大好きな貴方への手紙

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side 執事(セバス)

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朝早くベルベッツ伯より1人の者が我が侯爵家の門を叩いた。

門番曰く手紙を置いて帰ろうとされているとの事で引き留めたが如何したらよいものか相談を受けた。

引き留めていてもらい助かった。

何せ最近の坊っちゃんはベルベッツ伯爵令嬢が姿を見せなくなり情緒不安定になっていた

やたらと外を確認して彼女が来るのを待ち構えていたのだが、ここ数日本当に音沙汰がない状態であった。

まさかのベルベッツ伯爵令嬢からの手紙が届けられるとは坊ちゃんは喜ぶだろう

手紙を持ってきた者を待たせようと部屋へ案内するが、『自分はただ手紙をお渡しするのみ何も知りませんし帰らせて頂きたい』と執拗に帰りたがったが返事を渡したい旨を伝え待たせることに成功した

あそこまで帰りたがる理由は気になるが、今は坊ちゃんを喜ばせてあげなければ

早速手紙の事を伝えると嬉しそうに頬を少し赤らめ部屋へ入って行った。



坊ちゃんはベルベッツ伯爵令嬢をとても好いているが、威厳ある男性像に憧れがあるのか令嬢を前にすると冷たい態度になっていることが執事としてハラハラしていた。

いつも坊ちゃんに好意を向けてくれているが愛想つかれて離れていかれてしまうのではと心配ではあった

なのでここ数日姿を見せない状態に焦りは感じていた

坊ちゃんへベルベッツ伯爵邸へ赴くのはどうかと提案もしてみたが、威厳ある男性は待つのみと頑なに拒みはするが令嬢が姿を見せない事に悲しみに暮れている姿を見ていられないぐらいだった

ベルベッツ伯爵邸までは馬車で30分ほど、行こうと思えばいくらでも行ける距離なのだが、何せ頑固だ

誰に似たのか・・・・。


手紙自体は持った感じ薄くすぐ読み終わるだろうとお茶の準備をする

が、一向に部屋からは音すらしない

返事でも書いているのだろうと手紙をもって来た者へお茶を進めているとき

「「「セバス!セバス!」」」

大声で呼ぶ声が聞こえ男にはここで待っててほしいと伝え部屋を後にした。

坊ちゃんの部屋へ入ったとき違和感はあった

目が赤い?

少し腫れぼったくなっている気もする

「どうれさました坊ちゃん、そんなに大声をだして?」

イライラしている時の雰囲気で声を荒げて

「「急ぎ馬車を準備しろ、イブのベルベッツ伯爵邸に向かう!」」

な!あれほど威厳がと仰っていた方が手紙にはないが書かれていたのかと目を見張った

「坊ちゃん、手紙には手紙で御返しいたしませんとマナー違反ですよ」

これで冷静になってくれればと思っていたら、益々顔は赤らみ不機嫌になっていく
これはまさか・・・・令嬢からの手紙が原因なのは確かだ

「「悠長な事言ってられるか!」」

冷静さを失ってしまわれている状態だ、少し時間を置きたい所

「配達人を待たせております上、返事をしたためられては?」

「ベルベッツ家の者を待たせて居るのか?」

「はい、ロビー横の応接間にてお待ち頂いております、ですので」

「よい、その者へ会わせろ!」

私の言葉を遮り焦りなのか急いで部屋を出ていく坊ちゃんの後を追いかけた




本当に何が書かれていたのか、坊ちゃんは泣いていたのだろう

とても嫌な予感しかしないが男が無事なのを祈るしかないと急ぎ応接間へ向かった
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