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48 学校行事で早く帰れない!
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10月にもなれば夏の暑さは過ぎ去り、ほどよく暖かな空気に落ち着いている。屋上で弁当を食べるには良い塩梅で、3人は円になって昼食に入った。
「そう言えばお前達、冬のコミケで同人誌を出すとか言ってたな」
「うむ。今絶賛原稿中」
「ほう。それは殊勝なことだ。杏花梨の奴は今10月のイベント用に原稿やっているぞ」
「10月の原稿まだやってるの!?」
「イベントまで2週間ないじゃん……」
大地が溜め息を吐いているのでお察しだろう。相変わらず杏花梨は馬車馬のように原稿に追われているらしい。
「その日ウチのガッコの体育祭じゃんかー、イベント行けないんだよね」
「次行くのはコミケだねぃ」
何か思うところがあったのか、大地は怪訝な表情を見せ、太陽光で眼鏡を光らせて視線を隠す。
「一応聞いておいてやるが、今やっている原稿は間に合うんだろうな」
「フフン、ちゃんと逆算したもんねー。早割入稿にあわせてやってるから、余裕で間に合うのですよ」
「11月10日が締め切りなの。コミケは12月の末日だから、全然余裕でしょ」
「……学校行事で遅れる日数も引いてあるんだろうな」
ん?
一瞬、鈴と慧の目が点になる。
「学校……行事……?」
「秋は行事の季節だろ」
「秋の行事って、体育祭くらいじゃね……?」
「体育祭なら体育委員会以外は何もやんないですむし、精々翌日の筋肉痛くらいがネックなだけじゃねぃ?」
大地はやはりと思い、大きく溜め息を吐いた。
「月末には宿泊研修があるだろう。11月は文化祭だ。放課後は1ヶ月近く潰れると思った方がいい」
「ぐああ!? ナニソレ! ここの高校って、文化祭春じゃないの!?」
「宿泊研修ってナニ!?」
「それだけじゃない。2学期の中間テストはどうする。12月の期末試験の勉強は11月だぞ」
「ぎええええ!?」
オワタという声が脳内に木霊する。
いくらつくも神が情報無限なネットの渦にダイブできるとしても、明治時代がベースの書生に令和の学校事情が分かるわけもなく、そこの配慮に至らなかった。
「の……呪いキタ……」
絶望の表情を浮かべる鈴と慧を前に、大地が深く深く溜め息を吐く。
「どうしてお前らオタクという奴らは、予定の組み方が下手なんだ?」
それは印刷屋さんも不思議に思っているところだろう。タスク管理の完璧なオタクもいるにはいるが、鈴と慧と杏花梨はヘタクソな分類のオタクなのは確かだ。
「マズイ……帰ったらつくもと予定を組み直さなくては……!」
すっかり食欲を失ったオタク。
学校から帰宅した後、鈴の部屋で作戦会議が始まった。
つくも神はパソコンの上で土下座し、鈴と慧に頭を下げている。
「本当に申し訳ない、よもや学校がそんな忙しい場所になっているとはつゆ知らず……。宿題といい行事といい、なにゆえ先生達はそのように詰め込もうとなさるのか……」
「な? 謎だろ? 自分たちの首も絞まるのに、どんどんやること増やしていくんだよあいつら」
「マゾなんだねぃ」
つくも神が現代の学生の馬車馬っぷりを認識したところで、もう一度入稿スケジュールのやり直しに入る。
つくも神は閉じていた目を見開き、結んでいた口を開ける。
「今、彩中央高校の年間行事を検索しました。まずはカレンダーにそれをチェックしましょう」
誰も触れていないパソコンが独りでに動き、モニタに3ヶ月分のカレンダーが開かれる。
「まず体育祭。10月の13日。翌日は振替休日です」
「じゃあここはチャラだな」
「待って、筋肉痛くるゼッタイ!」
「そうだった……前回のイベントで2日はロボなのを確認した」
「では、念のため16日までロボということで」
カレンダーに『体育祭』『振替休日』『ロボ』『ロボ』と記入される。
「次、宿泊研修が25日と26日の二日間」
「ねえ、それを聞きたかったんだけど、宿泊研修ってナニ?」
「環境を変えた場所でいつもと違う生活を体験する、という学びのようです。中々楽しそうではありますが、今やってくると困りますね……」
「旅行ってコト?」
「まあ早い話そのようなものかと。小規模の修学旅行を2年間経験しておいて、3年生で来る本番の予行練習をしておこうという感じなのだと思います」
「インドア派には楽しくも何ともねえイベントだな」
「体育祭といい、どうして学校ってこうアウトドアに持って行こうとするんだろねぃ」
「その次の行事は?」
「そう言えばお前達、冬のコミケで同人誌を出すとか言ってたな」
「うむ。今絶賛原稿中」
「ほう。それは殊勝なことだ。杏花梨の奴は今10月のイベント用に原稿やっているぞ」
「10月の原稿まだやってるの!?」
「イベントまで2週間ないじゃん……」
大地が溜め息を吐いているのでお察しだろう。相変わらず杏花梨は馬車馬のように原稿に追われているらしい。
「その日ウチのガッコの体育祭じゃんかー、イベント行けないんだよね」
「次行くのはコミケだねぃ」
何か思うところがあったのか、大地は怪訝な表情を見せ、太陽光で眼鏡を光らせて視線を隠す。
「一応聞いておいてやるが、今やっている原稿は間に合うんだろうな」
「フフン、ちゃんと逆算したもんねー。早割入稿にあわせてやってるから、余裕で間に合うのですよ」
「11月10日が締め切りなの。コミケは12月の末日だから、全然余裕でしょ」
「……学校行事で遅れる日数も引いてあるんだろうな」
ん?
一瞬、鈴と慧の目が点になる。
「学校……行事……?」
「秋は行事の季節だろ」
「秋の行事って、体育祭くらいじゃね……?」
「体育祭なら体育委員会以外は何もやんないですむし、精々翌日の筋肉痛くらいがネックなだけじゃねぃ?」
大地はやはりと思い、大きく溜め息を吐いた。
「月末には宿泊研修があるだろう。11月は文化祭だ。放課後は1ヶ月近く潰れると思った方がいい」
「ぐああ!? ナニソレ! ここの高校って、文化祭春じゃないの!?」
「宿泊研修ってナニ!?」
「それだけじゃない。2学期の中間テストはどうする。12月の期末試験の勉強は11月だぞ」
「ぎええええ!?」
オワタという声が脳内に木霊する。
いくらつくも神が情報無限なネットの渦にダイブできるとしても、明治時代がベースの書生に令和の学校事情が分かるわけもなく、そこの配慮に至らなかった。
「の……呪いキタ……」
絶望の表情を浮かべる鈴と慧を前に、大地が深く深く溜め息を吐く。
「どうしてお前らオタクという奴らは、予定の組み方が下手なんだ?」
それは印刷屋さんも不思議に思っているところだろう。タスク管理の完璧なオタクもいるにはいるが、鈴と慧と杏花梨はヘタクソな分類のオタクなのは確かだ。
「マズイ……帰ったらつくもと予定を組み直さなくては……!」
すっかり食欲を失ったオタク。
学校から帰宅した後、鈴の部屋で作戦会議が始まった。
つくも神はパソコンの上で土下座し、鈴と慧に頭を下げている。
「本当に申し訳ない、よもや学校がそんな忙しい場所になっているとはつゆ知らず……。宿題といい行事といい、なにゆえ先生達はそのように詰め込もうとなさるのか……」
「な? 謎だろ? 自分たちの首も絞まるのに、どんどんやること増やしていくんだよあいつら」
「マゾなんだねぃ」
つくも神が現代の学生の馬車馬っぷりを認識したところで、もう一度入稿スケジュールのやり直しに入る。
つくも神は閉じていた目を見開き、結んでいた口を開ける。
「今、彩中央高校の年間行事を検索しました。まずはカレンダーにそれをチェックしましょう」
誰も触れていないパソコンが独りでに動き、モニタに3ヶ月分のカレンダーが開かれる。
「まず体育祭。10月の13日。翌日は振替休日です」
「じゃあここはチャラだな」
「待って、筋肉痛くるゼッタイ!」
「そうだった……前回のイベントで2日はロボなのを確認した」
「では、念のため16日までロボということで」
カレンダーに『体育祭』『振替休日』『ロボ』『ロボ』と記入される。
「次、宿泊研修が25日と26日の二日間」
「ねえ、それを聞きたかったんだけど、宿泊研修ってナニ?」
「環境を変えた場所でいつもと違う生活を体験する、という学びのようです。中々楽しそうではありますが、今やってくると困りますね……」
「旅行ってコト?」
「まあ早い話そのようなものかと。小規模の修学旅行を2年間経験しておいて、3年生で来る本番の予行練習をしておこうという感じなのだと思います」
「インドア派には楽しくも何ともねえイベントだな」
「体育祭といい、どうして学校ってこうアウトドアに持って行こうとするんだろねぃ」
「その次の行事は?」
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