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パーティー3
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「……仰っている意味が理解できません。フェリックス殿下、今何と?」
「聞こえなかったならもう一度言ってやろう。君との婚約を破棄すると告げたんだ、ミリーリア」
聞き間違いじゃなかった……!
この人本気で言ってるの!? こんな衆目の前でとんでもないことを言っているけど!?
「どうかお考え直しください。何か重大な勘違いをなさっておいでではありませんか?」
当たり前だけど婚約破棄のもたらす影響は重大だ。平民上がりの聖女ならともかく、私は辺境に広大な領地を預かるノクトール侯爵家の令嬢だ。ノクトール侯爵家の国内での地位を考えれば、その娘を一方的に切り捨てるなんて即内戦――とまではいかずとも、混乱が起きるのは間違いない。
国内でいがみ合えば、敵国に攻め込まれる隙をさらすことにもなるだろう。
フェリックス殿下の婚約破棄宣言は、そのくらい大きな揺らぎを生むものだ。
そのくらいのことは理解していると思うけれど……
「それに、今のお話は国王陛下には……?」
フェリックス殿下は首を横に振る。
「この話は父上には話していない。……近頃母上の体調が思わしくない。それを案ずるあまり、父上も心労で疲れ切っている。この場に父上と母上がいないのはそのためだ」
王妃殿下が体調不良? そんな話は聞いていない。少なくとも私が聖女をやめるきっかけになった事故の時点では、普通に公務に励まれていた記憶がある。
となると、ここ二か月ほどの間で体調を崩されたということかしら。
「今の父上にこれ以上の負担は強いられない。君という害悪を王家から引きはがす。その始末もすべて私が背負う。そうでなくては王太子など名乗れない!」
「フェリックス様ぁ……!」
力強く宣言するフェリックス殿下に、キラキラした眼差しを向けるカリナ。これはこのまま話していても埒が明かなさそうね。
落ち着かせるために、ひとまず話を聞くことにしよう。
「……なぜ、急にそのようなことを? 理由をお聞かせください」
「あくまでしらを切るつもりか、ミリーリア」
「私が聖女の力の大半を失ったことが原因ですか?」
「いや、違う。聖女の力を失おうと、婚約は有効なままだ。問題はそこではない」
「では、一体なぜ……?」
フェリックス殿下は蔑みのこもった目で私を睨みつけた。
「とぼけるな! 君が“万能の聖女”などと誉めそやされる裏側で、このカリナをひどく虐めてきたんだろう! 君がとんでもない悪女だということは、とっくにわかっているんだ!」
……はあ?
フェリックス殿下の言葉の意味がわからず私は眉根を寄せた。
ミリーリアがカリナを虐めたことはない。
「していませんが」
「嘘を吐いても無駄だ。カリナ、つらいだろうがこの場で語ってくれないか? 君が学院時代にミリーリアから受け続けてきたという仕打ちについて」
「……わかりましたわ。私は学院に通っていた頃――」
フェリックス殿下に促されてカリナが訥々と語り出した。
カリナが語り出したことは案の定私にとって身に覚えのないことばかり。
ミリーリアに私物を捨てられた。
暴行を加えられた。
家にまで圧力をかけられた。
「聖女として強い力や地位を持つミリーリア様に、しがない元商家の出である私が逆らえるわけもなく……そんなつらい日々をずっと過ごしてきたのです……」
涙ながらに語るカリナ。
いやいやいやいや、やってないんですけど!? 全部身に覚えがない!
「その件については、自分も見たことがあります」
「私も……! ミリーリア様が付き人に命じて、カリナ様に頭から水をかけたところを目撃いたしましたわ!」
カリナの告白に合わせて、他の令嬢や令息が発言してきた。
かかわりのなかった人物だけど、彼らもカリナと同じく貴族学院時代の同級生だ。
当然カリナの言葉は嘘なので、彼らの証言も同じく嘘ということになる。……根回しまで万全にしてきた、ということね。
『おい、本当にミリーリア様が新しい聖女様を虐げてきていたのか』
『そんなわけがないだろう、“万能の聖女”ミリーリア様だぞ? この国の聖女様の中で一番優れていると言われていたのに……』
だんだんホール内の空気も揺らぎ始めた。カリナの発言は何の証拠もない言いがかりのようなものだ。けれど、こんな大勢の前で堂々と私を糾弾したことで、妙な説得力が生まれてしまっている。
――ここまで大きなリスクを負ってまで、嘘を吐く必要があるのか?
周囲の貴族たちがそんな思考で、カリナの言葉を信じかけているのがわかる。
ここは私がきちんと否定しておかないと……!
「くだらない茶番ですね」
カリナの横に立つフェリックス殿下が私を睨む。
「……ミリーリア、今何と言った?」
「カリナ様の一連の発言は、証拠のないデタラメに過ぎません」
「証人もいるというのに、まだ疑うのか?」
「口裏を合わせておけばいいだけのこと。証人など、この場で何の意味がありましょうか。……どうか冷静になってください、殿下。殿下ほど聡明な方なら、このような行いがどれほど愚かかおわかりでしょう?」
「あくまで認めないつもりか……!」
苛立ったように私を睨むフェリックス殿下。
「――そこまで言うなら、証拠をお見せします」
そう告げたのはカリナだった。
前に進み出て、両手をゆっくりと前に広げる。目を閉じ、静かに祈りを捧げる。
すると彼女の周囲に強い光が発生し始めた。
『これは……聖女の力!? “治癒”、“浄化”、それに“破魔”まで……!』
『そんな馬鹿な! 複数の聖女の力を同時に使いこなせるのはミリーリア様だけではなかったのか!?』
『聖女になったばかりで、ここまでの力を持つとは……!』
周囲がざわめく。
私も驚いていた。
カリナが見せているのは聖女候補が作り出すような淡い光ではなく、圧倒的なまでに強い光だ。光の強さは聖女としての力の大きさを表す。カリナの放つ“治癒”も“浄化”も“破魔”も、一つ一つが聖女としての代名詞になるほどに強大なものだった。
ありえない!
ミリーリアはカリナの存在自体は知っていた。ただ、ミリーリアの記憶の中では、カリナは平凡な聖女候補に過ぎなかったのだ。いつの間に――というか、どうやってこんな力を!?
「カリナ様……あなた、まさか精霊にまつわる訓練方法を!?」
「……? 精霊? 何のことですか?」
怪訝そうに首を傾げるカリナ。
嘘を吐いているようには見えない。となると、アイリスと同じように、精霊の姿をイメージすることで力を増幅しているわけではないようだ。
けれど、だとすればなおさら理由がわからない。
どうしてこんなに急にカリナの力を強くなっているのか。
フェリックス殿下が周囲を見回して告げる。
「見たか、みんな! これがミリーリアがカリナを虐げていた証拠だ! ――カリナはずっと強い力を持っていた。かつてのミリーリアに匹敵するような力だ! ミリーリアはそんなカリナをずっと警戒していた。だからカリナの本当の実力を発揮できないよう、あらゆる手段を使って脅していたんだ!」
私はぎょっとした。
「何を言っているのですか、殿下! 私はそのようなことはしていません!」
「だったらこの状況をどう説明する? ミリーリアが聖女の座を失った途端に新たな聖女が生まれる。そんな都合のいい話があるわけがないだろう」
「……何が言いたいんですか?」
「聖女の座を失い、ミリーリアの権力が衰えたからこそ、カリナは本来の力を皆に見せることができるようになった。もうカリナの輝きは君に抑えられる代物ではないんだ!」
声高に宣言するフェリックス殿下。
つまり、今までは私がカリナに圧力をかけていたからカリナは自分の力を隠すしかなかったけど、私が失墜したことでそれに屈する必要がなくなったってこと……?
話だけ聞けば、筋が通る。通ってしまう。
それも証拠のない言いがかりだけど、今更疑うには、カリナが見せる聖女の力の輝きは強烈過ぎた。
――彼女ほどの逸材が今まで日の目を見なかったのは、何か特別な事情のせいに違いない。
周囲にそう思わせるくらいに、説得力がある。
「ミリーリア、先ほども言った通り、聖女の力を失っただけでは婚約破棄の理由にはならない」
フェリックス殿下が冷ややかに告げる。
「けれど、君の人格は悪女そのものだ。王太子妃となれる器ではない」
その言葉を聞いて。
私の口が自然に動いた。
「……フェリックス殿下。私は八つの時にあなたと婚約してから、ふさわしい人間になろうと努力してきました。聖女の務めも欠かしたことはありません。あなたは、長い付き合いのある私よりも、カリナ様の言葉を信じるのですか?」
転生してから、この体は私の思う通りに動いてきた。けれど今だけは、ミリーリアが私の口を勝手に動かしているような気がした。
そんな言葉もフェリックス殿下には届かず……
「ふん。君の努力というのは、他の聖女候補を蹴落として自分の地位を守ることか? ならなおさら君の言葉に耳を貸すわけにはいかないな」
ずきり、と心臓が痛む。
私にはフェリックス殿下との思い出など一つもない。なので、やっぱりこの痛みはミリーリアの体に残ったわずかな意思が、苦しんでいるんだろう。
「……」
大勢の前でいきなり婚約破棄を突き付けられた衝撃や、胸の痛みで、黙り込んでしまう。
何か言わないといけないけど、頭が回らない。
……と。
小さな足音が響いてきた。
「――せんせいを、いじめないで!」
……アイリス?
「聞こえなかったならもう一度言ってやろう。君との婚約を破棄すると告げたんだ、ミリーリア」
聞き間違いじゃなかった……!
この人本気で言ってるの!? こんな衆目の前でとんでもないことを言っているけど!?
「どうかお考え直しください。何か重大な勘違いをなさっておいでではありませんか?」
当たり前だけど婚約破棄のもたらす影響は重大だ。平民上がりの聖女ならともかく、私は辺境に広大な領地を預かるノクトール侯爵家の令嬢だ。ノクトール侯爵家の国内での地位を考えれば、その娘を一方的に切り捨てるなんて即内戦――とまではいかずとも、混乱が起きるのは間違いない。
国内でいがみ合えば、敵国に攻め込まれる隙をさらすことにもなるだろう。
フェリックス殿下の婚約破棄宣言は、そのくらい大きな揺らぎを生むものだ。
そのくらいのことは理解していると思うけれど……
「それに、今のお話は国王陛下には……?」
フェリックス殿下は首を横に振る。
「この話は父上には話していない。……近頃母上の体調が思わしくない。それを案ずるあまり、父上も心労で疲れ切っている。この場に父上と母上がいないのはそのためだ」
王妃殿下が体調不良? そんな話は聞いていない。少なくとも私が聖女をやめるきっかけになった事故の時点では、普通に公務に励まれていた記憶がある。
となると、ここ二か月ほどの間で体調を崩されたということかしら。
「今の父上にこれ以上の負担は強いられない。君という害悪を王家から引きはがす。その始末もすべて私が背負う。そうでなくては王太子など名乗れない!」
「フェリックス様ぁ……!」
力強く宣言するフェリックス殿下に、キラキラした眼差しを向けるカリナ。これはこのまま話していても埒が明かなさそうね。
落ち着かせるために、ひとまず話を聞くことにしよう。
「……なぜ、急にそのようなことを? 理由をお聞かせください」
「あくまでしらを切るつもりか、ミリーリア」
「私が聖女の力の大半を失ったことが原因ですか?」
「いや、違う。聖女の力を失おうと、婚約は有効なままだ。問題はそこではない」
「では、一体なぜ……?」
フェリックス殿下は蔑みのこもった目で私を睨みつけた。
「とぼけるな! 君が“万能の聖女”などと誉めそやされる裏側で、このカリナをひどく虐めてきたんだろう! 君がとんでもない悪女だということは、とっくにわかっているんだ!」
……はあ?
フェリックス殿下の言葉の意味がわからず私は眉根を寄せた。
ミリーリアがカリナを虐めたことはない。
「していませんが」
「嘘を吐いても無駄だ。カリナ、つらいだろうがこの場で語ってくれないか? 君が学院時代にミリーリアから受け続けてきたという仕打ちについて」
「……わかりましたわ。私は学院に通っていた頃――」
フェリックス殿下に促されてカリナが訥々と語り出した。
カリナが語り出したことは案の定私にとって身に覚えのないことばかり。
ミリーリアに私物を捨てられた。
暴行を加えられた。
家にまで圧力をかけられた。
「聖女として強い力や地位を持つミリーリア様に、しがない元商家の出である私が逆らえるわけもなく……そんなつらい日々をずっと過ごしてきたのです……」
涙ながらに語るカリナ。
いやいやいやいや、やってないんですけど!? 全部身に覚えがない!
「その件については、自分も見たことがあります」
「私も……! ミリーリア様が付き人に命じて、カリナ様に頭から水をかけたところを目撃いたしましたわ!」
カリナの告白に合わせて、他の令嬢や令息が発言してきた。
かかわりのなかった人物だけど、彼らもカリナと同じく貴族学院時代の同級生だ。
当然カリナの言葉は嘘なので、彼らの証言も同じく嘘ということになる。……根回しまで万全にしてきた、ということね。
『おい、本当にミリーリア様が新しい聖女様を虐げてきていたのか』
『そんなわけがないだろう、“万能の聖女”ミリーリア様だぞ? この国の聖女様の中で一番優れていると言われていたのに……』
だんだんホール内の空気も揺らぎ始めた。カリナの発言は何の証拠もない言いがかりのようなものだ。けれど、こんな大勢の前で堂々と私を糾弾したことで、妙な説得力が生まれてしまっている。
――ここまで大きなリスクを負ってまで、嘘を吐く必要があるのか?
周囲の貴族たちがそんな思考で、カリナの言葉を信じかけているのがわかる。
ここは私がきちんと否定しておかないと……!
「くだらない茶番ですね」
カリナの横に立つフェリックス殿下が私を睨む。
「……ミリーリア、今何と言った?」
「カリナ様の一連の発言は、証拠のないデタラメに過ぎません」
「証人もいるというのに、まだ疑うのか?」
「口裏を合わせておけばいいだけのこと。証人など、この場で何の意味がありましょうか。……どうか冷静になってください、殿下。殿下ほど聡明な方なら、このような行いがどれほど愚かかおわかりでしょう?」
「あくまで認めないつもりか……!」
苛立ったように私を睨むフェリックス殿下。
「――そこまで言うなら、証拠をお見せします」
そう告げたのはカリナだった。
前に進み出て、両手をゆっくりと前に広げる。目を閉じ、静かに祈りを捧げる。
すると彼女の周囲に強い光が発生し始めた。
『これは……聖女の力!? “治癒”、“浄化”、それに“破魔”まで……!』
『そんな馬鹿な! 複数の聖女の力を同時に使いこなせるのはミリーリア様だけではなかったのか!?』
『聖女になったばかりで、ここまでの力を持つとは……!』
周囲がざわめく。
私も驚いていた。
カリナが見せているのは聖女候補が作り出すような淡い光ではなく、圧倒的なまでに強い光だ。光の強さは聖女としての力の大きさを表す。カリナの放つ“治癒”も“浄化”も“破魔”も、一つ一つが聖女としての代名詞になるほどに強大なものだった。
ありえない!
ミリーリアはカリナの存在自体は知っていた。ただ、ミリーリアの記憶の中では、カリナは平凡な聖女候補に過ぎなかったのだ。いつの間に――というか、どうやってこんな力を!?
「カリナ様……あなた、まさか精霊にまつわる訓練方法を!?」
「……? 精霊? 何のことですか?」
怪訝そうに首を傾げるカリナ。
嘘を吐いているようには見えない。となると、アイリスと同じように、精霊の姿をイメージすることで力を増幅しているわけではないようだ。
けれど、だとすればなおさら理由がわからない。
どうしてこんなに急にカリナの力を強くなっているのか。
フェリックス殿下が周囲を見回して告げる。
「見たか、みんな! これがミリーリアがカリナを虐げていた証拠だ! ――カリナはずっと強い力を持っていた。かつてのミリーリアに匹敵するような力だ! ミリーリアはそんなカリナをずっと警戒していた。だからカリナの本当の実力を発揮できないよう、あらゆる手段を使って脅していたんだ!」
私はぎょっとした。
「何を言っているのですか、殿下! 私はそのようなことはしていません!」
「だったらこの状況をどう説明する? ミリーリアが聖女の座を失った途端に新たな聖女が生まれる。そんな都合のいい話があるわけがないだろう」
「……何が言いたいんですか?」
「聖女の座を失い、ミリーリアの権力が衰えたからこそ、カリナは本来の力を皆に見せることができるようになった。もうカリナの輝きは君に抑えられる代物ではないんだ!」
声高に宣言するフェリックス殿下。
つまり、今までは私がカリナに圧力をかけていたからカリナは自分の力を隠すしかなかったけど、私が失墜したことでそれに屈する必要がなくなったってこと……?
話だけ聞けば、筋が通る。通ってしまう。
それも証拠のない言いがかりだけど、今更疑うには、カリナが見せる聖女の力の輝きは強烈過ぎた。
――彼女ほどの逸材が今まで日の目を見なかったのは、何か特別な事情のせいに違いない。
周囲にそう思わせるくらいに、説得力がある。
「ミリーリア、先ほども言った通り、聖女の力を失っただけでは婚約破棄の理由にはならない」
フェリックス殿下が冷ややかに告げる。
「けれど、君の人格は悪女そのものだ。王太子妃となれる器ではない」
その言葉を聞いて。
私の口が自然に動いた。
「……フェリックス殿下。私は八つの時にあなたと婚約してから、ふさわしい人間になろうと努力してきました。聖女の務めも欠かしたことはありません。あなたは、長い付き合いのある私よりも、カリナ様の言葉を信じるのですか?」
転生してから、この体は私の思う通りに動いてきた。けれど今だけは、ミリーリアが私の口を勝手に動かしているような気がした。
そんな言葉もフェリックス殿下には届かず……
「ふん。君の努力というのは、他の聖女候補を蹴落として自分の地位を守ることか? ならなおさら君の言葉に耳を貸すわけにはいかないな」
ずきり、と心臓が痛む。
私にはフェリックス殿下との思い出など一つもない。なので、やっぱりこの痛みはミリーリアの体に残ったわずかな意思が、苦しんでいるんだろう。
「……」
大勢の前でいきなり婚約破棄を突き付けられた衝撃や、胸の痛みで、黙り込んでしまう。
何か言わないといけないけど、頭が回らない。
……と。
小さな足音が響いてきた。
「――せんせいを、いじめないで!」
……アイリス?
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