです」
「とても神様が言う台詞とは思えねえな」
ヤマとは、重要なポイントを勘頼りで予想することだ。この場合の意味合いとしては、全部勉強するのではなく、出そうな問題だけを勉強するということになる。当然ながらかなりのバクチで、外れれば手痛い目にあう。正解率で言えば、まんべんなく勉強するのが最も効率が良い。だが今回は、学年トップなら出題傾向が分かるのではないかという、淡い期待から発せられた言葉かと思う。
「そうは言っても、藤原クンが協力してくれるとは思えないよぉ……」
「だよねぇ、今回向こうは何も得がないもんな」
「何か交換条件になるようなものはないのですか?」
「そんな優位な立場にありましぇん……」
それもそうかと思い、全員が大きな溜め息で部屋の空気を循環させる。
「とりあえず、ダメ元でも明日学校で聞いてみて下さい。テストについては、これがうまくいかなかった時にもう一度考え直しましょう……」
このつくも神は頼りない。まあ、そもそも付喪神が頼れるかと言われると怪しいが、そうでなくとも頼りない。
どうせ明日になれば大地から連絡が入るだろう。自由研究を返してもらうついでに頼み込んでみようとなった。
「ゲッ!!」
「締め切り10日だよお!?」
「準備期間が1ヶ月と見て、もうそろそろ準備に取りかかり始めるのでは」
「放課後はそれで早く帰れなくなる。てことは、家についてご飯食べてお風呂入って、8時くらい……?」
「朝は7時30分に玄関前で待ち合わせ、起きるのが6時30分」
「いつも10時くらいにオフトゥンに入ってる」
「2時間しか原稿できないじゃんそれじゃ!!」
スッと脳裏に、ちゃんこ料理屋で杏花梨と一緒に食べたまかないシーンが通り過ぎる。
「……睡眠時間を削るしかねえ……」
「……やはりそうなってしまうのですねぃ……」
「小生としましては、健全なる青少年の育成のため、やってほしくない行為5指に入っております……」
「仕方ないだろぉ」
それからベッド横に置いてある時計の針を見ながら、逆算をする。
「マトモに原稿できる時間つーたら……4時間以上……?」
「8時から4時間……24時就寝」
「6時間睡眠」
「イ、イケそうじゃね」
「う、うん……うっかり夜更かししちゃったくらいだもんね」
「ハハ、ビックリした……もっとヤバイかと思っちゃった!」
「ネ!」
そうヘラヘラ笑ってる2人に、つくも神から最後通知が。
「2学期の中間テストが10月下旬です……」
「ぐえっ……!!」
「ついでに、期末試験が12月頭なので、締め切りを延ばすと惨劇になる恐れが……」
鈴がハッとして顔を上げる。
「アンソロの締め切りっていつだっけ!?」
「12月……11日です……」
つくも神の一言で、はじけるように鈴と慧が床に沈む。
「言いたくないのですが……、行事を抜かした締め切りまでの平日は22回。土日が8回しかありません……」
むり。
もうそれすら声に出ない。
「テ……テスト勉強はどこでやればいいの……」
「ううう……」
ついにつくも神すら唸り始めた。
「ろ、6時間も寝てたらダメなんじゃね……?」
「杏花梨さんは4時間って言ってたよねぃ……」
「学生なら授業中寝れるとか言ってた……」
「言ってたねぃ……あと、最悪成績が下がるだけとか言ってたねぃ……」
「だああああ!!」
つくも神の雄叫びがそのよからぬ流れを切り裂いた。
「学校のことです! ご学友に助けていただきましょう!!」
「わしらに友達いないのは知ってるだろつくもぉ……」
「いるではないですか!! 藤原大地さんが!!」
「エッ」
「藤原クンて友達だったの……?」
「可哀想なこと言わないで下さい! ご飯を一緒に食べてる仲なのですから友達でしょう!」
「そんなこと言ったら、定食屋とかにいただけでみんな友達になっちゃうだろぉ」
「つら」
話が脱線するのをつくも神がぶった切る。
「夏休みも助けて頂いたのです、今回も助けていただきましょうよ!」
「どうやって?」
「さすがにテスト勉強は一人でやんないとむりじゃねぃ?」
「学年トップの藤原大地さんにヤマを張っていただくのです」
「とても神様が言う台詞とは思えねえな」
ヤマとは、重要なポイントを勘頼りで予想することだ。この場合の意味合いとしては、全部勉強するのではなく、出そうな問題だけを勉強するということになる。当然ながらかなりのバクチで、外れれば手痛い目にあう。正解率で言えば、まんべんなく勉強するのが最も効率が良い。だが今回は、学年トップなら出題傾向が分かるのではないかという、淡い期待から発せられた言葉かと思う。
「そうは言っても、藤原クンが協力してくれるとは思えないよぉ……」
「だよねぇ、今回向こうは何も得がないもんな」
「何か交換条件になるようなものはないのですか?」
「そんな優位な立場にありましぇん……」
それもそうかと思い、全員が大きな溜め息で部屋の空気を循環させる。
「とりあえず、ダメ元でも明日学校で聞いてみて下さい。テストについては、これがうまくいかなかった時にもう一度考え直しましょう……」
このつくも神は頼りない。まあ、そもそも付喪神が頼れるかと言われると怪しいが、そうでなくとも頼りない。
どうせ明日になれば大地から連絡が入るだろう。自由研究を返してもらうついでに頼み込んでみようとなった。
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