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みんなで話し合い2

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 魔法鞄から取り出したポーション瓶を掲げる。
 中身は『乱魔ポーション』。飲めばスキルの影響を取り除くことができるし、やや効果は落ちるけれど外から体にかけても同じことができる。

「て、適当言ってるんじゃないだろうな」

「心外です、レン。私はポーションのことで適当なことは言いません」

「いやまあそれはわかってるけど」

「そうですね、実際に試してみましょう。ブリジット、これを飲んで魔術スキルを使ってみてください」

「わかりましたわ! ごくごくごくっ――【ウインドエッジ】!」

「待て待て待て早い! お前本当にアリシアの指示だと躊躇一切ねえな!?」

 乱魔ポーションを飲んだブリジットが室内にもかかわらず得意に風魔術を使おうとする。
 しかし風の刃が放たれることはなかった。

「わあ、すごいですわ! 魔力を操ろうとするとうまくいきません……! これではスキルを使うことはできませんわね!」

「魔術もスキルの一つですからね。このように、乱魔ポーションは体の魔力の流れをくるわせて制御できなくさせる効果があるのです」

 ブリジットのようにスキルの使い手に飲ませてもいいし、メリダの【暗示】などなら受け手に飲ませればスキルを無効化できる。

 あれは対象の魔力を介して行動を操るものですからね。
 同じ理由でエリカやルークの【交渉】も無効化できるはず。

「まあ、残念ながら効果時間は短いんですが。このあたりはまだまだ改良の余地がありますね」

 今のままでは高ランクのものでももって数分というところだろう。
 予防という面では使い勝手はいまいちだ。

「つ、作った……? 国王すら恐れる第一王子のスキルに対抗するポーションを……?」

「帰りの馬車で何かやってるなとは思ってたけど……はは、アリシアって本当にとんでもないなあ」

 レンがわなわなと震え、ルークは渇いた笑みを浮かべている。

 おかしい、予想と反応が違う。
 少なくともルークは喜んでくれると思ったんですが……

「レン、私は今後もリヒター様への対策を考えます。いざとなったらみんなで逃げられるよう手はずも整えます。だからルークにはこのまま『緑の薬師』にいてもらいましょう」

「…………あー……もういいよ、わかったよ。お前を説得しようとした俺がバカだったよ」

「ということは――」

「ああ、ルークには残ってもらおう。つーかよくよく考えたら、アリシアを護衛なしで野放しなんてありえねえ。アリシアを裏切りそうにない護衛で、しかも腕が立つ……ルークはこっちから頼んで残ってもらわなきゃいけない相手だった」

 重々しく頷くレン。
 なんだか微妙に私が予想していた方向性と違う気がするけれど、レンもルーク残留に賛成してくれたようだ。

「では、ルークについてはこんなところで。それではお店の準備をしましょうか。明日から営業を再開したいですからね」

「そうですわね、お姉さま!」

 わりと長く店を閉めてしまっていたし、客が離れていることも考えられる。気合を入れて商品補充をしないと。

「本当によかったのかい、レン?」

「ああ。……つーか悪いな、感じ悪くて。最初は反対してみせないと、対策がなあなあで話が進みそうだったからな……」

「? 本気で反対していたんじゃないのかい?」

「まあな」

「なぜそんなことを?」

「考えてみろよ、自分を勘当までした父親の領地を守ろうとしたやつだぞ? 一回決めたら相当頑固なんだよ、アリシアは。それにルークには日頃助けてもらってる部分が大きいから、余計に張り切ってるだろうな」

「……なるほど」

「まあ、アリシアは好きでやってるだけだろうしルークが気にすることじゃないけどな」

「二人とも、なにを話しているんですか?」

「「なんでもない(よ)」」

「? はあ、そうですか」

 レンとルークが二人でこそこそと話をしていた。よくわからないけれど、二人がそう言うならあまり気にしないでおこう。

 そんな感じで、ルークに関する話し合いは終わるのだった。
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