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士官学校編
新しい魔法と無視リスト入り
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頭から水をかけられた後、水を飲んで落ち着いた。
びっちょびちょになったまま周りを見てみるとB班と一般兵は遠巻きにして、ペドロはイレーネを介抱し、私の横にはロペスがいる。
イレーネは龍鱗がかかっていたから衝撃で気を失っただけでまったくもって五体無事だということで安心した。
「はて、オーガはどこに?」と思って聞いてみるととんでもない答えが帰ってきた。
「お前が全部やったんだ」
「き、記憶にございません」
そうだろうな、と言ったロペスに何が起こったか聞いた。
カオルとおれが駆けつけた時にイレーネがオーガの棍棒によって打ち上げられ頭から落ちたように見えたがたぶん肩から落ちたんだと思う。
その瞬間、カオルが悲鳴を上げてイレーネの名前を呼ぶと無数の炎の矢が現れた。
カオルはオーガを無視してイレーネに駆け寄り気絶したイレーネを抱えると、炎の矢が発射されあっという間に12体のオーガを消し炭にした。
そして揺さぶっていた所でロペスに止められた。
話の途中で気がついたイレーネが気を失った後のことを聞いて私がそんな状態になったと言われて照れていた。
「たぶん、あの悲鳴とイレーネの名前呼んで発動した炎の矢な、魔法登録されたぞ」とロペスが笑った。
「良かったな、自分の名前が魔法になったぞ」と言われて
「もう! カオル!」と怒っていた。
「なんて叫んだか覚えてないからもう出ないから」とフォローした。
「そういうことじゃない!」
私にイレーネが詰め寄っているとロペスが
「まあ、無事だったんだからいいじゃないか、報告のために戻ろう」と言って私とイレーネの肩に手をおいた。
それから全員で後ろの車両に戻り、撃退の報告をした。
戻った頃には流石にルディもオーガを倒し終えて休憩していた。
「C班全員戻りました」とロペスがいうと
「なんかすげえのやってたな、またカオルだろ」とルイス教官が言った。
「まあ、そうらしいんですが」というと自分でやったことだろ? と言ったのでロペスが説明していた。
「パニックを起こして魔法登録とは恐れ入る」と言って笑ってイレーネに世界初じゃないか? パニック起こして魔法登録するのも魔法の名前に人名入るのもといってからかっていた。
少し休憩をはさむ。
貴族などの士官候補生が少し離れてのんびり食事をし、一般の兵士は交代をしながら食事を取っていた。
荷駄隊の最後尾4両を担当する兵士たちは貴族の子供がピクニック気分で来るんじゃねえよ。
いざとなったら遊び気分のアイツラ守るために肉の壁になって死ぬのかよ。
と、思っていたが実は自分たちが可愛くてちっちゃい方の貴族の女が気分を害した途端に無礼討ちで消し炭にできる実力があり、兵士たちは守られる側なのだという現実を突きつけられ戦慄した。
実際は貴族ではないので無礼討ちができるのはどちらかというと背が高くて可愛い方のイレーネだけなのだが。
が、気を取り直した兵士たちは休憩中に話しかけて気に入られればお嬢様付きの世話係とか兵士になれたりしてもしかしたら恋人とかになって贅沢な暮らしができるようになるかもと妄想して次々に私とイレーネの元にお礼を言いに来た。
イレーネは黙っていれば可愛いので鼻の下を伸ばされることに慣れているようで適当にあしらっていたが私はそんな経験ないので気持ち悪くてしょうがなかった。
慕ってくるものを邪険するのも気が引け、知らない人に囲まれるのにも慣れていないので困ってしまった。
あしらい方も下手なのであっというまに囲まれてしまった。
困っているのを見かねたのかルイス教官がお前ら散れ散れ、と追い払ってくれた。
「助かりました」というとおう! と手を上げた。
「そういえば、さっき兵士から聞いたんだけど、変な倒し方したんだって?」
イレーネが小声で囁いた。
なんで小声? と思いながら
「ヌリカベスティックで打ち上げただけだよ」というと、あぁ、なんだ。
と興味をなくしていた。
もっと興味持って! と、思ったけど別に持たれてもそんなに話題なかったわ。
ということを思い出したがなんとなく腹いせにイレーネの足元を1cm、着地と同時に沈ませるいたずらをして怒られた。
ルイス教官に散れと言われてしまった一般兵達は野営でも話しかけてくることもなく至って順調なものだった。
今更ながらそういえば彼も貴族だった。
異世界から呼び出されたワモンの客でなければこんなに気安く話しかけられる人じゃあ、なかったんだな、と今回の件で改めてわかった。
だからといってこれから後も態度を改める気はさらさらないが。
その日はもうトラブルが起きることもなく、キャンプが張られることになった。
テントはペドロ達が張ってくれるということでイレーネと一緒にロペスを巻き込んで今日の反省点、近接戦闘の拙さはまずい、という弱点を補うための訓練をする。
昼間思いついたことを確かめるためにロペスに手伝ってもらう。
身体強化をかけてロペスと向かい合う。
ヌリカベスティックを長めに持ち、半身になって先をゆらゆらと動かす。
軽く打ち合い、上から振り下ろされた剣をヌリカベスティックの両端を持ち受けると片手を離して受け流しがら空きになった顔を横から殴りつける様に振り上げる。
ロペスは上半身の動きで躱すと私の胴に向って剣を翻した。
私はヌリカベスティックを手元で回転させると縦に持って剣を受け止めた。
その後数合打ち合ったが決定打になるものはなく、なんとなくこの辺かな? というところで中断した。
「やるようになったじゃないか」とロペスがいう。
「なんか流れが分かる感じがしたよ」というとそれこそ上達だなと言って次はイレーネの相手をする。
黒炎のナイフを使って戦うことを想定してショートソードとナイフを構えた。
まだ魔力制御がうまくないので身体強化をかけた状態では黒炎のナイフが起動してしまうのだ。
こうしてみると、イレーネの戦い方はロペスやルディを元にしたのかな? と思う。
足を止めて盾を前に出し受けながら隙をついて攻撃する。
いまやそれも片手がナイフになってしまったのでもっとアクティブに攻撃を受けないようにしないと行けないのではないか。
と思いついてみた。
「はい! 先生!」と手をあげてロペスに意見する。
「先生? また変なことを言い出したな、なんだ」イレーネとの訓練の手を止めて言う。
いつも変なことばかり言うような印象を与えるのはやめてほしい。
「イレーネは体重が軽い割に重心を落とし過ぎだと思うのです」
手を上げて発言するがイレーネはいまいちピンと来ていないようだった。
「うまくできるかわからないけど、しょうがない、ちょっと剣とナイフ貸して」と、少しでもイレーネのヒントになればと不慣れだが二刀流になる。
重心を上げてステップを踏み、踏み込みステップバックと左右に振り攻撃のタイミングを図られないようにする。
擬似的に黒炎のナイフを再現するため炎の矢を1発だけ発射しつつ踏み込んでショートソートで突きを行う。
「と、まあこんな感じでどうかな」とデモンストレーションを終える。
「たしかにこっちの方がイレーネには合いそうだが、カオルもこっちの戦い方のほうがいいんじゃないか?」と、ロペスが言った。
「ヌリカベスティックでやるのがイメージしづらくてね、練習はしとくよ」といってイレーネに剣とナイフを返し、テント設営中のペドロを呼んでロペス、ペドロ対私とイレーネで練習をすることにした。
ハードスキンをかけ怪我を防止しつつ、魔法を使うと私達が圧倒してしまうのでなしにする。
黙っていていざという時に使おうとしたらロペスにヌリカベスティックも禁止された。
足を止めて打ち合う体勢の2人に対して動き回ることで体勢を崩して隙をつく練習の私とイレーネ。
並んで剣を構えるロペスとペドロ。
左右に分かれてロペス達の周りを走り、タイミングを合わせて襲いかかる。
イレーネにはペドロに張り付いてもらい、ロペスとペドロの間に体を入れ、ロペスに1撃入れ、ステップバックし対峙する、と思わせてヌリカベスティックの端をもって後ろに向かって振り回しペドロの後頭部を狙う。
体に力を入れて攻撃を受けるために重心を落としたロペスに攻撃を中断させる瞬発力は出せず、ペドロも眼前に迫るイレーネに注意が集まっているため後頭部への打撃に気づかなかった。
ぎぃん!とヌリカベスティックが弾かれた音がしてペドロがたたらを踏んだ。
「ペドロアウトー」と私が言うと
「不意打ちなんて反則だ!」とペドロが抗議した。
「戦場で打ち合ってる最中に矢だって飛んでくるのです」と言って黙らせた。
身体強化していても重心を上げて手数で戦う様になったイレーネと私が相手ではロペスは受けきることができなくなり
「まいった!」というところで練習は終了した。
キャンプの用意もせずに遊んでいるように見える貴族の子ども達を遠巻きに見ていた一般兵は正直な話お飾りの主人と、口調が変でめっぽう強い護衛っぽい少女の2人組だと思っていたが、2人共遊び感覚で目にも止まらない速さで駆け回り、魔法を行使する触れてはいけない人なんだということを認識し、もう話しかけるのはやめようと心に誓った。
びっちょびちょになったまま周りを見てみるとB班と一般兵は遠巻きにして、ペドロはイレーネを介抱し、私の横にはロペスがいる。
イレーネは龍鱗がかかっていたから衝撃で気を失っただけでまったくもって五体無事だということで安心した。
「はて、オーガはどこに?」と思って聞いてみるととんでもない答えが帰ってきた。
「お前が全部やったんだ」
「き、記憶にございません」
そうだろうな、と言ったロペスに何が起こったか聞いた。
カオルとおれが駆けつけた時にイレーネがオーガの棍棒によって打ち上げられ頭から落ちたように見えたがたぶん肩から落ちたんだと思う。
その瞬間、カオルが悲鳴を上げてイレーネの名前を呼ぶと無数の炎の矢が現れた。
カオルはオーガを無視してイレーネに駆け寄り気絶したイレーネを抱えると、炎の矢が発射されあっという間に12体のオーガを消し炭にした。
そして揺さぶっていた所でロペスに止められた。
話の途中で気がついたイレーネが気を失った後のことを聞いて私がそんな状態になったと言われて照れていた。
「たぶん、あの悲鳴とイレーネの名前呼んで発動した炎の矢な、魔法登録されたぞ」とロペスが笑った。
「良かったな、自分の名前が魔法になったぞ」と言われて
「もう! カオル!」と怒っていた。
「なんて叫んだか覚えてないからもう出ないから」とフォローした。
「そういうことじゃない!」
私にイレーネが詰め寄っているとロペスが
「まあ、無事だったんだからいいじゃないか、報告のために戻ろう」と言って私とイレーネの肩に手をおいた。
それから全員で後ろの車両に戻り、撃退の報告をした。
戻った頃には流石にルディもオーガを倒し終えて休憩していた。
「C班全員戻りました」とロペスがいうと
「なんかすげえのやってたな、またカオルだろ」とルイス教官が言った。
「まあ、そうらしいんですが」というと自分でやったことだろ? と言ったのでロペスが説明していた。
「パニックを起こして魔法登録とは恐れ入る」と言って笑ってイレーネに世界初じゃないか? パニック起こして魔法登録するのも魔法の名前に人名入るのもといってからかっていた。
少し休憩をはさむ。
貴族などの士官候補生が少し離れてのんびり食事をし、一般の兵士は交代をしながら食事を取っていた。
荷駄隊の最後尾4両を担当する兵士たちは貴族の子供がピクニック気分で来るんじゃねえよ。
いざとなったら遊び気分のアイツラ守るために肉の壁になって死ぬのかよ。
と、思っていたが実は自分たちが可愛くてちっちゃい方の貴族の女が気分を害した途端に無礼討ちで消し炭にできる実力があり、兵士たちは守られる側なのだという現実を突きつけられ戦慄した。
実際は貴族ではないので無礼討ちができるのはどちらかというと背が高くて可愛い方のイレーネだけなのだが。
が、気を取り直した兵士たちは休憩中に話しかけて気に入られればお嬢様付きの世話係とか兵士になれたりしてもしかしたら恋人とかになって贅沢な暮らしができるようになるかもと妄想して次々に私とイレーネの元にお礼を言いに来た。
イレーネは黙っていれば可愛いので鼻の下を伸ばされることに慣れているようで適当にあしらっていたが私はそんな経験ないので気持ち悪くてしょうがなかった。
慕ってくるものを邪険するのも気が引け、知らない人に囲まれるのにも慣れていないので困ってしまった。
あしらい方も下手なのであっというまに囲まれてしまった。
困っているのを見かねたのかルイス教官がお前ら散れ散れ、と追い払ってくれた。
「助かりました」というとおう! と手を上げた。
「そういえば、さっき兵士から聞いたんだけど、変な倒し方したんだって?」
イレーネが小声で囁いた。
なんで小声? と思いながら
「ヌリカベスティックで打ち上げただけだよ」というと、あぁ、なんだ。
と興味をなくしていた。
もっと興味持って! と、思ったけど別に持たれてもそんなに話題なかったわ。
ということを思い出したがなんとなく腹いせにイレーネの足元を1cm、着地と同時に沈ませるいたずらをして怒られた。
ルイス教官に散れと言われてしまった一般兵達は野営でも話しかけてくることもなく至って順調なものだった。
今更ながらそういえば彼も貴族だった。
異世界から呼び出されたワモンの客でなければこんなに気安く話しかけられる人じゃあ、なかったんだな、と今回の件で改めてわかった。
だからといってこれから後も態度を改める気はさらさらないが。
その日はもうトラブルが起きることもなく、キャンプが張られることになった。
テントはペドロ達が張ってくれるということでイレーネと一緒にロペスを巻き込んで今日の反省点、近接戦闘の拙さはまずい、という弱点を補うための訓練をする。
昼間思いついたことを確かめるためにロペスに手伝ってもらう。
身体強化をかけてロペスと向かい合う。
ヌリカベスティックを長めに持ち、半身になって先をゆらゆらと動かす。
軽く打ち合い、上から振り下ろされた剣をヌリカベスティックの両端を持ち受けると片手を離して受け流しがら空きになった顔を横から殴りつける様に振り上げる。
ロペスは上半身の動きで躱すと私の胴に向って剣を翻した。
私はヌリカベスティックを手元で回転させると縦に持って剣を受け止めた。
その後数合打ち合ったが決定打になるものはなく、なんとなくこの辺かな? というところで中断した。
「やるようになったじゃないか」とロペスがいう。
「なんか流れが分かる感じがしたよ」というとそれこそ上達だなと言って次はイレーネの相手をする。
黒炎のナイフを使って戦うことを想定してショートソードとナイフを構えた。
まだ魔力制御がうまくないので身体強化をかけた状態では黒炎のナイフが起動してしまうのだ。
こうしてみると、イレーネの戦い方はロペスやルディを元にしたのかな? と思う。
足を止めて盾を前に出し受けながら隙をついて攻撃する。
いまやそれも片手がナイフになってしまったのでもっとアクティブに攻撃を受けないようにしないと行けないのではないか。
と思いついてみた。
「はい! 先生!」と手をあげてロペスに意見する。
「先生? また変なことを言い出したな、なんだ」イレーネとの訓練の手を止めて言う。
いつも変なことばかり言うような印象を与えるのはやめてほしい。
「イレーネは体重が軽い割に重心を落とし過ぎだと思うのです」
手を上げて発言するがイレーネはいまいちピンと来ていないようだった。
「うまくできるかわからないけど、しょうがない、ちょっと剣とナイフ貸して」と、少しでもイレーネのヒントになればと不慣れだが二刀流になる。
重心を上げてステップを踏み、踏み込みステップバックと左右に振り攻撃のタイミングを図られないようにする。
擬似的に黒炎のナイフを再現するため炎の矢を1発だけ発射しつつ踏み込んでショートソートで突きを行う。
「と、まあこんな感じでどうかな」とデモンストレーションを終える。
「たしかにこっちの方がイレーネには合いそうだが、カオルもこっちの戦い方のほうがいいんじゃないか?」と、ロペスが言った。
「ヌリカベスティックでやるのがイメージしづらくてね、練習はしとくよ」といってイレーネに剣とナイフを返し、テント設営中のペドロを呼んでロペス、ペドロ対私とイレーネで練習をすることにした。
ハードスキンをかけ怪我を防止しつつ、魔法を使うと私達が圧倒してしまうのでなしにする。
黙っていていざという時に使おうとしたらロペスにヌリカベスティックも禁止された。
足を止めて打ち合う体勢の2人に対して動き回ることで体勢を崩して隙をつく練習の私とイレーネ。
並んで剣を構えるロペスとペドロ。
左右に分かれてロペス達の周りを走り、タイミングを合わせて襲いかかる。
イレーネにはペドロに張り付いてもらい、ロペスとペドロの間に体を入れ、ロペスに1撃入れ、ステップバックし対峙する、と思わせてヌリカベスティックの端をもって後ろに向かって振り回しペドロの後頭部を狙う。
体に力を入れて攻撃を受けるために重心を落としたロペスに攻撃を中断させる瞬発力は出せず、ペドロも眼前に迫るイレーネに注意が集まっているため後頭部への打撃に気づかなかった。
ぎぃん!とヌリカベスティックが弾かれた音がしてペドロがたたらを踏んだ。
「ペドロアウトー」と私が言うと
「不意打ちなんて反則だ!」とペドロが抗議した。
「戦場で打ち合ってる最中に矢だって飛んでくるのです」と言って黙らせた。
身体強化していても重心を上げて手数で戦う様になったイレーネと私が相手ではロペスは受けきることができなくなり
「まいった!」というところで練習は終了した。
キャンプの用意もせずに遊んでいるように見える貴族の子ども達を遠巻きに見ていた一般兵は正直な話お飾りの主人と、口調が変でめっぽう強い護衛っぽい少女の2人組だと思っていたが、2人共遊び感覚で目にも止まらない速さで駆け回り、魔法を行使する触れてはいけない人なんだということを認識し、もう話しかけるのはやめようと心に誓った。
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