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来客2

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「――ということがありまして」

「わん!」

「またちょっと見ない間に変な状況を作り出しておるのう」

「さすがアリシアだよね」

「今回に限っては私がなにかしたわけではないんですが……」

 犬型精霊と一緒に店舗に戻ってルークとランドに状況を説明する。ちなみにレンとブリジットは工房で明日のぶんの調合作業の準備をしてくれているのでここにはいない。

 確認していた帳簿をカウンターに置いてルークが尋ねてきた。

「それで、アリシアはどうするつもりなの? お礼とやらを受け取りに行くのかい?」

「そうですね。貴重な魔力植物が手に入るかもしれませんし」

 今の私の目的は、まず母の命を奪った未知の病気を癒すポーションを作ること。
 さらに第一王子リヒター様のスキル【威光】を対策するポーションを作ること。

 どちらも私が扱ったことのある素材では作れなかった。【威光】対策は一定の効果は出ているけれど、まだ完璧とは言えない出来だ。

 稀少な素材が手に入りそうな機会は逃したくない。
 カウンターに乗っていい子にお座りしている子犬の鼻先をルークがつつく。

「信じていいの? 一応なんらかの罠って可能性も……」

「がるるるるるる」

「ごめん、わかった。失礼なことを言ったのは謝るからかみちぎる勢いで指をかじらないで」

「まあ、それは心配いらんじゃろう。あれがアリシアを陥れてもメリットがないからのう」

「わん、わんっ」

 ランドの言葉に頷くように鳴く犬型精霊。
 ランドの言う通り、と言っているみたいだ。

「でも、他にも問題があるでしょ。いくらなんでもフォレス大森林の中心って……この街の冒険者でもほとんど行けたことないって話じゃなかった?」

「護衛が必要だとは言われました。ルークにお願いしようと思っていたんですが……」

「うーん……悪いけど、俺は正直サバイバル方面にはあんまり自信がないんだよね……まったくできないわけじゃないけど、フォレス大森林みたいな規模だとちょっとね」

 言われてみれば、ルークはこの街に来るまでずっと王都にいたのだ。
 自然に囲まれ、魔物を相手取るような経験は少ないのかもしれない。
 ルーク一人なら何とかなるかもしれないけれど、今回は私がいないといけないし……

「アリシアを守りつつフォレス大森林の中心に行く、か」

「実力があるのはもちろん、フォレス大森林の地形に詳しい人間でなくてはならんのう」

「そうですね。そんな人がそうそういるわけが――」

 私たちが困り果てていると、がちゃりと店の扉が開いた。
 入ってきたのは大きな両手剣を背負った長身の青年オルグ。
 トリッドの街一番の冒険者パーティと名高い「赤の大鷲」のリーダーであり、もちろんフォレス大森林の地形にも慣れている人物でもある。

「営業時間を過ぎてるとこ悪い。実は今日森でアリシアの喜びそうな魔力植物を見つけたから届けに……ってどうしたんだ三人とも。なにか悩みごとか?」

 ……

「「「あ」」」

 いた、適任の人物が。
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