少女は魔物に心を奪われる。

プロローグ

幸せを過ごすのは今だけ。

ーー魔物の森ーー

『ひぃ…魔物だ！！』

魔物は血飢えた冷酷な目でこちらを見、瞬きするようなわずかな時間で僕の目の前に。そこで僕は思わず声を上げる。

『俺には愛する家族がいるんだ！なんでもするから見逃してくれ！！』

魔物はピタッと止まり、口を開く。

『そうか、明日の朝、人間の女を1人連れてこい。ここには女1人で来させろ。さすれば村は襲わぬと約束しよう。』

そう言い残し、魔物は森の暗闇へと姿を消す。

ーーノスタブル聖マリー女子学院門限ーー
下校の時間
「じゃあね｣「うん、また明日｣友達と手を振りながら別れた後、「私も帰ろうと｣家に帰る方向に行く。

（今日も、どこに寄らないからきっと間に合う）
私は急いで家に向かう。

「ハァ、ハァ、ハァ、間に合った。」ドアの扉を開けると、玄関の前に継母の姿が居なかった。

「あれ今日は何も言われなかったってことは？」まさかと思いリビングに向かうと。

そこには継母が妹と一緒に絵本を読んでいた、「お義母さんただいま」話しても。

継母は妹に夢中で私が挨拶しても無視だった、私はリビングを後にして自分の部屋に戻る。

ベッドで横になって一人で悩んでた。
（どうしてこんなことになったのかな？前はお義母さんと仲良かったのに）

あの人は本当の母親じゃないのは分かっているの、本当のお母さんは5年前に病気で他界しているの。

一年後にお父さんが再婚してから、生活が変わった。

私の前では、家の家事は全て私任せで一方間違えれば叱れてご飯をくれない。

それから継母は妹を出産した、妹が産まれて嬉しそうに笑った。

そうしたら私のこと娘として認めてくれると思ったが、違かった。

出産後、継母は妹を優先するようになり結局家事は私がやることになった。

妹にはご飯を用意するのに「私だけは用意してくれない｣

　ドアをノックする音が響く。

「ん、誰だろはーい…… あ、お父さん」

　父が私を訪ねてくるなんて珍しいな。

「どうしたのお父さん？」

　わざわざ訪ねてきたのに、父は黙ったままドア口に立っていた。
　私を心配するような、哀れむような視線がいったりきたり。
　たっぷり三分ほどして、ようやく話し始めたそれは。

「大事な、話があるんだ」
「大事な話って？」
「頼みたいことがあってな。今度、ノスタブルで祝祭がある」
「ノスタブルの祝祭？」

　そんなお祭り、私は知らない。

「頼みたいことって？」
「その、港町で花を買って来て欲しいんだ。ここからだと少し遠いが、森を通り抜けて行けば近道になる」
「ふぅん。祝祭っていつやるの？」

　私の問い掛けに父は少し驚いた様子だったが、少し考えて答えてくれた。

「ん、まぁ三日後、かな。花は早めに欲しいから、明日の朝には出発してくれ。だから今日は早めに寝なさい」

　父はなんだか焦っていたけれど、私は気にせず頼みを受け入れることにした。

「分かったわ、祭の為なら早く寝ないとね」

　私は港町に行く為に必要な物を準備し、言われた通り早めに寝て、翌日、朝日が昇ってすぐに家を出た。
　旅立ちの直前、父は玄関で私を見て、何か言いたそうにしていたけれど。

「お父さんどうしたの？」
「……」

　答えは、返ってこなかった。

私はブーツを履いて帽子もかぶって玄関に出ようとした時、父がようやく口を出してくれた「ノア、行ってらっしゃい」父は少し微笑んだ。

私は少し驚いた。お父さんの笑顔は何年ぶりだろう？

だから、私も笑顔で手を振った。「お父さん、行ってきます」そう言うと、お父さんも手を振ってくれた。


私は嬉しくスキップしたい気分、家が見えなくなるまで前を向いて歩いた。


「．．．．．行ったか、ゴメンなノア。ここにいる村の為にお前をあの森に送るしかなかったんだ許してくれ」


ーー草原ーー
村を離れて数時間経ち。
私は森に向かう途中、何か忘れているような気がした。
「そういえば、お父さんに地図のこと言うの忘れてたまぁいいか。」

地図が無くても、森に行けば港町にすぐ着くはずよ．．．

「それにここの草原は風があって気持ちいいな、お昼寝にピッタリな場所ね。」
またここで家族でピクニックに行けたらなぁ。

でも今の家族は行けるはずはないか。

とりあえず先ずは用事済ませてからにしよう。


ーー森の入り口ーー

私はついに森の入り口前に来た、「うぅ．．流石に一人で行くのは心細いな」でもこれは祭の為よ。

顔の頬を両手で叩き、勇気を振り絞る。
「よし！私なら大丈夫、怖いもん何てないわ。」

私は一枚の写真を見た、「見ててねお母さん、今の私なら大丈夫だから」

お母さんの写真を見て私は自信持って森に入った。

しかし
私は知らなかった。この森に魔物が住んでいたことを．．．