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「歌を聴きながら曲は作れないけど、歌を聴きながら文字を書くことは出来るんですよね」
とあるテレビ番組でアーティストがそう言っていた記憶が蘇る。
「創作の才能があるかどうか見極める方法はクオリティは加味せず、"完成させられるかどうか"かである」
どこかのサイトで誰かがそう呟いていた記憶が蘇る。
「盗用であると公言したこの瞬間、盗用はオマージュに姿を変える。盗用とオマージュの境界線は曖昧に在るようで、実は何処にも存在しない。逆もまた然りである。オマージュは全て盗用になり得る危うさを持つ。」
世界で1番好きなアーティストがそう記していた記憶が蘇る。
「あーーーーー」
風邪薬を数十錠適当に右手に出して、一気にスポーツドリンクで飲み干す。
「つまり中身がどうであれオチをつけられる人間が創作家になれて未完ばかりの自分はミカンみたく酸っぱい????」
俺はこの脳内から流れる景色を存分に表現したいのに、どうにも出来ない。その辛さは鏡に向かって「お前は誰だ」と永遠に言い続けるくらいの大きさであった。
「空想が出来ない」
俺が書く文章には必ず現実が絡みついている。これは既存の物で既存の物を作る様なもので、一生自分自身を体現することが不可能である事を意味する。つまり
「つまりー……現実と空想をかき混ぜてフィクションと謳ってしまえばいい???」
俺は23年間何をしてきた?薬漬けになって腕を切って過呼吸になって自殺未遂をしての結論がこれか?
こんな現実は嫌だなぁ?嫌なら書き換えてしまえばいい。頭の中でなら人を殺そうが罪を犯そうがなんら問題ない。
「起承転結の承」
並行世界の俺は散歩でもしようと考えて外に出た。歩きタバコをしながら鼻歌を歌っている。
「努力、未来、ふんふふん~」
フラフラした体をなんとか保ち、自販機にタバコを押し付け火を消す。震える手でポケットに入れてきた小銭を適当に全部投入していく。140円の炭酸水を選ぶ。ああ、俺もこの炭酸水の様に透明で弾ける人生を歩めたらーー
「ガコンッ!ピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリ」
この自販機にはルーレットがあったのか。どうせ当たらないのに何故こんな機能を自動販売会社は付けたのだろう。馬鹿だなぁ。
「4 4 4 3」
「ほら外れた!」
積もりに積もった苦痛を吐き出すかのように自販機を蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
「落ち着こう
「kick back」の意味・「kick back」とは
「kick back」は英語のスラングで、リラックスする、くつろぐという意味を持つフレーズである。また、仕事や学校などの日常生活から一時的に離れて、自由な時間を楽しむというニュアンスも含まれている。」
「つまり俺は現実と空想を一旦捨てたのか」
「当たり!」
通行人が首を真反対に回転させて俺を指さす。目が気持ち悪いな。目が気持ち悪いな。目が気持ち悪いな。大事なことなので3回言いました。
「死ね!」
俺は俺の汚れを洗い流そうとコインランドリーに入る。人1人居ない、がら空きの廃れた場所。
「今日はラッキーデイ!」
人は居なければ居ないほど幸福である。話が変わるけど、グダグダとあれが欲しい、これが欲しいと呟いてないで俺にしか出せない味を出せよ。
「1675187345時間の洗濯を開始します」
ササッと設定してドラムの中に入り、体育座りみたいな体勢になる。かったるい油汚れもこれでバイバイ。
「ガタゴトガタンゴトンガタゴトトトトガタンゴトンガタガタガタゴ」
全部がぐるぐるとルーレットの様に回る!輪廻転生しそうなぐらいだ!
「最近ラッキーな事が良く起こるんだよねぇ」
知らぬ女の胸の中で俺はそう言っていた。この人がマイハニー?顔はぐちゃぐちゃに塗りつぶされて思い描けない。
「そうなんだ。……なんか忘れてなぁい?」
女の声が聞こえる。
「誰だ、誰だこの女は!?」
「なんか忘れてる」
頭の中にひたすら呼びかけてくる。何が?俺は何を忘れてる?お前は誰だ?
「ちょっと待て」
俺は目を開き洗濯機のドアを無理やり蹴飛ばして出る。全部洗い流されていた。流さなくて良い物も、流して欲しい物も。
「なんか忘れてる」
俺は脳内で女と復唱して眼球をギョロギョロと動かす。
「何だこの地獄は」
頭からつま先まで、ゆりかごから墓場まで、全部ハッピーで埋め尽くしてくれよ。腹が空きすぎて吐きそうな人生だ。
「幸せってなんだっけ!!!」
笑ってひたすら外を走りながら俺は叫ぶ。ただ幸せになりたい、楽して生きていたいだけなのに。貴方の心臓をこの手に掴みたい。
「良い子だけが迎える天国なんてつまらないでしょ?」
老婆が腕を掴みそう言う。
「分かりきったこと言ってんじゃねえよババア!!!俺はなんか忘れてるんだ!!!」
振りほどいて腹を蹴り飛ばす。するとまるでチェンソーで切り刻んだかの如く血が溢れ出る。
「アハハ!」
何もかも消し去りたい。努力なんてしたくない。未来なんて見たくもない。美しい星なんて無い。老婆の血が雨となり景色をどんどんどす黒い赤に染めていく。
「誰かこの醜い俺を貶せ!笑え!殺すぞ!」
立ち止まって息を整え、通行人共に呼びかけても1人も反応しない。俺以外全員傘をさして血の雨を凌いでいる。ズルい。
「その傘をくれよ!寄越せ!」
たまたま目の前に通りかかった女を蹴飛ばして奪い取る。けれどもう遅かった。袖が、肘が、腹が、頭が、全部全部真っ赤になっている。
「なんか忘れてる」
呟いた途端、人達が全員、俺の方を向いて指をさして笑い出す。
「アハハ!そう!それでいい!全部笑ってくれ!全部奪ってくれ!俺は俺が要らない!」
脳の信号から快楽が流れ込み、ハッピーで埋め尽くされる。全部欲しい。全部要らない。ただ虚しい。
「気持ち悪い」
さっきの女の声が聴こえる。俺を見下して笑っている。ゾクゾクとして一瞬にして鳥肌が全身に立つ。ハッピー、ラッキー。ハッピーラッキー。ハッピーラッキー……!
「なんかすごい良い感じ」
今が幸せならいっか。
とあるテレビ番組でアーティストがそう言っていた記憶が蘇る。
「創作の才能があるかどうか見極める方法はクオリティは加味せず、"完成させられるかどうか"かである」
どこかのサイトで誰かがそう呟いていた記憶が蘇る。
「盗用であると公言したこの瞬間、盗用はオマージュに姿を変える。盗用とオマージュの境界線は曖昧に在るようで、実は何処にも存在しない。逆もまた然りである。オマージュは全て盗用になり得る危うさを持つ。」
世界で1番好きなアーティストがそう記していた記憶が蘇る。
「あーーーーー」
風邪薬を数十錠適当に右手に出して、一気にスポーツドリンクで飲み干す。
「つまり中身がどうであれオチをつけられる人間が創作家になれて未完ばかりの自分はミカンみたく酸っぱい????」
俺はこの脳内から流れる景色を存分に表現したいのに、どうにも出来ない。その辛さは鏡に向かって「お前は誰だ」と永遠に言い続けるくらいの大きさであった。
「空想が出来ない」
俺が書く文章には必ず現実が絡みついている。これは既存の物で既存の物を作る様なもので、一生自分自身を体現することが不可能である事を意味する。つまり
「つまりー……現実と空想をかき混ぜてフィクションと謳ってしまえばいい???」
俺は23年間何をしてきた?薬漬けになって腕を切って過呼吸になって自殺未遂をしての結論がこれか?
こんな現実は嫌だなぁ?嫌なら書き換えてしまえばいい。頭の中でなら人を殺そうが罪を犯そうがなんら問題ない。
「起承転結の承」
並行世界の俺は散歩でもしようと考えて外に出た。歩きタバコをしながら鼻歌を歌っている。
「努力、未来、ふんふふん~」
フラフラした体をなんとか保ち、自販機にタバコを押し付け火を消す。震える手でポケットに入れてきた小銭を適当に全部投入していく。140円の炭酸水を選ぶ。ああ、俺もこの炭酸水の様に透明で弾ける人生を歩めたらーー
「ガコンッ!ピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリピロリ」
この自販機にはルーレットがあったのか。どうせ当たらないのに何故こんな機能を自動販売会社は付けたのだろう。馬鹿だなぁ。
「4 4 4 3」
「ほら外れた!」
積もりに積もった苦痛を吐き出すかのように自販機を蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
「落ち着こう
「kick back」の意味・「kick back」とは
「kick back」は英語のスラングで、リラックスする、くつろぐという意味を持つフレーズである。また、仕事や学校などの日常生活から一時的に離れて、自由な時間を楽しむというニュアンスも含まれている。」
「つまり俺は現実と空想を一旦捨てたのか」
「当たり!」
通行人が首を真反対に回転させて俺を指さす。目が気持ち悪いな。目が気持ち悪いな。目が気持ち悪いな。大事なことなので3回言いました。
「死ね!」
俺は俺の汚れを洗い流そうとコインランドリーに入る。人1人居ない、がら空きの廃れた場所。
「今日はラッキーデイ!」
人は居なければ居ないほど幸福である。話が変わるけど、グダグダとあれが欲しい、これが欲しいと呟いてないで俺にしか出せない味を出せよ。
「1675187345時間の洗濯を開始します」
ササッと設定してドラムの中に入り、体育座りみたいな体勢になる。かったるい油汚れもこれでバイバイ。
「ガタゴトガタンゴトンガタゴトトトトガタンゴトンガタガタガタゴ」
全部がぐるぐるとルーレットの様に回る!輪廻転生しそうなぐらいだ!
「最近ラッキーな事が良く起こるんだよねぇ」
知らぬ女の胸の中で俺はそう言っていた。この人がマイハニー?顔はぐちゃぐちゃに塗りつぶされて思い描けない。
「そうなんだ。……なんか忘れてなぁい?」
女の声が聞こえる。
「誰だ、誰だこの女は!?」
「なんか忘れてる」
頭の中にひたすら呼びかけてくる。何が?俺は何を忘れてる?お前は誰だ?
「ちょっと待て」
俺は目を開き洗濯機のドアを無理やり蹴飛ばして出る。全部洗い流されていた。流さなくて良い物も、流して欲しい物も。
「なんか忘れてる」
俺は脳内で女と復唱して眼球をギョロギョロと動かす。
「何だこの地獄は」
頭からつま先まで、ゆりかごから墓場まで、全部ハッピーで埋め尽くしてくれよ。腹が空きすぎて吐きそうな人生だ。
「幸せってなんだっけ!!!」
笑ってひたすら外を走りながら俺は叫ぶ。ただ幸せになりたい、楽して生きていたいだけなのに。貴方の心臓をこの手に掴みたい。
「良い子だけが迎える天国なんてつまらないでしょ?」
老婆が腕を掴みそう言う。
「分かりきったこと言ってんじゃねえよババア!!!俺はなんか忘れてるんだ!!!」
振りほどいて腹を蹴り飛ばす。するとまるでチェンソーで切り刻んだかの如く血が溢れ出る。
「アハハ!」
何もかも消し去りたい。努力なんてしたくない。未来なんて見たくもない。美しい星なんて無い。老婆の血が雨となり景色をどんどんどす黒い赤に染めていく。
「誰かこの醜い俺を貶せ!笑え!殺すぞ!」
立ち止まって息を整え、通行人共に呼びかけても1人も反応しない。俺以外全員傘をさして血の雨を凌いでいる。ズルい。
「その傘をくれよ!寄越せ!」
たまたま目の前に通りかかった女を蹴飛ばして奪い取る。けれどもう遅かった。袖が、肘が、腹が、頭が、全部全部真っ赤になっている。
「なんか忘れてる」
呟いた途端、人達が全員、俺の方を向いて指をさして笑い出す。
「アハハ!そう!それでいい!全部笑ってくれ!全部奪ってくれ!俺は俺が要らない!」
脳の信号から快楽が流れ込み、ハッピーで埋め尽くされる。全部欲しい。全部要らない。ただ虚しい。
「気持ち悪い」
さっきの女の声が聴こえる。俺を見下して笑っている。ゾクゾクとして一瞬にして鳥肌が全身に立つ。ハッピー、ラッキー。ハッピーラッキー。ハッピーラッキー……!
「なんかすごい良い感じ」
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